知の広場――図書館と自由

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制作 : 柳 与志夫[解説]  萱野 有美 
  • みすず書房 (2011年5月11日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (268ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784622075622

知の広場――図書館と自由の感想・レビュー・書評

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  • 「図書館は屋根のある広場」ーーーーー
    そうです。伊那図書館は伊那谷という「屋根のない博物館」の中にある「屋根のある広場」をめざしたい!
    地域の情報と情報、情報と人、人と人をつなぎ直すハブ、コミュニケーションの場が知の蓄積、編集、発信を通じて価値を創造する!

    大学で建築を学ぶK君が、カラフルな付箋を山ほど挟んだこの本を貸してくれた。彼は空間をデザインする。そして僕らはPublicをデザインする。

    (ひーさん)

  • ◆本書の内容はタイトルが示すとおり、図書館を「知の広場」としてとらえなおそうというものです。著者の国イタリアでは、図書館とは学生や教授といった知識人のための「お高い場所」としてとらえられてきたといいます(本書で語られるイタリアの教育問題も驚くべきものがあります)。「知の広場」とは、これを”一般市民すべて”に解放された多様性のある空間、あるいは文化交流と発信の拠点として作り替えてゆくということです。

    ◆そのために欠かせないのは、建物の外観やカウンター、警備員の配置、開館時間、これらの空間的な要素を、役所の都合ではなくその土地やその土地で暮らす市民の都合にあわせながら作ってゆくということ。さらにそのためには、綿密な事前調査が欠かせません。本書が面白いのは、その実際例がいくつも紹介されているところです。さまざまな図書館をみて、みずからもその空間設計に携わってきた著者ならではといえそうです。

    ◆ひるがえって日本の図書館を考えてみるとどうでしょうか。千代田図書館元館長による解説が参考になります。イタリアでは「お堅い場所」、日本では「無料貸本屋(大衆の場所)」と揶揄される図書館。あたらしい取り組みはあっても、図書館がもつ施設や知の価値を活用しようという意識はほとんど共有されていないといいます。

    ◆さらに個人的な感情を書いてしまいますが、いつまでもどかない学生! かたや学生が居座り、かたや小説を借りてそそくさと立ち去る利用者。貸出至上主義からいえば実績は申し分なしの日本の図書館。そんな現状で、図書館を知の広場(多様で交流のある空間)にしようという大転換を試みたのが千代田区図書館だったのではないかと思います。このように、本書で示される問題と解決案は、中身は違えどその根本に違いはないと思います。日本では、知の公共空間としての図書館をどのようにつくることができるのでしょうか。

  • 図書館は「出会いの場」である、と漠然と思い、サードブレイスという言葉を聞きかじって、さてではうちの図書館をどうしようか、と考えていたときに出会ったのがこの本。これまで海外の図書館はアメリカの図書館について書かれたものしか読んでなくて、アメリカに比べて日本の図書館のなんと遅れていることか、と嘆いていたけれど、ヨーロッパもまた厳しい状況であることが、分析的に書かれています。自分の勉強不足を反省。この本ではしかし、そういった厳しい状況の中でもさまざまに工夫を凝らしている図書館が紹介され、勇気づけられます。また、そう思ってみると、日本の図書館にもそういった萌芽はたくさんあり、なにより自分の勤める図書館もその方向を向いているのだから、まずは数値をきちんと把握し分析して、出来ることからやればいいんだと思えました。
    実はこれを読んだのがだいぶ前なので、たくさんつけてある付箋のどこに共鳴したのか、思い出すのに一苦労。とりあえず、目についたキーワードは、協働、文化的コード(教養?)、デザイン、ベンチ、ソーシャルキャピタル。この本をもう一度読んで、自分の仕事とちゃんとリンクさせて行くといいんだろうな。そして、ブルーノ・ムナーリの名が出てきたのがとても嬉しかった。

  • イタリアでの司書暦30年の著者が図書館リノベーションに携わってさまざまな図書館を見違えるように活性化していったその証跡。おもしろかったですよこの本。図書館の存在意義から多様性。スーパーマーケットや広場から得たそのインスピレーションで展開していく、図書館活性方法。人が座りたがるのは・・・"人の原初的な本能、つまり、仲間同士で集まりたい、できれば長い時間たっていたくない"という本能を証明している・・・という。なるほど!と感じた。だから、その本能に働きかける空間作りをすれば、人は集い、仲間が増え、コミュニティ化していくというわけだ。これを図書館活性に役立てたという。
     このような展開方法で図書館再生に取り組んだノウハウです。角度を変えて分析してみれば、予想以上に大きな展開ができることを証明している一冊ですね。

  • 2017/06読了。新しい図書館のあり方を示唆する内容。利用者(コミュニティの構成者、これから利用する人を含む)を知ること、設備のデザイン、職員のあり方等々、重要な視点が多く書かれていた。

  • 〇〇な人に勧めたい 〇〇の時に再読したい

    ◆きっかけ
    ブクログ。haijisanの本棚 2017/1/4

    ◆感想
    図書館。

    むすびの「17の忘れてはならないポイント」…p197は、図書館だけでなく色んな事情にも効きそう。何かをやり始める時、ここを読むために再読したい。何かの企画のヒントを欲している人に勧めたい。

    単に読書を賞賛するのではなく、ネットやIT、様々な商業や活動との融合から図書館のあり方を見つめる内容は、とても好感が持てた。

    巻末の柳 与志夫さん(元千代田図書館長)の解説を読んで、千代田図書館に行ってみたくなった。

    「アマゾンのカタログを例にとろう。(中略)ただ検索ボックスにタイトル名か著者名を入力するだけで、欲しい結果にたどり着くことができる。ジェフ・ベゾスとその仲間が創りだしたソフトは、どんな場合でも読者=買い手を助けるように動作するので、たとえ大きな入力ミスをひても正しくヒットするのだ。…p53」

    →図書館で、フラッと通った棚に惹かれるタイトルの本が目に入り、そこから新しい出会いが広がることも多々ある。置いてある検索用のコンピュータを使うことも多い。でも、このコンピュータ、一字間違えたり、大文字か小文字か、ひらがなかカタカナかを間違えるだけでアウト。それに、興味を持ったジャンルの本を検索するには使いづらい。と、日々思っていた。

    3、4年前に遅ればせながらスマホをゲットしてからは、アマゾン始めネットで興味あるワードから、関連する書籍を探し、書籍名をメモしてそれをもとに図書館で探すという方法を取っている。昨年の夏からはブクログの存在を知り、読みたいリストの管理で大活躍。ネットをからめて図書館に通うようになった。

    もちろんこれも楽しいのだけれど、一度、司書さんに色々と聞いてみたい。そして新たな本との出会いがあれば良いのにと、小学生の頃から思っていた。

    でも実際に司書さんに声をかけるのは、検索した図書番号の本が見当たらず、「この本はどこにありますか?」こればかり。「このジャンルの本は置いてあるか?これが知りたいのだけど…」と聞いたことも何度かあるが、そのジャンルが置いてあるエリアに案内はされるけれど、そこで終りになってしまった。

    私も、「おすすめはあるか?」とか聞けばよかったのだけれど、深く聞いて迷惑になっても…と気がひけることしかり。気になっていたのだが、司書さんにはやはり自分の得意ジャンル、得意な棚があるのだろうか?もしあるのなら、名札ないしカウンターに、この人はこのジャンルが得意!とわかるように書いておいていただけると有り難い。遠慮なく色々質問できるし、その会話の中でさらに広い世界が広がる可能性がある。置いてある本全部を司書さんたちが読んでいるというのは無いだろうから、せめてそのジャンルは私に任せて!置いていない本の情報も提供できます!そんな司書さんがいたら、図書館はもっと楽しくなりそうなのに。と思う。例えば本著は正に図書館についての本だが、これを借りた図書館の職員さんの内いったい何人の方が、本著を読んだことがあるのだろうか。一度司書さんの仕事って何なのか、調べてみよう。その上で、機会があれば色々聞いてみたい。

    「ここ数年、1日の終りに、カルチェ・ラタンの映画館で、古いアメリカ映画がかかるのを待っているときほど幸せな時間があるだろうかと思うようになった…p84」と、フランスの人類学者マルク・オジェの言葉が出てきて、思いがけないところでコクリコ坂を見て少し調べた「カルチェラタン」というフレーズが出てきて少し嬉しかった。
    2017/1/30

    ◆引用
    ・なんかのタイトルや効果的なスローガンを"考え出さねばならない"時に、アイデアを閃かせようとWikipediaで調べるわけにはいかないのだから。…p82(第2章 2010-2030年とはどのような時代か 第1部 図書館と町)
    ・イソップ寓話をよく知っていなければ、ロダーリによる『アリとキリギリス』の焼き直しの意味は分からない。正統を手にしたものだけが、異端になることができる」とカルラ・イーダ・サルヴァーティは書いている。…p83
    ・もし、利用者が心地良く感じるような図書館(または美術館、文化センター、ショッピングセンター)を創りたいのなら、まず最初にすべきことは人の動きをよく観察することである。(中略)客がどのように動くかについては、スーパーの経営者たちが詳細に調べているテーマである。…p132
    ・幸いにも、設計者はこの問題点に気づき、現在では多くの空港で、出発ロビーと到着ロビーをこのなるフロアに設置している。…p141

  • 貸し出し状況等、詳細情報の確認は下記URLへ
    http://libsrv02.iamas.ac.jp/jhkweb_JPN/service/open_search_ex.asp?ISBN=9784622075622

  • 問題提起から始まる図書館の現状は興味深かったです。

    それに回答する方法も感心させられましたが、一方でそれら施策がハウツーにとどまっているのではないかとも思いました。

    なぜ地域住民が図書案を利用しなくなったのか、ということを綿密に調査・分析されればより地域における図書館の現状も明らかになるのではないでしょうか。

  •  無料の貸本屋と揶揄されることもある日本の図書館と違い、著者の住むイタリアでは図書館は学生や研究者のための場所という意識が強く、一般の人が親しみを持てる場ではないという。このことに危機意識を高めた著者は、図書館を本来あるべき「単に本やDVDや映画を借りる場所であるだけでなく、居心地が良く、友達に会ったり、アペリティフを飲んだりするためにやってくる場所」にするべく、図書館の改革に乗り出す。
     図書館サービスの現状を変えるだけでなく、図書館への市民の認識をも変えることになる、楽しく、有意義で、建設的な新しい図書館作りの詳細は本書に譲るが、彼が目指したのが、「陽の降り注ぐ明るい広場や華やかなショッピングアーケード」であったことは示唆に富む。
     モバイル端末がどんなに進化しても、「人は人と出会い、経験を共有し、文化活動を企画したい」と願う。一方で、図書館は知の公共機関であり、知識経済を支える屋台骨になるべき場所でもある。著者の作る図書館にはこれらのための機能や工夫にあふれ、その豊かさに羨望を覚えずにはいられない。

  • 資料番号:011411865
    請求記号:010.1ア

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知の広場――図書館と自由の作品紹介

自宅からインターネットで情報検索ができる時代に、そして市民の3人に1人が高齢者となる社会に向かって、町の図書館はどんな場所になれるのだろうか?司書歴30余年、数々の図書館リノベーションにたずさわってきた著者が、来館者数を大きく伸ばしたイタリアの市立「ペーザロ図書館」、ロンドンの移民地区に新設され人気を集める市立図書館「アイデア・ストア」での経験を軸に、これからの図書館が考えなくてはならないこと、実行できることを具体的に指し示す。「屋根のある広場」のような図書館には、自然と市民が集まってくる。

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