正直シグナル―― 非言語コミュニケーションの科学

  • みすず書房
3.40
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本棚登録 : 195
感想 : 16
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  • Amazon.co.jp ・本 (248ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784622077367

作品紹介・あらすじ

世界が注目する計算社会科学の最先端から、イノベーションと物語が生まれる瞬間を切り取ったホットなレポート。人が無意識に発する「正直シグナル」を解析するための新たなテクノロジーを開発し、“言外の”意思伝達が社会生活に及ぼす想像以上の支配力を明らかにする。さらに、正直シグナルが日常的に可視化され、人間のネットワークがもつ知性(ネットワーク・インテリジェンス)が積極的に活用される未来社会の可能性を描きだす。

感想・レビュー・書評

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  • この本は、人のインタラクションにおいて、視線や声の調子といった言語以外のシグナルによってどのような影響を受けるか、を明らかにした一連の研究について事例を交えてわかりやすく解説している。この類の研究は単発ではよくあったように思うが、長期にわたって研究された内容が紹介されるのは初めてではないかと思う。
    タイトルにある正直シグナルとは、態度や意図を正直に伝えるシグナルということで、影響力、ミミクリ、活動レベル、一貫性の4つの要素によって分析される。交渉等のコミュニケーションにおける正直シグナルを分析をすることによって、このコミュニケーションの結果、話者がどのように振舞うかがある程度推定できるというのである。この本の最後の方では、この正直シグナルを集団の中で十分に共有できるようにし、より良い意思決定に結びつくネットワークインテリジェンスにも触れている。
    最後に、安西祐一郎先生の詳しい解説がついているが、まずはこの部分を読んでから本書を読んでも良いかもしれない。本書はいろいろな事例をを交えて解説をしているが、最後まで読まないとなかなか全体像が見えない。安西先生の解説はこの理解を助けてくれる内容になっています。
    久しぶりにワクワクさせられる本でした。超オススメです。

  • 自分ではコントロールできないシグナルを見つけない限り正直なものとみなせない。
    人間は人間に夢中である。他人の観察、噂話以上にしたいことはほとんどない。

  • 人間の身振り手振りその他、非言語的なコミュニケーションがものすごく重要というか正直で、嘘がつけないもので、
    それが人間関係にとても重要な判断を下させていると。
    ソシオメーターという現代文明の利器によってそれがかなりわかりやすくなっていると。
    そして書類対応より、面接が大事と。

    ちょっと難しかったけれど内容はとても興味深かった。

  •  人間の無意識的で非言語的なコミュニケーション(正直シグナル)を「ソシオメーター」と呼ばれる機器で計測することで、人間の無意識的な行動のみならず意識的で慎重な決定などの結果さえ予測することが可能になる……と言うのだから、驚きの一冊だった。それは、私たちが他人と接するなかで何となく感じていた「空気」を読むということである。例えば、対人関係や意図、デートの行方や賃金交渉の結果を、言葉や性格を知ることなく予測してしまうのだ。さらに、社会的シグナリングのパターンを観察してゆくことで、個人の行動のみならず集団のダイナミクスをも理解することが出来る。職場における集団浅慮や集団極性化を把握できる。
     果たしてソシオメーターが人間の相互作用や社会的なシグナルの全貌をどれだけ捉えているのか、とは思うのだが、これまで観測されてこなかった「空気」を捉えることは間違いがない。そしてその使い方もまた問われることだろう。ともすれば「一九八四年」を想起しないでもない技術である。やはりプライバシーとかセキュリティの懸念があるし、それは事後的にではなく先に原則として確立することが望まれる。それと、もう少し世俗的なレベルというか、平易になるとありがたい……。同氏のソーシャル物理学も読んでみたい。

  • 心理

  • 3

  • 計算社会科学によると、人間の知性とは個人と社会的ネットワークの両方に存在しているらしい。

    意識的思考では二律背反の状態は一度に処理できない。ところが無意識の思考では多くの情報をまとめて全体的な判断をくだせるらしい。
    この情報ネットワーウに通じた「無意識」が意思決定にたずさわっているらしい。

  • 「空気を読む」「カリスマ性」などを定量分析する「計算社会学」の紹介。ポーカーフェイスの相手の所作を計数化することでブラフが見通せるという導入からはじまり、70億人をひとつに結ぶ「賢い社会」の建設プランに連結させる、刺激的な一冊。

  • 認知行動学の最新事情。ソシオメーターで人の非言語コミニュケーションをデータ科学で解き明かそうとしている。ソシオメーターでは、正直シグナルである4つの社会的シグナル、すなわち影響力、ミミクリ、活動レベル、一貫性を定量化するアプローチである。この背景には、データ・ニューディール政策なる世界もあるようだ。欧米で進められている新しい世界を垣間見た感覚であった。

  • このような捉え方もあるけれど、これがすべてではないわけですよね。コミュニケーションって。

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著者プロフィール

アレックス・ペントランド( Alex Pentland)
マサチューセッツ工科大学(MIT)教授。MITメディアラボ創設から関わり、現在はMITコネクションサイエンス・ラボとヒューマンダイナミクス・ラボの所長を務める。ビッグデータ研究の世界的第一人者で、フォーブス誌が選ぶ「世界で最も有力な7人のデータサイエンティスト」にも選ばれた。また、10社以上のビッグデータ関連の会社を創立した起業家でもある。世界経済フォーラムでは、ビッグデータと個人データ保護に関するイニシアチブをとった。邦訳されている著書に『正直シグナル—非言語コミュニティの科学』(みすず書房)がある。

「2018年 『文庫 ソーシャル物理学』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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