落語の国の精神分析

著者 :
  • みすず書房
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感想 : 16
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  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784622077046

感想・レビュー・書評

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  • 文章がしつこく前置きが長い傾向にある。形容詞の無駄遣いも多い。
    それでも面白く読めた。臨床精神分析学者による、専門性を生かした意欲作。
    落語ファン必読。

  • 「大きな事を言うようですが、春風亭柳昇と言えば今や我が国では・・・・私一人で御座います」という懐かしい挨拶もあったが、実は東西併せると数百人も居るので決して希少種職業とは言い難い。

    其れに比べ本書の著者によれば「精神分析家」は日本に僅か30名程度しか存在しないというのだから、まさに本当の「希少種」と言える。本書はその希少種である精神分析家を本業とする著者が、落語に魅せられた揚句、落語の根多と登場人物について病理分析という一見ミスマッチな組合せである。

    が、その分析に先立ち、著者の精神分析家としての日常と治療行為の一端が紹介されているのだが、なかなか興味深いものがある。落語家の日常、生態(?)についてはかなりあちこちで書かれているしテレビでも紹介されたりしているが、精神分析家の生態を知る機会はなかなか無いであろう。

    粗忽者、与太郎、若旦那、居残り佐平次達の言動・行動も著者にかかればみんな立派に精神を病んでいる「病人」と分析するのだが、この分析癖こそが著者の職業病と言えるのだろうという気もする。そういえば北海道を代表する名番組「水曜どうでしょう」の面白さを無謀にも分析しようとした著書「結局、どうして面白いのか」も京都の臨床心理学の先生だったからな。

    一方では談志の落語が一番好きだと言い、やや追っかけ気味な個人的嗜好が随所に出てくるのを読むと、登場人物の造形を理屈で語るところは談志落語の影響かとも想像できる。こう考えると精神分析家と談志ファンの組み合わせは落語の分析においては最強かもしれない。

  • ところどころ 面白し

    こんな風に 落語をとらえる人が
    いるのだなぁ

    という思いの方がつよい

    そして やはり立川談志さんなんだなぁ
    とも思う
    これを志ん朝さんのものなら
    どうなるのだろう とも思った

著者プロフィール

1953年、福岡県生まれ。山口県で育つ。東京大学医学部卒業。

日本女子大学人間社会学部教授、上智大学総合人間科学部心理学科教授を経て、上智大学名誉教授。個人開業。国際精神分析学会正会員・認定精神分析家、日本精神分析協会正会
員・訓練分析家、日本精神分析協会運営委員、日本精神分析学会運営委員、小寺記念精神分析研究財団理事長。

著書に
『精神分析という営み―生きた空間をもとめて』
『集中講義・精神分析 上/下』
『続・精神分析という営み―本物の時間をもとめて』
『精神分析という語らい』〔以上、岩崎学術出版社〕
『落語の国の精神分析』〔みすず書房〕 などがある。

共著に『転移/逆転移』『共感と解釈』〔人文書院〕
『精神分析の本質と方法』『夢、夢見ること』『愛と死』〔創元社〕 などがある。

訳書に
『こころのマトリックス: 対象関係論との対話』オグデン〔岩崎学術出版社〕などがある。

「2021年 『精神分析の再発見』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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