猫の紳士の物語

  • みすず書房
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感想 : 3
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  • Amazon.co.jp ・本 (128ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784622047032

作品紹介・あらすじ

みずから望んで"ホームレスの猫"になったものの、この暮らしは容易でない。やはり、プライドを失わずに人間と共生する道を探そうか。理想の飼い主を求めて…。実話をもとにした、ユーモラスでほろ苦いお話。

感想・レビュー・書評

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  • 放浪猫を主人公とした、猫生物語、あるいは猫の哲学のような。猫好きならばかならずにんまりとしてしまうはず("猫" をしらないひとからしたら、宇宙人(猫)をみているような気になるかもしれない)。こんなにも猫にたいする敬意に満ちた本に出会うのははじめて。これがまたメイとジュディの家族であったトム・ジョーンズだっていうのだから! 猫のひとつひとつの不思議ともおもえるような行動が、紳士な猫としての条件のように掲示されるのだけれど、メイの猫への献身をしっているので、それらはとても信頼できるものだった(「かれの尾はぴんと立ちましたが、それは彼女たちに、これから徘徊にでかけるからいまは少なくともねずみを捕らえる気はないこと、それはただ見てまわるだけで、どんな意味にせよ縛られる気はないことをわからせるためでした。」)。わたしたちは彼ら(猫たち)の"ハウスキーパー"。彼らが放つ怒りやさびしさに満ちたあの鳴き声がじつは、うたっていた詩だったなんて(ロマンチック!)。ジュディを"やさし声"、メイ自身を"ぶっきら声" なんて呼んで、ちょっとした自虐的ユーモアも愛おしすぎる(「ぶっきら声がいつも運転して出かける、ぞっとする音をたてるうえに不快な臭いのする車へと運ばれていったのです」)。
    このファンタジーのような追憶をとおして、わたしたちはトム・ジョーンズのことについてと彼女たちの彼への愛と愛に満ちた生活を、ついに知ることができたのだった。ほんとうに愛すべき物語。
    「人間にほんとうに愛されたとき、猫の紳士は毛皮の人となる」

  • 絶版になっているので、中古で購入。

    猫のトム・ジョーンズ。
    いったん野良猫になったものの、不便さがわかり、ハウスキーパーと家探し。
    良い老婦人2人の家で飼われて幸せになる。

    猫の動作が細かく描かれ、彼らはこんなふうに考えながら生きてるんだろうなぁと思わせる。
    猫と同居している人は、「あぁ、あの動きね!」と同感できるだろう。

    ベンジャミン・レヴィの挿絵も人間っぽくて独特で良い。
    まさに、毛皮の人だ。

  • 猫のキャラクターはなかなかいいのだけど、翻訳が堅苦しくてイマイチ。

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著者プロフィール

(May Sarton)
1912-1995。ベルギーに生まれる。4歳のとき父母とともにアメリカに亡命、マサチューセッツ州ケンブリッジで成人する。一時劇団を主宰するが、最初の詩集(1937)の出版以降、著述に専念。小説家・詩人・エッセイスト。日記、自伝的エッセイも多い。邦訳書『独り居の日記』(1991)『ミセス・スティーヴンズは人魚の歌を聞く』(1993)『今かくあれども』(1995)『夢見つつ深く植えよ』(1996)『猫の紳士の物語』(1996)『私は不死鳥を見た』(1998)『総決算のとき』(1998)『海辺の家』(1999)『一日一日が旅だから』(2001)『回復まで』(2002)『82歳の日記』(2004)『70歳の日記』(2016)『74歳の日記』(2019、いずれもみすず書房)。
*ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです。

「2023年 『終盤戦 79歳の日記』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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