転移の心理学 新装

  • みすず書房
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感想 : 2
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  • Amazon.co.jp ・本 (313ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784622049876

作品紹介・あらすじ

ユングは本書で、16世紀の錬金術の書『哲学者の薔薇園』の挿し絵を材料にして転移現象を論ずる。変容の場である「メルクリウスの泉」から始まり、新しい全体性の成就である「新たな誕生」に至る10枚の絵。これは対立物が結合する錬金術過程を示しており、転移が進行していく過程でもある。「錬金術師の経験は、ある意味では、私の経験であり、彼らの世界は私の世界であった」というユングは、転移の理解に、錬金術の考え方を縦横に援用する。ユングの心理療法を知るうえでもっとも重要な書、待望の邦訳。

感想・レビュー・書評

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  • これはよく分からないなりに、スゴい本だ!

    「転移」とは、患者(クライアント)が分析医(カウンセラー/コーチ)に、自分の無意識などを「投影」することから始まる複雑な関係性みたいなもの。

    この本は、プロの臨床分析医に対して、「転移」を論じる専門書で、かなり難解。

    ということなのだが、ユングは、「転移」を、錬金術の「哲学者の薔薇園」という10枚の図版にもとづき説明していて、これが、「転移とはなにか」という本題をひとまず脇において読むと、ものすごく面白い。

    簡単に言うと、「男性性」と「女性性」の結合、対立するものの結合に関する錬金術的なプロセス。
    これが、まさにU理論というか、ヒーローズ・ジャーニーというか、十牛図というか、という感じ。

    本当に、洋の東西に関わらず、真にクリエイティブなプロセスは、Uプロセス的なものになる、という確信を新たにした。

    つまり、対立するもののダイナミックな統合、「全体性」の回復、ということなんですね。

    素晴らしい!!!

    一方、これが「転移」とどう関係しているか、というのは結局のところ、よく分からない。

    多分、患者と医者との関係、治療の可能性は、こういう相互的なクリエイティブ・プロセスのなかにある、ということが言いたいんだろうけど、訳者の解説でもややクエスチョンがでているとおり、今ひとつ、強引な感じは残る。

    「男性性」と「女性性」の統合の話しと割り切って、「転移」についてもヒントを得られればいい、というくらいのスタンスで読むといいかな。

  • 難しいところは飛ばし読み。それでも、参考になる部分があった。心理療法における「転移」と「逆転移」について、知識を得ることができる。カウンセラー的な立場で人と関わる人は、こういうことを知っておいた方がいい、と思えることが書いてあった。

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