東京裁判―第二次大戦後の法と正義の追求

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著者 : 戸谷由麻
  • みすず書房 (2008年8月23日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (451ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784622074069

東京裁判―第二次大戦後の法と正義の追求の感想・レビュー・書評

  •  東京裁判の開廷から審理過程のあらまし、日本における判決の受け止め、近年の研究動向までをバランスよくまとめた大著で、たいへん勉強になった。

     全体として東京裁判の肯定的な面を取り出そうとする立場で貫かれているところがやや気になるところではある。それでも、①具体的な審理の場面に分け入り、ウェッブ裁判長を中心とする法廷がある種の教育的な役割を果たしていたこと、②中国段階・フィリピン段階での検察官の立証に注目し、アジアにおける日本軍の戦争犯罪の実態解明が積極的に取り組まれていたこと、③ニュルンベルク法廷と東京法廷tろが国際人道法の発展に大きく貢献したという歴史的な展望のもと、東京法廷の裁決の現在的な意義に目を向けたことなど、自分自身の勉強にも益するところは多かった。
     
     問題があるとすれば、〈国際人道法の発展〉をまるでマジックワードのように使っているところだろうか。東京法廷の判定が現在の国際人道法や国際裁判の先例となっているのは事実としてもそ(それが法学というものだろう)、当の国際人道法の現状にかんする問題の指摘や、内在的な批判がなされていないので、どこか〈勝者の裁き〉の洗練された肯定、という印象がつきまとう。第九章でのパルの少数意見をめぐる議論にしても、判事としてのパルの職務怠慢や、東京裁判後のパルの思想的な奇妙さを議論した部分は十分説得力を持つだけに、パルの「反対意見」を「国際法の歴史的流れを見誤った判定をくだし」ている、と否定するだけではいささか不十分に感じてしまう。東京裁判後は日本側の枠組みに積極的にすり寄っていった気味合いのあるパルの思想的な問題を議論するためにも、そして、パルの議論と東京裁判否定派の関係にクサビを打ち込むためにも、東京裁判時のパルの「反対意見」については、より立ち入った分析=記述が必要だったのではないか、と感じた。

  • 全部で400ページを超える非常にボリュームのある本。
    また、参考文献も非常に多く、著者が実証的に東京裁判及びその審理対象となった歴史を解明しようとした姿勢がうかがえる。
    私は、本書が対象としている現代史に特別造詣が深いわけでもなく、よって本書の内容を完璧には理解できないところもあったが、再度チャレンジしてみたいと思わせる本である。

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東京裁判―第二次大戦後の法と正義の追求の作品紹介

「勝者の裁き」の判決が今、国際人道法の発展に貢献している。広範な史料を読みこみ、多角的な分析から新しい東京裁判観を提示、戦後の「神話」を解体する。

東京裁判―第二次大戦後の法と正義の追求はこんな本です

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