読書教育―フランスの活気ある現場から

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著者 : 辻由美
  • みすず書房 (2008年4月19日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (213ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784622073772

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読書教育―フランスの活気ある現場からの感想・レビュー・書評

  • 図書館で見つけた一冊、題名通りに読書による教育が題材で、
    「高校生ゴンクール賞」など、フランスの教育現場が紹介されています。

    その「高校生ゴンクール賞」は日本でいう芥川賞を、高校生が主役となって選ぶ文学賞で、
    本家・ゴンクール賞とは受賞作が異なることも多いそうで、とても興味深い。

    - 作家を審査員とする文学賞が信用を失っている

    これは日本でも同様のジレンマに陥ってると思いますが、それを、
    "しがらみ"に囚われない純粋な視点で、乗り越えようとしている一例でしょうか。

    - 読書の「社会化」、つまり、読書という行為を共有しあう空間がつくられることで、それが可能になる。

    この他にも、フランスでの「読書」を軸にした教育活動について、色々と紹介されています。

    日本は、幕末に来た外国人が、街角で普通に立ち読みする庶民の姿を見て、
    「植民地化は厳しそうだ」との感想を持った位に、昔から「読書」は身近にありました。

    フランスと比べると、日本での司書や司書教諭など、本に携わる人々の社会的地位は相対的に低く、
    「読書教育」の根付きようはまだまだですが、ポテンシャルは負けていないと感じます。

    本を読むということは、自身の言葉でも考えることと、思います。
    息子にもそろそろ、読書を習慣づけていきたいかなぁ、、なんて、思いました。

  • 何気なく読み始めたが、フランスの子どもの読書教育事情を知るにつれ、なんとも幸せな子どもたちだと大変羨ましくなった。
    また、これをこなす教育者、アニメーターがいるという現実、読書に対するフランス人の意識など、他にもすばらしいことがたくさん重なっていると思った。
    こうしたことが積み重なって文化となっていくのだと思うと、日本はやっぱりちょっと心配かもしれない。


    読書アクションとは、学校側からの要請に応じて、パリ読書センターがねりあげるプロジェクトのこと。
    まる2週間にわたって、授業としておこなわれ、複数の学年、ときには全学年が参加する。
    読書アクションはかならずひとつのテーマをめぐってなされる。
    テーマは、その学校の子どもたちが現実にちょくめんしているものでなければならない。例)「男と女」
    年齢の異なる子どもたちを15人くらいのグループにミックスさせて、テーマについて議論し合う。

    子どもどうしの争いは競争意識からくることが多いが、6歳の子は10歳の子と競争しようとは思わない。混成の集団のほうがいじめがずっと少ない。

    調べ物の方法は多様でなければならない。あるテーマを調べるのに、本を参考にしたり、絵画や彫刻を観察したり、街頭にでてインタビューするなどアプローチを変化させれば子どもたちの興味に幅と深みが出てくる。

    パリ読書センターの試みとは~
    書物が生きて機能しているような社会環境を子どもたちに提供すること
    読むことが困難な子どもたちのほとんどは本が生きていない環境のなかで生活している
    大人が本を読んでいないので、子どもたちには本の有用性が理解できない。
    読むことはおもしろいことなんだ、ということを私たちは子どもたちにわからせようとしているのです」
    読書はかならずしも個人的なものではなく、他の人たちと分かち合い、議論できるもので、何かの実現に役立つ。読むという行為は書くという行為と切り離せない。書くことを知ると、よりよく読めるようになる。
    ロベール・カロン パリ読書センター所長

    読書アクションの例
    『レオナルド』ヴォルフ・エァルブルッフ (著) 、 うえの ようこ (翻訳)
    絵本の見開きのページを1ページづつ渡され、文字を伏せ、イラストだけから物語を想像し次にくる話を推測する

    同じアイディアで、言語のわからない『下舞木の子育て地蔵』(日本の民話)のアニメを見せストーリーをねりあげる

    【高校生ドンクール賞】
    Prix Goncourt des lycéens 1988~
    http://www4.fnac.com/guides/livre/goncourt-des-lyceens/default.aspx
    http://fr.wikipedia.org/wiki/Prix_Goncourt_des_lyc%C3%A9ens
    2000『アラーの神にもいわれえない』アマドゥ・クルマ
    2001『碁を打つ女』シャン・サ
    2003『ファラゴ』ヤン・アベリ
    2004『ある秘密』フィリップ・グランベール
    2005『マグヌス』ルヴィー・ジェルマン
    2007『プロデックの報告書』フィリップ・クローデル

    2005ガストン・パシュラール電気技術職業高校の場合
    ブーリム先生の言葉
    「ぼくはフランス社会にとけこむのに、いまのぼくの生徒たちと同じ困難を体験した。成功の鍵は本のなかにあった。だから、文学にたいする欲求を生徒たちに伝達したいと思っている。生徒たちの多くは数学が苦手ですが、それは語彙不足のせいで数学の本の記述がよくのみこめてないからです」

    「ウエスト・フランス紙 」レンヌ市に本社をもつ新聞社
    学校担当が独立した部局となっている
    学校担当記者はメディア教育に専念す... 続きを読む

  • 図書館で。
    読書教育というよりはフランスの高校生ゴンクールなるものの紹介のようだなぁと思いながら読みました。日本で言う所の直木賞とか芥川賞を高校生が読んで選んだ、みたいなものなのかなぁ。

    母語が違うって大変だしそう言う生徒が混在する教育現場は大変だろうな。日本も今は外国の方や外国人の父母を持つ子供が増えて来たとは思いますが基本は日本語での授業だけ、だと思うし。アメリカの高校はEsol( English for speakers of other languages )とかありましたが日本には日本語以外の母語を持つ子のための日本語教室なんて存在するんだろうか?なんて考えてしまいました。

    でもまあ日本は識字率も高いし日本の若者は文字媒体を読むことにはあまり抵抗がないんじゃなかろうかと思います。文学を読んでいるかは謎ですが。でも今は漫画も読むのを億劫がる子も居ると聞くしスマホアプリとかゲームとかの方が勢いがあるから日本も次の世代の読者層を確率するための読書教育を考えた方が良いのかもしれない。読書してそれを発表する場が必要、というのは印象に残りました。日本も読書感想文とか課題図書を作らずに生徒に選ばせて好きなように発表させたらいいのになぁ。

    例えばブクログのようなネットを使って発表した感想文とかを外部に読んでもらったり評価してもらうことも読書意欲に繋がると思う。自分が読んだ本を他の人はどういう評価をしているのかって気になるものだし。
    そう言う意味では交流の場は学校や図書館などの空間で区切らずもっと自由でもいいんじゃなかろうかな、とかネットを使えばかなりローコストでも出来るんじゃないかな、なんて思ったりもしました。

  •  フランスの読書推進策は規模が大きい。まず、教員のほかに読書教育のスペシャリストであるアニメーターという役職が確立されており、継続的計画的な毒素指導ができるということだ。日本の司書や司書教諭はどちらかといえば事務職的な扱いを受けていることが多く、教育というアクティブな面はあまり発揮されていない。日本でも遠慮なく読書推進を実行できる立場にしなけれならないと感じた。
     そして、究極の読書推進策が文学賞の選定者として子供たちが中心的な役割を果たすという行事である。本書で紹介されているのは日本の芥川賞にあたるような一般向け文芸作品の新人賞の選定を高校生が行う高校生ゴンクール賞と、老年の問題を扱った作品に限定して各年齢層で入賞作品を決めるクロノス賞、子供向けの作品に限定して子供による作品選定を行うアンコリュプティブル賞が紹介されている。どれも発案は強力な組織を持たない教師や司書、中小書店経営者などだが、読書推進に対するそれぞれの目的、思惑を巧みに利用して全国レベルの文学賞イベントにしているところが面白い。教育界のみならず、産業界も巻き込み、さらにはメディアの影響力も行事の維持、推進に寄与しているのだ。それぞれの利益を満たしながら、結果的に生徒たちに本を読ませることに成功している。
     これをそのまま我が国でできるかといえばかなりハードルが高い。例えば高校生芥川賞のようなものを実施しようとした場合、差別や性描写を多く含む候補作を教室で読ませることには少なからぬ戸惑いが伴う。また、カリキュラム重視の現在の教育現場で読書教育に充てられる時間は限られており、放課後の活動にしてしまうならば、読書推進よりもむしろ高校生の生活への阻害要因になる。
     フランスのように2か月間の国語の授業をすべて文学賞審査に充てるような思い切った決断がない限り、そしてそれを社会が評価する風潮がない限り実現は困難であろう。
     本書が教えてくれるのは子どもに読書をさせる仕掛けはある程度大掛かりでなくてはならないこと。そして読書が重要不可欠の文化的活動であることを社会が認識すること。さらにはそのために、奉仕的寄付的な援助をしてくれる企業、団体などの資金源が確保できることが必要なことである。
     いろいろと示唆をもらった。

  • 2015年11月16日読了

  • 高校生ゴンクール賞を中心に、フランスの読書教育への取り組みを紹介した本です。
    出版社や著名人ではなく、普通の読者が受賞作を決める取り組みが素晴らしいと思いました。日本でもこういう取り組みが始まればいいのになあと思いました。

  • 子どもたちがあたえる文学賞のはなし。

  • 地味本ながら、すごいおもしろい!内容。
    読書教育にたずさわる人はあまねく読んで欲しいおすすめ本。

  • フランスでは子供たちが選ぶ本の賞があるのだそう

    身近でなかったり、好きでもない人からすすめられても
    本を読む気にはなれないけど

    こんな賞があったら読書人口が増えるのではないでしょうか

  • 「若者が本を読まなくなった」

    こう言われているのはフランスも日本も同じ。

    しかし、フランスの読書率は上がった。

    なぜか?


    この本では「若者が与える賞」を通じて読書教育を描いている。

    「高校生ゴンクール賞」「クロノス賞」「アンコリュプティブル賞」
    この3つは若者が選考委員を務め議論して賞を与える本を選ぶ。

    そうそう。一つの本について話し合う、というのは、とても楽しいんだよね。
    学校・書店・行政がお互いに文句を言いつつもがっちり協力しあっているのが清清しい。


    特に気に入ったセリフは以下。

    「最近は接近しやすい本に人気があつまります。けれど、しっかりした論拠のない人気は長つづきしません」

    「わたしは人類の一体性を強く信じています。人類はひとつなのですから、この小説はあなた自身のことも語っています。もし外国文学のなかに自分自身の声のこだまが聞こえていないとすれば、外国文学を読む必要性はなくなるでしょう」

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