いちばん美しいクモの巣 (詩人が贈る絵本 II)

  • みすず書房
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本棚登録 : 144
感想 : 20
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  • Amazon.co.jp ・本 (32ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784622047438

感想・レビュー・書評

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  • 絵本ですが文章も多め。
    線が細く繊細な絵柄で素敵。クモというモチーフで苦手と思う方もいそうですが、とても芸術家で乙女なクモで私は好きです。
    図書館で借りましたが手元にあれば嬉しい本だなぁと思うし、プレゼントにもしたい。

  • この完璧なシンメトリー。
    繊細かつ強靭な縦糸と横糸で織り成されたクモの巣は、陽の光を浴びることで全貌を現わす。その一本一本はプリズムのよう。朝露で飾られたリーゼの巣には、城の庭に咲くユリやツバキやバラ、そしてそれらの枝葉の色が織り込まれている。
    夜には、星と月の光が「いちばん美しいクモの巣」を彩ってくれるだろう。城の中にも宝石はあるけれど、彼女の巣を通して見ればどれも宝石。
    『クモを殺すと、幸運が逃げちゃうのよ』
    これには、一度限りの芸術品を壊したくなかった人の願いも込められているのかもしれない。
    《2014.09.21》

  • シンプルな幾何学模様(クモの巣)の表紙に正直、驚いた。まるで、数学の本のよう。
    子供用の絵本……と思ってたので、それにしては絵が複雑で色もシンプル。幼児向けではなくてもう少し大きい小学生くらい向けの絵本……なのかな。

    中も思ったよりは文字がぎっしりと詰まっていた。

    でも、物語は素敵だった。表現も綺麗。

    物語の主人公はクモのリーゼ、人間は誰も住まなくなったお城に住むリーゼは一番美しいクモの巣を作りたくなり、奮闘する。他のクモに役に立たないと言われても作り続け、やがて人間がお城に戻ってきて、クモのリーゼは追い出されてしまう。
    そして、外の世界で『いちばん美しいクモの巣』を作り上げる。

    というあらすじ。

    『宝石のように輝くクモの巣を作りたい』

    王様の住むお城だったので昔は宝石が輝いていたから、リーゼはそう思う。昔の栄光と今のクモの巣だらけの現状を比較して書かれている。描写の一つ一つが綺麗で素敵すぎる。

    力作のクモの巣はクモたちには不人気でも人間には緻密で美しく興味が惹かれるもので、取られてしまうのだけど……人間とクモの関係もいいなと思う。

    そして、クモがちゃんと『蜘蛛』なので、目が八つあって、丸まって死んでしまうわと思ったりするの……しっかり、蜘蛛してると思ってしまった。いや。クモなのだけど、こういう話って擬人化されてるのが多い気がするので。カッコ書きで蜘蛛の目は八つと注意書きがあるのもいい。

    最終的に朝露に蜘蛛の巣が光って『宝石のよう』になるのも素敵だった。
    もちろん絵も緻密で幾何学的な感じがして楽しめた。キラキラの宝石のクモの巣……。

    素敵な絵本。

  • 芸術作品のような蜘蛛の巣のオンパレードでした。

  • 絵本なのだけれど、クモの巣と聞けば買わないわけにはいかぬ。

  • 自然の中にこそ美しいものはあるのだと感じました。

  • 繊細で柔らかなラインの絵で結構好みです(*^_^*)

  • ページごとのクモの巣の模様に心奪われる。本当に美しいものは、ひとりひとり違うのだけど、それが誰に知られているものでも誰も知らないものでも、尊い。

  • 誰も住んでいないお城で、美しい巣を作ろうと夢中になる蜘蛛のリーゼ。しかし、やがてそこに人間がやってきて……。蜘蛛と人間にとって「美しいクモの巣」とはどんなものなのか、その美意識のずれがとても面白い。

  • 本当に美しいものとは何だろうか。この絵本には訳者である詩人の想いも詰まっているのだと思う。ありのままの美しさはいつだって自然界に存在するのである。そしてそれは偶然に支配されることがほとんどなのだ。人は前ばかり見ていて、そこにある美しさをなかなか見つけることが出来ない。ゆったりと辺りを見回して、感動できる心を持ち、すぐそこにある美しさを見つけられる人になりたい、と私は思った。それが、人が人としての一番楽しいことだと思うから。

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著者プロフィール

アーシュラ・クローバー・ル=グウィン(Ursula K. Le Guin)
1929年10月21日-2018年1月22日
ル・グィン、ル=グインとも表記される。1929年、アメリカのカリフォルニア州バークレー生まれ。1958年頃から著作活動を始め、1962年短編「四月は巴里」で作家としてデビュー。1969年の長編『闇の左手』でヒューゴー賞とネビュラ賞を同時受賞。1974年『所有せざる人々』でもヒューゴー賞とネビュラ賞を同時受賞。通算で、ヒューゴー賞は5度、ネビュラ賞は6度受賞している。またローカス賞も19回受賞。ほか、ボストン・グローブ=ホーン・ブック賞、ニューベリー・オナー・ブック賞、全米図書賞児童文学部門、Lewis Carroll Shelf Awardフェニックス賞・オナー賞、世界幻想文学大賞なども受賞。
代表作『ゲド戦記』シリーズは、スタジオジブリによって日本で映画化された。
(2018年5月10日最終更新)

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