新エディターシップ

著者 :
  • みすず書房
3.86
  • (5)
  • (3)
  • (5)
  • (1)
  • (0)
本棚登録 : 104
感想 : 9
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784622074694

作品紹介・あらすじ

本書は、人間がつね日ごろ何気なく行なっている知的活動の原理を"エディターシップ"と名づけ、そのすぐれて創造的な機能を明らかにしたユニークな"編集=文化論"である。この原理は近代文化の利器である"分析"に対抗しつつ、相補的な役割を果たし、「切る・分かつ」より「結ぶ・つなぐ」ことに目を向ける、旧版の二章を改稿して、統合作用による文化創造の原理をより鮮明にした決定版。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 分析に対する統合の精神と理念をエディターシップと名付けて、ここまで平易に言語化してくれているのに感激した。座右の書のひとつとなった。
    iphone とかキュレーションとかマネージメントとか、ネット時代にますますエディターシップが意識されるが、こういったことに通底する考え方を、70年代に、ここまで見通せていたとは本当にすごい。
    次に考えなければならないのは、とかく勘とかひらめきとか芸術といわれがちなエディターシップを、もう少し凡人でもできるようにするための方法論か。でもそれじゃあ結局分析になってしまって意味がないのか。悩むところ。でも、少なくともエディターシップにこの本でここまで意識的になれれば、物の見方や考え方が変わるような気がする。

  •  
    ── 外山 滋比古《新エディターシップ 20090521 みすず書房》
    http://booklog.jp/users/awalibrary/archives/1/4622074699
     
    (20221113)
     

  • 読書中である。

    「編集」の本質について作者の知見で書かれている。内容に納得感がありとても読みやすい。

    残念なのは「編集」の本の割に用語がバラバラなところ。飽きさせないための言い換えなのかもしれないが、工学部的な学術書では説明をするための一般語は繰り返しをさけるが、専門用語もしくはその論文で特別に定義された言葉を決めたらそれは動かさないため違和感を感じる。

  • 「人間の知的活動のきわめて大きな部分が統合作用によっているわけで、人間はすべて生まれながらのエディターである。」
    人の知的活動の編集的側面を味わい深い文章で的確に表現している素晴らしい論考です。特に「捨てること」ある部分を選択することはそれ以外を捨てることであり、そこに価値があり、編集の醍醐味であり個性でもあるという点ははっとさせられました。

  • 編集に本気で携わりたい人は読むべきでは。
    仕事内容というより精神についての本です。

  • 主題に対する転調

    俳句の切れ字
    切れてはいるが同時につながってもいる。そして、明示的な動詞の結合では出すことの難しい感情的要素を表現している。ただ、繋ぎの語をまったくなくしてしまうと言語表現のリズム、流れが消えてしまうので、空白部に繋辞ではなく、切れ字を置くのが短詩型文学の知恵

    切れ字は文字通りことばの論理を切断する。切れればそこに間隔ができる。心理的空白である

    コピュラ

    近接という物理的条件による場の力学の作用ー並列されたものはそれぞれ他に干渉する

    oaものごとそのものは「存在」するとしても、ものごと相互の相関、意味は、見る人、理解する人によって「創られる」ものである

  • 編集者の仕事はすぐれた執筆者を探し、望ましい読者をさがし、両者を橋渡しすることにある。
    捨てるには永続性のある価値は何かがはっきりしていなくてはならない。選択と整理は表裏をなしている。
    人間として生きる限り、拡大された意味でのエディターシップと無縁ではありえない。
    どんな生活でも、少なくとも精神の内部においては活発な触媒的結合、すなわち創造、発見が繰り返されていた。
    人間の知的活動の大きな部分が統合作用によっているわけで、人間はすべて生まれながらにしてのエディターである。
    ひとりひとりの人間が経験したもの、知識として知りえたものをあらゆる方法で結合する。われわれの感じてる世界とはこのように各人がエディターとして編んだ人為の世界であって、決してあるがままの世界ではない。
    新しい文化の基礎づくりが行われるときには、常に新しい結合の原理が求められる。

  • 府立にもあり

全9件中 1 - 9件を表示

著者プロフィール

外山 滋比古(とやま・しげひこ):1923年、愛知県生まれ。英文学者、文学博士、評論家、エッセイスト。東京文理科大学卒業。「英語青年」編集長を経て、東京教育大学助教授、お茶の水女子大学教授、昭和女子大学教授などを歴任。専門の英文学をはじめ、日本語、教育、意味論などに関する評論を多数執筆している。2020年7月逝去。30年以上にわたり学生、ビジネスマンなど多くの読者の支持を得る『思考の整理学』をはじめ、『忘却の整理学』『知的創造のヒント』(以上、筑摩書房)、『乱読のセレンディピティ』(扶桑社)など著作は多数。

「2024年 『新版 読みの整理学』 で使われていた紹介文から引用しています。」

外山滋比古の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×