現代日本の気分

著者 :
  • みすず書房
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本棚登録 : 17
感想 : 2
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784622076032

作品紹介・あらすじ

日本再生への手がかりとして精神科医が問う-「被災者理解へ問われる人間観」「自殺が組み込まれた社会を変えよう」。変革へのラディカルな思考を投げかける。

感想・レビュー・書評

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  • 2022/10/21
    導入部分を読んで手に取って見たが大半は新聞でのエッセイをまとめたもの。
    話題もかなり多岐にわたっているが、幾度となく頷いてしまった。
    かなり痛烈な歴史・社会批判もあるが、それは決して机上でのお気楽・無責任な議論ではなく、現地に足を運び、当事者と接して会話したりという土台の上でなされているので説得力がある。
    その中で一番印象深かったのは東南アジアの少年少女たちの眼がみな輝いており、それは一緒にいる先生たちも同じだというところ。
    学校は勉強を教えてくれるところではあるが、自分自身の記憶でも印象に残っている先生、好きだった先生は授業内容やその判りやすさとはあまり関係がなかった気がする。
    授業とは直接関連していなくとも、いろんな興味を持たせてくれたり、考え方やものの見方を教えてくれたり、自分で考えることの大切さを教えてくれたり…それは教科書には決して書いてない先生自身の魅力だった思う。
    今は果たしてどうなのだろうか。
    勉強や試験ができて、いわゆる優秀とされていても愚かな人間は社会に溢れている。
    どんなに無責任で非常識な行為をしても、法には触れていない、責任はないと開き直る醜悪な政治家や役人もいやというほど存在する。
    そして未来ある子供たちを守るべき教育現場や教育委員会では子供の命を犠牲にしても自分だけを守る教育者??が多数いる。
    彼らはテストの成績は良かったのかもしれない。
    でも教育者への制約・締め付けが多い状態で、勉強以外ではきちんとした教育を受けられなかったのではないか…そしてその教育の犠牲者が更なる犠牲者を生む悪循環…

  • ちょっと 
    冷静に
    今の自分の周りを
    見回してみれば
    「そうなんだよねぇ」
    と思うところが
    たくさんある

    現代日本の「気分」
    とは
    実に言い得て妙な
    タイトルです

    思索が快い! 

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著者プロフィール

1944年生まれ。長浜赤十字病院精神科部長などを経て、現在、関西学院大学教授。専攻は比較文化精神医学。1999年2月の広島県立世羅高校・石川敏浩校長の自殺についての検証をきっかけに、君が代強制に苦しむ教師たちの精神医学にかかわる。著書に、『虜囚の記憶』(みすず書房)、『子どもが見ている背中』(岩波書店)、『させられる教育』(同)、『戦争と罪責』(同)、『喪の途上にて』(同、講談社ノンフィクション賞)『コンピュータ新人類の研究』(文藝春秋、大宅壮一ノンフィクション賞)など多数。

「2009年 『教師は二度、教師になる』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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