少年時代

  • みすず書房
3.50
  • (2)
  • (1)
  • (4)
  • (1)
  • (0)
本棚登録 : 27
感想 : 3
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (228ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784622046806

作品紹介・あらすじ

嫌悪の対象としての父親、愛憎なかばする母親のもと、学校ではおとなしく家では暴君のようにふるまう「その子」の引き裂かれた感情に入り込み、五十年前の南アフリカの、暴力がひそむ日常生活を、今日の問題としてみごとに蘇らせたファン待望の自伝的物語。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 繊細な少年時代を描く自伝だが、主人公は「その子」。人種問題、気候、宗教、言語が、多感な南アの白人少年の描写や考え方の中に埋めこまれていて、砂浜から顔を出すガラスの切先みたい。鋭く、危なっかしく、それでいて確固としていて、昏い。

  • 階級的にも経済的にも宗教的にも
    あらゆる場面で
    上から下からの目には見えない
    ラインが引かれ
    その閉塞感のなかで
    自我に目覚めていく
    少年のやり場のない
    想いが じんわり迫ってきます

全3件中 1 - 3件を表示

著者プロフィール

1940年、ケープタウン生まれ。ケープタウン大学で文学と数学の学位を取得して渡英、65年に奨学金を得てテキサス大学オースティン校へ、ベケットの文体研究で博士号取得。68年からニューヨーク州立大学で教壇に立つが、永住ビザがおりず、71年に南アフリカに帰国。以後ケープタウン大学を拠点に米国の大学でも教えながら執筆。初の小説『ダスクランズ』を皮切りに、南アフリカや、ヨーロッパと植民地の歴史を遡及し、意表をつく、寓意性に富む作品を発表して南アのCNA賞、仏のフェミナ賞ほか、世界の文学賞を多数受賞。83年『マイケル・K』、99年『恥辱』で英国のブッカー賞を史上初のダブル受賞。03年にノーベル文学賞受賞。02年から南オーストラリアのアデレード郊外に住み、14年から「南の文学」を提唱し、南部アフリカ、オーストラリア、ラテンアメリカ諸国をつなぐ新たな文学活動を展開する。
著書『サマータイム、青年時代、少年時代——辺境からの三つの〈自伝〉』、『スペインの家——三つの物語』、『少年時代の写真』、『鉄の時代』、『モラルの話』、『夷狄を待ちながら』、『イエスの幼子時代』、『イエスの学校時代』など。

「2023年 『ポーランドの人』 で使われていた紹介文から引用しています。」

J.M.クッツェーの作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×