- Amazon.co.jp ・本 (159ページ)
- / ISBN・EAN: 9784622039617
作品紹介・あらすじ
「分裂病は、私の医師としての生涯を賭けた対象である」30年間を分裂病の治療と研究に尽してきた精神科医が語った最終講義。信頼と責任と知恵をつたえる。
感想・レビュー・書評
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2023年5月
少し前まで治らないと思われていた統合失調症(分裂病)について、治ると表明し、治るまでのイメージを示す。
20年前、この本の「最終講義」がなされた頃、大学でわたしの受けた心理学の講義では統合失調症は予後不良であると習った。
あの頃は過渡期だったのだろう。治ると言う人はいるが、治ったという元患者を見たことがない、みたいな。
治るという案外地味な過程を丁寧に語り、治療者にイメージさせる。患者にとっても治療者にとっても光のような本だと思った。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
まったく知識のない私にとって、とても面白く感じた本でした。
父の書斎で発見し母の紹介で読んだ物。父と母に感謝。
(2010.02.22) -
偉大な精神医学の研究者・中井久夫氏の神戸大学退官時の講義を書籍化。その後先生は私が通う大学で研究室を開かれた。先生の授業はとても聞き応えがある上に、「昼食後は眠たい。それは体の正常な反応。アフリカンアワーと言ってね、昼寝の時間だ。だから私の授業中も寝ていて結構だよ」とか「人間が耐えるコトのできる“待ち時間”は14分まで。だからデートは15分遅れちゃダメだよ」などといった楽しくて温かい内容の講義だった。本著は統合失調症について学ぶ学生には是非一度読んでいただきたい“バイブル”とも言える一冊。
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著者のエッセイで精神科医としての仕事ぶりも垣間見てはいたが、こちらはより生々しくその様子が伝わる。個々の症例にある回復までの長い道のり、または予後の悪かった患者たち
昨日、たまたま電車で隣に意味不明の独り言を繰り返す男性と乗り合わせた。あれもこうした困難を抱えている人なのだろうか。もしそうだとして、中井のような救いの手は差し伸べられているのだろうか -
・色々なところで名前を聞くからすごい人なんだろうな〜と思って、なんとなく手に取ってみる。という生半可な理由からでも読んだ自分を褒めたい。後半は添付資料(図)なので、実際の文章は半分ほどの100ページくらい。だけど濃い。無駄がない。
・特に刺さったのは以下の文。
ーー分裂病のどこかに「ふるえるような、いたいたしいほどのやわらかさ」を全く感じない人は治療にたずさわるべきでしょうか、どうでしょうか。実際患者であろうと医者であろうと「心の生ぶ毛がすり切れた人」は本人も不幸ではありますが、周囲の人もそういう人とつき合いたいでしょうか。ーー
読者(受講者)に投げかけてるのはこの部分だけだけど、だからこそ筆者の強いメッセージを感じてしまう。
・相手のしんどさを理解するだけじゃなくて、第三者にもわかるようにするのがプロなんだと思うけど、そういう意味で中井先生は本当にすごい。分裂病のしんどさが「なんか分かるかも」ってなる。 -
みすず書房
中井久夫 最終講義
1997年に大学で行われた 分裂病(統合失調症)の最終講義。講義というより臨床記録であり、個別研究から得られた治療の一般モデルにも思う。治療経過図や症例比較もあり、素人でも理解できる構成
「病気は、人生の仕切り直しの機会」は名言
著者は「分裂病をマインドコントロールに対する防衛」と考えており
「睡眠、夢、心身症が分裂病から人間を護っている」としているが、現代の主説はどうなのだろうか?
「分裂病の回復は〜山を下りるときに似ている〜病いが始まった時は 患者はすでに山頂にいる。ひとりで下りられない山頂〜四方が断崖の絶頂にいる」
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100分de名著より。専門的。
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100分で名著で説明されている本である。本文を番組では朗読しているが、それだけではなく、患者が書いた絵の説明が丁寧であり、さらに患者の状態を説明したグラフが丁寧に解説している。
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NHK100分de名著:12月放送
摂南大学図書館OPACへ⇒
https://opac2.lib.setsunan.ac.jp/webopac/BB99694302