敗戦三十三回忌―― 予科練の過去を歩く

著者 :
  • みすず書房
5.00
  • (2)
  • (0)
  • (0)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 16
感想 : 1
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (176ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784622076179

作品紹介・あらすじ

15歳の軍隊生活の足跡を、丹波市、大津と琵琶湖、福知山、綾部へとたどる。あの体験は戦後の生きかたに直結したのか。封じ込めていた過去と、今こそ対話する。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  •  著者は1928年生まれ。日本敗戦から33年後の1977年、第14期の予科練(海軍甲種飛行予科練習)だった著者が、同じく旧制中学3年で予科練を受験した友人の死をきっかけに、予科練時代を過ごした天理、綾部、大津を回り、過去の追憶の旅に出る、という内容。「エピローグ」には、当初この原稿は同人誌『直』に連載し、周囲からの出版の勧めを断っていたとある。だが、著者は、2011年の東日本大震災と福島第一原発事故を見るにつけ、日本敗戦の責任が追及されなかったことが、まわりまわってこの出来事をもたらしたと感じ、出版を決意したという。
     
     いたいけな旧制中学3年生が救国の信念に燃えて予科練を志願するも、自分たちが促成の消耗品である現実を突きつけられていく様子、特攻志願が予備学生上がりの将校によって半ば恣意的に決められていくことを知ったときの幻滅、そして、母と姉との面会を許されたとき、大本教本部跡の廃墟で出会った中年男性から、もうすぐ戦争は終わるのだから、自分の命を大切にすべきだと告げられたこと。島尾敏雄や吉田満も言っていたが、戦争中の青少年は、1年生まれ年が違うだけで、見聞や経験がまるで違ってしまう。一言で「予科練」とまとめられるが、年代と場所で経験も多様であることを教えられた。

全1件中 1 - 1件を表示

著者プロフィール

宮田 昇(みやた のぼる)

一九二八年東京に生まれる。元、早川書房編集者。同社を退職後、チャールズ・E・タトル商会で勤務する傍ら、数多くの児童書の執筆・翻訳を手がける。一九六七年に矢野著作権事務所(のちの日本ユニ・エージェンシー)を創業、一九九一年、日本ユニ著作権センターを設立。戦前戦後のわが国の翻訳権、出版権の変遷の歴史を熟知する数少ない一人であり、翻訳著作権に関する著作も多く、斯界の第一人者として知られている。
一九九九年、『翻訳権の戦後史』で第二一回出版学会賞、二〇〇二年には、第二三回著作権功労賞を受賞。
著書に、『東は東、西は西――戦後翻訳出版の変遷』(早川書房、一九六八)、『翻訳出版の実務』(日本エディタースクール出版部、一九八九)、『翻訳権の戦後史』(みすず書房、一九九九)、、『新編戦後翻訳風雲録』(みすず書房、二〇〇七)、『図書館に通う――当世「公立無料貸本屋」事情』(みすず書房、二〇一三)、『小尾俊人の戦後――みすず書房出発の頃』(みすず書房、二〇一六)、『出版の境界に生きる』(太田出版、二〇一七)ほか多数。

「2017年 『昭和の翻訳出版事件簿』 で使われていた紹介文から引用しています。」

宮田昇の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×