戦争とプロパガンダ 3―イスラエル、イラク、アメリカ

  • みすず書房
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感想 : 7
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  • Amazon.co.jp ・本 (130ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784622070252

作品紹介・あらすじ

病いをおして情況への発言を続けるサイードの『戦争とプロパガンダ』第3集。「アメリカのユダヤ人の危機」「細目にわたる懲罰」「無力のどん底」など8篇を収録。

感想・レビュー・書評

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  • 戦争とプロパガンダ全4巻読了。(これは3巻だけど4巻を先に読んでしまったので)。サイードが生きていたなら、このオンタイムの声は今も続いて巻を重ねていただろう。白血病の治療に苦しみながら、尚も戦い続ける強い意志に溢れている。パレスチナ問題は未だ解決せず、イスラエルの攻撃は収まること知らず、弱者の命がいとも簡単に失われていく。裏で操られる報道には不信感が募るばかりだ。アメリカの慢心にメスを入れる勇者がサイードだった。サイードのように真実の、魂の声を聞かせてくれる知識人がもっともっと増えたなら、世界は変わるのかもしれない。

  • サイード 「 戦争とプロパガンダ 」 9.11翌年の論文集。

    パレスチナ視点によるイスラエル、アメリカ批判の本。著者自身では何もできない無力感を随所に感じる論調。中東問題を理解するのは難しい


    パレスチナ人は 人間としては 存在しない〜歴史、伝統、社会、苦しみや抱負を持った人間として存在しない という文章は過激。

    アイデンティティは 人間性の全てである というメッセージを強く感じた


    著者の提言
    *民族間の共存〜二つの国家が主権と平等に基づいた自然な関係をもって共存する
    *パレスチナ人を統治するための正統性を作り出すのは パレスチナ人
    *文明の衝突という〜単純化志向の低級な概念が、思考と行動を乗っとってしまった〜いま必要としているのは、それに代わる普遍主義的な枠組みであり〜その枠組みを再建する唯一の方法は、教育である
    *アイデンティティとは〜市民として存在する権利〜私たちは二つの国民で構成される一つの国家の一員としてお互いを受け入れるのが賢明



  • p.3
    確かにアメリカのユダヤ人の多くは、イスラエルが西岸地区でやったことを熱狂的に支持している。たとえば、あるユダヤ系アメリカ人は、自分の息子はいまイスラエル軍に入隊し、「武器をもって、おっかなく、パレスチナ人を一人でも多く殺そうとしている」と語っている。
     アメリカで恵まれた生活をしていることの罪悪感も、この種の妄想的な思考に一役買っている。しかし、最大の原因は、幻想と神話への異常なまでの逃避であり、それは世界でも他に類をみないような思慮のないナショナリズムと教育に由来するものである。

  • この一連の書籍に書かれている事実をどれぐらいの人が知っているのだろうか。サイードの無力感はここにあると思う。アパルトヘイトは崩壊したがイスラエルは残っている。

  • 根底にある問題は、パレスチナ人は人として存在しない、すなわち他のすべての人々と同じような、歴史や伝統や社会や苦しみや抱負をもった人間として存在しないということだ。
    イスラエルの安全は今や伝説の獣である。一角獣のようにそれはどこまでもおい求められるが決して見つかることはない。永遠に今後の行動目標にとどまるのだ。時が経つうちに、イスラエルはますまず安全でなくなり、隣国からはいっそう疎まれるようになったが、そのことは一瞬の注意にも値しない。

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著者プロフィール

1935年11月1日、イギリス委任統治下のエルサレムに生まれる。カイロのヴィクトリア・カレッジ等で教育を受けたあと合衆国に渡り、プリンストン大学卒業、ハーヴァード大学で学位を取得。コロンビア大学英文学・比較文学教授を長年つとめた。2003年9月歿。

「2018年 『イスラム報道【増補版】 [新装版]』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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