- Amazon.co.jp ・本 (289ページ)
- / ISBN・EAN: 9784622070900
作品紹介・あらすじ
イスラエルとパレスチナ、二つの民族が一つの大地に共存することはできないのだろうか。本書は、エルサレム在住の作家が、この十年余をつぶさに観察した現場報告を中心にしている。1993年のオスロ合意調印からラビン暗殺、第二次インティファーダ、シャロン復活、9・11、イラク戦争、ロードマップ、2003年12月まで。リアルかつ希望を失わない41の文章は、かの地で起こっている現実を目の当たりにさせてくれる。
感想・レビュー・書評
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[癒しよ、何処に]1993年のオスロ合意から2003年のジュネーヴ合意に至るイスラエルとパレスチナの10年を精緻に観察した作品。和平への希望と、それが潰えることへの絶望との間に揺れる筆者、そしてそれぞれの世論の動きが感じ取れる作品です。著者は、エルサレムに生まれ、自らを左派の活動家とも称している作家、デイヴィッド・グロスマン。訳者は、原著を一読して没頭したという二木麻里。原題は、『Death as a Way of Life』。
略年表にして駆け抜けてしまうと、絶対に知り得ない、感受し得ない当時のなまなましい思いが凝縮されています。グロスマン氏は二国家解決を唱え、右派と呼ばれる人々の対パレスチナ政策に関して一貫して批判的な方なのですが、その立場に立脚する者ですらも、テロや暴力の連鎖の影響からは逃れられないんだなと(それ自体、その恐怖の中にある人からすれば当然と言われてしまうことなのかもしれませんが)感じました。
〜この戦闘は、イスラエル人とパレスチナ人とのあいだでおこなわれているのではない。絶望に甘んじない人びとと、絶望を自分の生き方にしようとする人びとの間でおこなわれているのである。〜
「そのとき」に足を踏み入れることができる貴重な一冊です☆5つ詳細をみるコメント0件をすべて表示