自己内対話―3冊のノートから

著者 :
  • みすず書房
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本棚登録 : 78
感想 : 6
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  • Amazon.co.jp ・本 (287ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784622036593

作品紹介・あらすじ

本書は、著者没後に見出された3冊のノートを一書にまとめた。1943年から1987年にかけて断片的に記された多岐にわたる文章のそれぞれは、著者の思想の原石であり、このノートが、著者座右の、いつも自己の原点に立ちかえるよすがであったことを示す。

感想・レビュー・書評

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  • 「従って行動は対象への何等かの暴力を加えることなしには可能ではない。行動には必ず無理がともなふ。」

    丸山眞男が生前に残したノートを書籍にまとめた本。日記であり忘備録であり、思考の足跡です。

    日本に民主主義はない的な今と変わらない問題意識で、丸山眞男が慧眼だったのかあの頃の日本と今も変わっていないのかどっちなんでしょうか。圧倒的知識に基づいた知性ってのはすごいですね、私は社会が蓄積した知識を享受できてるんでしょうか、凹みます。

  • 実は本書の中にさり気なく登場する教育論がとっても面白い!!筆者的には,一番再読してしまう丸山の本なのであった。

  • 丸山真男さんの面白さに最近関心があり、図書館で検索し何となく借りてみました。しかし、あまり読む気も起こらず返却日が迫ってきたので読むのやめようかと思いつつ読み始めたら大当たりでした。面白さに吃驚しました。要点が分かり易いし、読みやすい。明確に書かれている。本当に吃驚です。

    僕は柄谷行人さんのファンで、特に好きな柄谷語録のようなものをいくらか記憶しているけれどそれらが丸山真男さんの考えと通じていることに驚きをもっています。そういう考えがどこから発しているのか、そういう系譜のようなものもあるのだなと感動しています。

    面白いものが多いので一カ所だけ引用してみます。

    『・・・私はどのような意味で社会主義者であるか、もしくはありたいか。第一に、国家主義−国家が社会と個人を併どんするようないかなる傾向にも反対だからである。社会主義は本質的にインターナショナルであり、それはいわゆる社会主義国家をもこえた原理でなければならない。インターナショナルは民族の連帯よりはむしろ世界市民の連帯である。・・・』

    柄谷行人さんのいう『単独性の連帯』とかいろいろ頭をよぎるものが多々この本には出てきて面白さは抜群です。

  • 俺はコーヒーが好きだという主張と、俺は紅茶が好きだという主張との間には、コーヒーと紅茶の優劣についてのディスカッションが成立する余地はない。論争がしばしば無意味で不毛なのは、論争者がただもっともらしいレトリックで自己の嗜好を相互にぶつけ合っているからである。自己内対話は、自分の嫌いなものを自分の精神のなかに位置づけ、あたかもそれが好きであるかのような自分を想定し、その立場に立って自然的自我と対話することである

  • 著者没後に見出された3冊のノートをみすず書房の編集者小尾俊人さんが編集したもの。
    三冊のノートを1冊に読みやすく綺麗にまとめる物凄い編集力!
    丸山さんの思想をもう少し深く知りたいを思った。

    クリスマス・イーヴは私もベートーヴェンの第九をフルトヴェングラーで聴こう~
    ベタだけれども・・・

    http://www.youtube.com/watch?v=R7y08vr4ulI
    you tubeより 戦時中 カギ十字 この緊張感すごすぎ・・・

  •  丸山真男というと、バカの一つ覚えみたいに「進歩的知識人」とか「近代主義者」とかって(一つじゃないか…)レッテルを貼りたがる人がいる。そういう人に限って半知半解な読み手で、また、そういう人の貼ったレッテルを見て丸山を敬遠したりする人もいる。ちょっと悲しいお話である。そんな悲しいお話から抜け出すには、やはり丸山の言葉に直に触れてみるしかない。とはいっても『日本政治思想史研究』とか『現代政治の思想と行動』にいきなりチャレンジするのはなぁ…、なんて、そんなあなたにお奨めしたいのが、この『自己内対話』である。これは丸山の死後見つかった3冊のノートを活字にしたものである。いわば宝石になる前の原石のようなものである。それだけに物言いもかなり鋭い。読み進むにつれて、丸山に貼られたレッテルが色あせてくるのでは?

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