1995年1月・神戸――「阪神大震災」下の精神科医たち

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制作 : 中井 久夫 
  • みすず書房 (1995年3月24日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (263ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784622037972

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1995年1月・神戸――「阪神大震災」下の精神科医たちの感想・レビュー・書評

  • 所在:紀三井寺館1F 請求記号:WM401||N2
    和医大OPAC→http://opac.wakayama-med.ac.jp/mylimedio/search/book.do?target=local&bibid=16432

    学部生のみなさんは、もう阪神大震災のことを、リアルタイムでは知らない年齢なのですよね。
    でも東日本大震災のことは記憶に新しいと思います。

    学部生のみなさんよりは長く生きているわたしも、あの阪神大震災が、生まれてはじめての大きな災害であったと、鮮明に記憶しています。
    ボランティアやDMATなど、阪神大震災を契機にゆきとどいてきた概念やシステムは多いのではないでしょうか。

    あの地震以降、大きな災害が起こりつづける日本で、読み返すたび学ぶことのある一冊だと思います。

    紀三井寺、三葛の両館で所蔵。

    (スタッフN)

  • 阪神淡路大震災に立ち向かった精神科医による貴重な記録

  • 「指示を待ったものは何ごともなしえなかった。統制、調整、一元化を要求した者は現場の足をしばしば引っ張った」の一文が印象的。

  • 16年前の震災を思いだしながら、むかし読んだ本を再読。東北や関東の震災被害と東電の原子力発電所の事故はもちろん気にかかるが、3/12に起こった長野の地震(かなり大きく、震度6弱の余震もあった)のことが新聞やニュースではほとんどまったく分からず、どうなっているのだろうとずっと思っていた。震度6は、16年前に神戸市や明石市、洲本市で観測された震度と同じだ。

    私は東北にも土地勘がないけれど、広い長野もほとんど知らず(長野市内へ仕事でいちど、Weフォーラムで更埴へいちど、叔母に連れられて軽井沢へいちど、それぞれ行ったことはある)、それでも長野には数人の知人が住んでいたりして、気になっていた。

    こないだ長野出身のiさんにきいたら、地震のあったところ(栄村)は新潟に近いところとのこと(栄村は震度6強、新潟や群馬でも震度5弱を観測している)。被災情報のブログも初めて知った。

    「人間は悲しいことに出会ったとき、悲しみをともに分かってくれる人がいないと本当に悲しむことができないものである」(189ページに引用されていた、土居健郎のことば)

    16年前の震災時に働いた精神科医たちの記録。編者となった中井久夫は、神戸大学医学部附属病院精神科の教授だった。こんな人が科のトップにいてよかったと思う。

    その中井が震災時の経験をふりかえって、自分はボランティアを非常に誤解していた、ボランティアとは「任務が決まっていて、現場に行ったらその任務に奔走するものだと思っていた」、そういうボランティアもあるかもしれないが、災害救援は問題が時々刻々と変化するので「状況がすべてである」、と書いている。

    「状況がすべてである」ことについて、巻頭の「災害がほんとうに襲った時」(これはラファエルの『災害の襲うとき』をもじったタイトル)で、中井はこう書く。

    ▼ 「何ができるかを考えてそれをなせ」は災害時の一般原則である。このことによってその先が見えてくる。たとえ錯誤であっても取り返しのつく錯誤ならばよい。後から咎められる恐れを抱かせるのは、士気の萎縮を招く効果しかない。現実と相渉ることはすべて錯誤の連続である。治療がまさにそうではないか。指示を待った者は何ごともなしえなかった。統制、調整、一元化を要求した者は現場の足をしばしば引っ張った。「何が必要か」と電話あるいはファックスで訪ねてくる偉い方々には答えようがなかった。今必要とされているものは、その人が到達するまでに解決されているかもしれない。そもそも問題が見えてくれば半分解決されたようなものである。(p.23)

    病院の医師・看護師・スタッフも多くが被災者だった。九州や関東から救援に入った人たちも含め、多くの人の記録は、自身の落ち込みや涙、高揚感や興奮も率直に伝えていて、そこには精神科医や病院スタッフ独特の観点もあるけれど、16年前に私もこんな風に感じたなあと思うところも多かった。

    「生きることは本当に大きな贈り物なので、生きられたひとつひとつの生からは、何千という人々が利益を得る」(162ページに引用されていた、管啓次郎のことば)

    ※現在、版元のみすず書房で品切れになっているこの『1995年1月・神戸』と、同じく中井ほかによる『昨日のごとく』は、それぞれから文章を編み直して、『災害がほんとうに襲った時―阪神淡路大震災50日間の記録』、『復興の道なかばで―阪神淡路大震災一年の記録』として近日刊行されるそうです。

  • 東京には平静さが戻り、以前ほどには被災地や原発のニュースに一
    喜一憂しなくなっているのを感じます。ある種の慣れや忘却が始ま
    っているのかもしれません。家や家族や住む土地を失った被災者の
    方々が本当に辛いのはこれからだと考えると、不条理なことです。

    神戸の震災を経験した精神科医の中井久夫氏は、最初の40~50日が
    勝負だ、と言っています。これは、戦場の兵士達が、突然、戦闘を
    継続するのがバカバカしくなり、武器を捨てようとする態度に出る
    「戦闘消耗」のピークが40~50日だからだそうです。

    つまり、今、被災地で頑張っておられる方々も、あと20日もすれば
    疲れきって動けなくなってしまうかもしれない、その前にできるだ
    けのことをしておかないといけない、ということです。

    震災後の50日。実は、神戸については、その記録が残されています。
    題名は『1995年1月・神戸』。中井氏のほか、神戸の精神科医や看
    護士達、それにボランティアで駆けつけた人々の手による最初の50
    日間の活動記録です。阪神大震災が起きたのが1月17日で出版は3月
    14日ですから、驚くべき早さで完成された本です。未曾有の震災に
    居合わせたことに天命を感じ、後学のために生々しい記録を残そう
    とした中井氏の強い意志と祈りを感じます。

    本書は精神科医に向けて書かれたものですが、専門知識は全く必要
    としません。むしろ災害の復旧や支援に関わる人全般に向けた内容
    となっています。花がどれだけ人の心を慰めるかなど、経験者なら
    ではの実践の知恵に満ちているので、ボランティアや取材、調査や
    復旧業務で現地に行かれる方々、また、各地・各組織で震災対応に
    不眠不休で取り組まれている方々には特に役立つことでしょう。有
    事の際のリーダーシップのあり方や人の心の動きについても学べる
    ので、リーダー的立場におられる方は必読だと思います。

    残念ながら、本書は絶版です。古本の入手も困難な状況で、図書館
    で借りて頂くしかない状況です。ただし、本書の白眉である中井氏
    の「災害がほんとうに襲った時」だけは、今回の震災を受け、イン
    ターネット上で無料公開されています(リンク先を参照下さい)。
    http://homepage2.nifty.com/jyuseiran/shin/shin00.html

    なお、出版元のみすず書房は本書の新版を4月20日頃に緊急出版す
    ることを決めたそうです。本来であれば新版の発売を待って紹介す
    べきところですが、一番大事な最初の50日が終る前に読むべき人に
    読んで頂きたいと思ってここに取り上げる次第です。

    直接会ったことはありませんが、20代の頃からずっと中井氏の文章
    を読み、その感覚や思考にはとても影響を受けてきました。秘かに
    師と仰ぐ方です。今回改めて本書を読んで、中井久夫という人物に
    対する尊敬の念が更に深まりました。本書は今こそ読まれるべき名
    著です。是非、読んでみて下さい。

    =====================================================

    ▽ 心に残った文章達(本書からの引用文)

    =====================================================

    一つの問題を解決すれば、次の問題がみえてきた。「状況がすべて
    である」というドゴールの言葉どおりであった。彼らは旧陸軍の言
    葉でいう「独断専行」を行なった。おそらく、「何ができるかを考
    えてそれをなせ」は災害時の一般原則である。このことによってそ
    の先が見えてくる。たとえ錯誤であっても取り返しのつく錯誤なら
    ばよい。後から咎められる... 続きを読む

  • 本書所蔵「災害がほんとうに襲った時」(中井久夫)が、最相葉月氏により全文電子公開

  • 阪神・淡路大震災の直後から2月初めまでの神戸における精神科医の活動記録。ずっと積ん読本だったのだが、311を機会にようやく開いた。難解な文章もあり、読み切るのに1週間かかった。だが、地震における被災者や支援者の精神状態の移り変わり、ボランティア活動の在り方など、今に活きる内容である。

  • 本に読まれて/須賀敦子より

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1995年1月・神戸――「阪神大震災」下の精神科医たちの作品紹介

半ば火にあぶられたオリーヴの木、水分をしたたかに含んだこの一本のオリーヴが、火元の病院から風下の家を守った。「この木のおかげで私の家は焼けなかったのですよ」と狭い小路からおばさんが出てきて言った。この病院の47名の患者と院長の母堂とは、当直医1名ナース2名他1名より成る職員の努力で、全員救出された。

1995年1月・神戸――「阪神大震災」下の精神科医たちはこんな本です

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