サバルタンは語ることができるか (みすずライブラリー)

  • みすず書房
3.43
  • (7)
  • (20)
  • (36)
  • (5)
  • (0)
本棚登録 : 417
感想 : 22
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (145ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784622050315

作品紹介・あらすじ

フェミニズムとポストコロニアルの問題圏の交差点に定位しつつ、サバルタンの女性と知識人のあり方をめぐって展開される目眩く筆致。従属的地位にあるサバルタンの女性について、知識人は語ることができるのか、フーコーやドゥルーズを批判しながら、一方でインドの寡婦殉死の慣習を詳細に検討した、現代思想の到達地平。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 正直に言ってしまえば、難しい。デリダのところで躓いてしまう。言えるのは、サバルタン、つまり本当に困っているひとたちは、自分たちの事情を語るどころじゃないんだが、原則としては他のひとがそのひとに成り代わって代弁することはできない、できないんだが、しようとしなくちゃいけないんだ、つぅことだ。最終段落が初出から書き換えられていて、書き換えられる前のには「女性知識人には―知識人として―この証拠を記録するというひとつの限定された任務がある」としているんだが、どうして女性なの?とか、これを削ったのは何故、とか思ってる。きっと何度も読み返すことになるだろうな。

  • ポストコロニアル批評関係をざっと流し読みをするなかで、どうもサイードの「オリエンタリズム」とあわせて、必読書らしい本書を読んでみる。

    Q. サバルタンは語ることができるか?

    A. できない。

    という内容なのだが、そもそも「サバルタンって、何?」という状態なんだから、困ってしまう。著者は、インド系なので、サバルタンって、インドの部族の名前?とか、思ったのだが、被抑圧民という感じのマルクス系用語のようだ???

    著者は、マルクスとデリダを踏まえつつ、まずは、フーコーとドゥルーズを、「国際的な分業における抑圧みたいな概念がない。一見、西洋中心主義の主体を批判していそうで、それはやっぱり自己正統化なのだ」という感じで、徹底的に批判する。

    うーん、どっちもどっちじゃないのー?なんだかよく分からない。
    が、それなりに刺激的な議論にはなっているかな?

    で、面白かったのは、そういう理論篇の部分より、インドの寡婦が亡夫といっしょに火葬される習慣についての分析で、デリダ的な言説の分析のさえを見せる。

    それにしても、こういうやたら難しい議論していて、それこそ「サバルタンにとって意味あるの」と言いたくなるが、そういうディスクールこそ、著者が脱構築しようとしているものなんだろなー。

    あまり分かったわけではないし、理解した部分も賛成できるわけではないが、いろいろなことについて、考えさせる刺激に満ちた本である、とは言える。

  • 最初の方の哲学的な考察は難しいが、後の方は具体的な話も出てくるので少しは読みやすくなります。「開発学」を勉強するならレヴィストロースやサイードなどと共に避けて通れない一冊だと思います。

  • 確認先:町田市立中央図書館

    スピヴァクの代表的な位置づけをなされる著書。

    ヨーロッパの思想家が無自覚に抱え込んでしまっている物言いに対する著者の違和感がストレートな形で形容されている。もちろん、本書が著者の理想地点、ということは到底できまい。
    むしろ、本書で「サバルタンは語ることができない」からこそ、何が求められ、そして知識はどのようにあるべきなのかという彼女の思考が始まる原点になったのではないか、と私などは思っている。

    けんか腰に見えなくも無いだけに拒絶反応が出る人はいるかもしれない。だが、真剣に向き合うとあながちそうでもないのだと思えなくも無い。

  • おそらく最も有名なスピヴァックの論文。“Marxism and the Interpretation of Culture”に収録。今となっては、なぜ原文をなんとか読んだのかわからない(笑)。全然、わからない箇所があって当然でしたなあ。ドゥルーズ、フーコー批判にはじまり、デリダとマルクスの再評価・読み直し、として位置づけられるのだろう。まあ、ともあれ、最も周縁化された者の声は、裂け目であり、声なき声である、という意味で、誰もそれを発語されたものとして聞き取ること、理解すること、そして収奪もできない。それを不可能性を表示するもの、として考えていたけれど、むしろ逆に、残滓としての可能性として、サバルタンの声を垣間見る(聴く)ことであってもいいのではないか…と思ったりもする。

  • 【配架場所、貸出状況はこちらから確認できます】
    https://libipu.iwate-pu.ac.jp/opac/volume/566807

  • 分からんなりに読み通しはした。被抑圧的社会集団の言動を記述するとき、支配者側は自分の文脈に入れて理解してしまうので、サバルタンは語ることができないっていう話?

  • 1 フロンティアを/フロンティアから考える[北村嘉恵先生] 3

    【ブックガイドのコメント】
    「サバルタン(下層の人々)は語ることができない、と言明する著者が見据えるのは……。」
    (『ともに生きるための教育学へのレッスン40』182ページ)

    【北大ではここにあります(北海道大学蔵書目録へのリンク先)】
    https://opac.lib.hokudai.ac.jp/opac/opac_link/bibid/2000756221

    【関連資料(北海道大学蔵書目録へのリンク先)】
    ・[第1版第11刷]2012年発行
    https://opac.lib.hokudai.ac.jp/opac/opac_link/bibid/2001769117

    ・[第1版第2刷]1999年発行
    https://opac.lib.hokudai.ac.jp/opac/opac_link/bibid/2000894578

  • ポストコロニアル批評の先駆け。

全22件中 1 - 10件を表示

G.C.スピヴァクの作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
ミシェル・フーコ...
ミシェル・フーコ...
ジャン ボードリ...
ミシェル・フーコ...
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×