心は遺伝子の論理で決まるのか-二重過程モデルでみるヒトの合理性

  • 40人登録
  • 3.29評価
    • (2)
    • (1)
    • (2)
    • (1)
    • (1)
  • 4レビュー
制作 : 鈴木 宏昭  椋田 直子 
  • みすず書房 (2008年12月19日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (499ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784622074212

心は遺伝子の論理で決まるのか-二重過程モデルでみるヒトの合理性の感想・レビュー・書評

並び替え:

表示形式:

表示件数:

  • 人の脳に組み込まれた演算システムには、
    より無数の事象を低負荷で短絡的に一瞬に処理する古いシステムと、
    一度に一つしか扱えないが、構築的で批判的に処理できる新しいシステムがあることを、ダーウィン→ドーキンスを経た進化理論をベースに解き明かしていく。

    本能、旧皮質、直観に対する
    理性、新皮質、思考という構図に、
    少し異なる角度から光が当てられ、気付かされることは多い。

    最終的に、理性の勝利によって商業主義や悪徳商法の罠を避けないと現代を生きていくのは難しいよ、みたいなオチになるのはちょっと浅すぎるが、その結論の出し方も含めてこの本は多くのことを語っていると思う。

  • 原題:The Robot's Rebellion: Finding Meaning in the Age of Darwin (2004)
    著者:Keith E. Stanovich
    訳者:鈴木宏昭、椋田直子

    【感想】
     認知の本かと思っていたら、中身が込み入って驚いた。
     著者はドーキンスの議論から出発し、ミームの呪縛を解こうとしているらしい。着眼は独特。本書では、タイトルにあるように心の二重性を詳しく解説してあるので、とても勉強になる。
     しかし進化心理学に関しては、俗説を撃っているのか(狙い通り)ご本尊を撃っているのか微妙な感じだ。周りの意見を聞く限り著者の解釈はあまり主流とは思えない部分があるので、本書を読む際に考慮した方がいい(かも)。
     ただし、ブクログで当感想文の直前におわす感想と評価は言いがかり。
     なんにせよ素人にも面白く読めるのでおすすめ。


    【書誌情報+内容紹介】
    四六判 タテ188mm×ヨコ128mm/504頁
    定価 4,536円(本体4,200円)
    ISBN 978-4-622-07421-2 C1045
    2008年12月18日発行

     私たちはなぜ、ときに合理的な思考に背くのか。認知心理学、行動経済学、進化心理学といった分野は、ヒトならではの思考の仕組みを探り、驚きと示唆に満ちた成果を上げてきた。本書はその収穫をもとに、進化的に獲得した思考パターンと個人としての分析的思考の葛藤のモデルを論じ、現代人にとっての落とし穴を考える。
     認知心理学や行動経済学の研究は、ヒトの意思決定の非合理性を実証的に暴いてきた。「利己的な遺伝子」の概念はその解釈に新たなひねりを加え、進化心理学は、一見非合理な心理機能も進化の観点から適応的意義をもつ可能性を指摘した。さらに、それらの成果を「二重過程モデル」を用いて二元的に解釈する試みも蓄積している。
     本書はそれら幅広い議論を見て回り、それぞれの視点の違いをも浮かび上がらせる。読者は巧妙な実験の数々で認知の厄介さを体感しつつ、合理性をめぐる研究の豊富な収穫と、いっそう豊富な課題を見出すだろう。一次文献の紹介も充実している。
     なぜいま改めて、原始的な合理性への批判力が問われるのだろうか? それは、今日の社会の至るところに、きわめて現代的な方法で私たちの素朴な反応を掘り起こし、刺激し、利用する罠が仕掛けられているからだと、著者は警告する。
    http://www.msz.co.jp/book/detail/07421.html


    【目次】
    はじめに

    第一章 ダーウィニズムの深淵を見つめる
    皮肉にも、キリスト教原理主義者こそが理解している?
    複製子と乗り物
    ヒトはどんな種類のロボットなのか
    私たちの行動は、誰の目的に適うのか
    寄生者の論理のわかりにくさ
    遺伝子は、私たちが遺伝子に配慮する以上に私たちに配慮している
    遺伝子のくびきを逃れる
    決定的に重要な洞察――ヒトを優先する

    第二章 みずからと戦う脳
    ひとつの脳にふたつの心
    自律的システムセット(TASS)――脳の、あなたを無視する部分
    分析的システムとはなにか
    言語を通じた情報処理の特性
    仮定的思考と、表象を扱うことのむずかしさ
    無意識の処理――脳のなかの火星人
    異種の心が対立するとき――分析的システムの拒否機能
    ロングリーシュの脳とショートリーシュの脳
    自己診断――有名な四枚カード問題と、同じく有名なリンダ問題で、あなたはTASSを拒否できるだろうか
    「わが内なるアナバチ」と分析的プロセス
    分析的処理を運転席に据えて、乗り物を優先させる

    第三章 ロボットの秘密の武器──合理性について
    道具的合理性と進化的適応の区別
    合理的であるとはどういうことか
    道具的合理性に肉づけをする
    合理性を評価する――私たちは自分が望むものを手に入れているか

    第四章 認知心理実験でみる、自律的脳のバイアス――ときに私たちを悩ませるショートリーシュ型の心の特徴
    願望的思考の落とし穴――TASSは「逆を考える」ことができない
    さっきはこれを選び、今度はこれを選ばない――フレーミング効果
    進化心理学は合理的人間像を救えるか
    自律的脳の基本的演算バイアス
    基本的演算バイアスの進化的適応性
    ヒューリスティクスとバイアス課題への反応についての進化的再解釈
    現代社会の脱文脈化の要求
    現代社会におけるTASSの落とし穴

    第五章 進化心理学はどのように道を誤ったか
    ナトリウム灯としての現代社会
    無用なものと一緒に乗り物まで捨ててしまう
    母なる自然は優しくない、という事実からわかること

    第六章 合理性障害ディスラショナリア――これほど多くの賢い人たちが、これほど多くの愚かなことをするのは、なぜか
    認知能力、思考態度と、分析の諸レベル
    TASS拒否の制御
    合理性をめぐる大論争――楽観論者、弁明論者、改善論者それぞれの意見
    合理性障害――「賢いのに愚かな行動をとる」というパラドクスを解消する
    自分の望みが徐々にかなえられるのと、望まないことがすぐかなえられるのでは、どちらがいいか
    ジャックが抱えるユダヤ人問題
    楽観論者の嘆き「人間の認知能力にそれほど欠陥があるなら、なぜわれわれは月にいけたのか」

    第七章 遺伝子のくびきからミームのくびきへ
    ミームの襲撃――第二の複製子
    ミーム評価と反証可能性
    ミーム評価はノイラート的試み
    私たちの目的とミームの目的、遺伝子の目的
    どんなミームが私たちのためになるのか
    なぜ、ミームはときとして(遺伝子以上に)危険な存在となりうるのか
    ミームの究極の策略――ミームが人々に、ミームという概念を嫌わせるのは、なぜか
    ミーム理論の諸概念は自己分析のツール
    平坦な場に「自己」というミーム複合体をうち立てる――認識的平衡装置としてのミーム理論
    進化心理学は自由浮遊ミームの概念を排斥する
    共適応的ミームのパラドクス

    第八章 謎のない魂――「ダーウィン」時代にヒトたる意義を見出す
    巨大分子と謎のジュース――意義を探す道の袋小路
    人間の合理性はチンパンジーの合理性の延長にすぎないのか――人間の判断における文脈と価値観
    経験マシンという思考実験──「人生は金だけではない……が、幸せだけでもない」
    ノージックの考える象徴的効用
    表現的合理性、倫理的選好、コミットメント――「これは意義の問題で、金の問題じゃない」
    欲望の評価
    二次的な欲望と選好
    欲望の合理的統合――上位の選好を形成し、内省する
    ラットやハトやチンパンジーがヒトより合理的であるのはなぜか
    「制約下の道具的合理性」から逃れる
    二重の合理性評価――ヒトの認知アーキテクチャの力
    個人が内包する二種の下位単位の薄気味悪さ
    「個人の欲望」と「財布につながる欲望」の違い
    メタ合理性はなぜ必要か
    下位単位の数々の脅威に打ち勝って、個人としての自律性を獲得するための方程式
    私たちにできるだろうか――心的生活のどんな特徴に価値を置くべきか

    謝辞
    解説
    参考文献
    原注
    索引

  • 盲目的な論理展開なので斜読みでも論旨は追える

全4件中 1 - 4件を表示

キース・E・スタノヴィッチの作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
ジョージ・A・ア...
グレゴリー・クラ...
ジェイムズ・P・...
スティーヴン・D...
ダンカン・ワッツ
ジョン・R. サ...
アンソニー・B・...
リチャード・ドー...
有効な右矢印 無効な右矢印

心は遺伝子の論理で決まるのか-二重過程モデルでみるヒトの合理性に関連するまとめ

心は遺伝子の論理で決まるのか-二重過程モデルでみるヒトの合理性を本棚に「いま読んでる」で登録しているひと

心は遺伝子の論理で決まるのか-二重過程モデルでみるヒトの合理性の作品紹介

私たちはなぜ、ときに合理的な思考に背くのか。認知心理学、行動経済学、進化心理学といった分野は、ヒトならではの思考の仕組みを探り、驚きと示唆に満ちた成果を上げてきた。本書はその収穫をもとに、進化的に獲得した思考パターンと個人としての分析的思考の葛藤のモデルを論じ、現代人にとっての落とし穴を考える。認知心理学や行動経済学の研究は、ヒトの意思決定の非合理性を実証的に暴いてきた。「利己的な遺伝子」の概念はその解釈に新たなひねりを加え、進化心理学は、一見非合理な心理機能も進化の観点から適応的意義をもつ可能性を指摘した。さらに、それらの成果を「二重過程モデル」を用いて二元的に解釈する試みも蓄積している。本書はそれらの幅広い議論を見て回り、それぞれの視点の違いをも浮かび上がらせる。

心は遺伝子の論理で決まるのか-二重過程モデルでみるヒトの合理性はこんな本です

ツイートする