心的外傷と回復 〈増補版〉

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制作 : 中井 久夫 
  • みすず書房 (1999年11月26日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (430ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784622041139

心的外傷と回復 〈増補版〉の感想・レビュー・書評

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  •  アメリカの精神科医が語るトラウマとそこからの回復について。

     トラウマとは何か、どの様なものかなどがまとめられ、後半ではその治療について書かれている。
     トラウマケアは長い間、それを見ないようとする力と戦ってきた。フェミニスト的な視点が重要であるとこの本は訴える。
     治療の章では主に三つの段階があるとしている。まず現実的な自分自身の力を高めていく段階。次がその上で過去と対峙する段階。最後が過去と向き合うことができた上でもう一度人生を再構築していく段階と、確かこんな感じだったと思う。虐待などではその出来事にのみ目がいきがちだが、起こったことではなくその人そのものに注目し、力を回復していく支援をしていくことが重要なのだと感じた。

     トラウマケアの必読書。分厚いが何度も目を通す価値がある一冊。

  • PTSDについて過不足無く纏めている。被害者への寄り添い方と客観のバランスがとても適切と思ったら、やはり著者は女性だった。
    勉強になったのは以下。

    ・心的外傷は被害者から力と自己統御(セルフ・コントロール)を奪う。治療の基本原則はそれを被害者に奪回する事にあるが、その為に最初の課題は安全確保である。安全が十分確保いないのに治療が成功する事はありえない。

    ・家庭内暴力にあってパートナー双方が共に和解を願っても内心の目標ははっきり食い違う事が少なくない。虐待者は通常相手を強制的にコントロールするという関係を取り戻したいと思っており、被害者はそれに抵抗したいと思っている。虐待者が暴力を振るわないと誓う事は良くあるが、大抵裏の条件があって、暴力を振るわない事を誓う代わりに被害者に自己決定権を放棄してほしいというのである。

    ・絶望との対決ともに、少なくとも一過性に自殺の危険が増大する。患者な自分には自殺を選ぶ権利があるという不毛な哲学的議論を始めるかもしれない。絶対にこの知的防御の向こう側に出て、患者の絶望の火に油を注いでいる感情や空想にかかわるようにしなければならない。よくあるのは、自分はすでに死者であるという空想である。それは愛の能力が破壊されたからだというのである。この絶望の底に降りていく過程で患者を支えとおすものは、どんなにささやかでもよい、愛による結びつきの力が残っているという小さな証である。

    ・心的外傷の核心は孤立(アイソレーション)と無縁(ヘルプレスネス)である。回復体験の核心は有力化(エンパワメント)と再結合(リコネクション)である。回復の第三段階になると、外傷を被った人も自分が被害者であったことを認識し、自分が被害者となっていたための後遺症がどういうものであるかを理解するようになる。これは外傷体験の教訓を人生に組み込む準備ができたことである。自分の力量感、自己統御感を大きくし、これからもあるであろう危険に対して自らを守り、そして信頼できるとわかった人々との同盟関係を深める準備ができたことでもある。児童期の性的虐待の生存者の一人はこの段階に達した感じをこう記している。
    「私は決めた、そうだ、私を白眼視している奴らを皆メタメタにやっつけてやりたいと同じ事ばかり考えていたが、もうたくさんだ。もうそう思う必要は無いんだと。それから考えた。じゃあ、どう感じればいいんだろう、と。私は世界の中にいても安全だと感じたかった。私には力があるんだと感じたかった。そこで私の人生の現在活動しているものに心の焦点を合わせて、現実生活の場で力を持とうとした。」

  • 言わずと知れたC-PTSDのバイブル。

  • この本の前と後とでトラウマをめぐる言説は質的な変化を遂げた。症状や、治癒のプロセス、第三者のかかわり方もが概念的に整理され、語ることのできなかったトラウマを語る余地が増大したからである。マイルストーン的業績に敬礼。

  • 烏兎の庭 第三部 書評 7.29.06
    http://wwrw5e.biglobe.ne.jp/~utouto/uto03/bunsho/harman.html

  • 心的外傷についての文献的レビューから始まり、実に多くの臨床例を生々しく列挙した『熱い』一冊。読み進める苦しさに生き残れなければ、決して臨床には活かせないように思う。

  • 今や古典的名著になってしまったこの本を、10年ぶりに開いて読んでみたのだった。著名な訳者ではあるがなんだか訳語がこなれていない感じがしたのはワタシだけだろうか?

  • Child AbuseやSexual Abuseを考えるうえでは、定番中の定番である1冊。
    定番であるだけに、書いてあることは非常に重く、生々しく、正直なところ、
    「ひとりでは読まないでください」
    という注釈をつけたくなるほど厳しい本でもあります。
    「現在では治療法として現実的ではない」
    という批評もありますが、それでも知っていただきたい1冊。

  • 分類=精神医学・心的外傷。99年11月増補版。

  • 犯罪被害者の一人として、ぜひ周囲の方々に一度でいいから読んで欲しいと願う一冊。<br>
    自然災害による心的外傷と、たとえばレイプといった個人的体験による心的外傷では、異なることをぜひ知って欲しい。いっしょくたに語られがちなこれらの差異、そして、その差異を踏まえてこそ論じられなければならない心的外傷後ストレス障害=PTSDたるものの正体を、つまびらかにしてくれる書。

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心的外傷と回復 〈増補版〉の作品紹介

「トラウマ問題はすべての私たちの問題である」その諸相と治療への道を具体的に描いた本書は"バイブル"とまで呼ばれている。ここに「外傷の弁証法は続いている」の章を付し、新たにおくる。

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