アイルランドモノ語り

著者 :
  • みすず書房
4.18
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本棚登録 : 90
感想 : 10
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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784622077411

作品紹介・あらすじ

シング『アラン島』、カーソン『琥珀捕り』等の名訳で知られる著者がアイルランド各地で見つけた不思議な「モノ」たち――謎の〈コーンヘッド〉や埋もれ木細工のポプリ入れなどから、彼の国の知られざる歴史や文化をひもとく楽しい紀行エッセイ。イェイツをはじめとする文学者や独立運動の志士達も多数登場。図版多数。カラー口絵付。

感想・レビュー・書評

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  • 図書館の返却棚に置かれていたのをたまたま手に取り、面白そうだったので借りてきた。
    こういう出会いはやはり図書館ならではだなぁ、と改めて実感。

    前からアイルランド映画が好きで、前世は住んでいたのか?と思うくらい、なぜか懐かしさを感じる。
    筆者は何度Dunnes Stores
    この本を読んで知った、「Dunne’s Stores Girl/ダン・ストアズ・ガール」。
    John Spillaneさんご本人が歌うのをYouTubeで見つけ、ヘビロテ中。Cork訛り、渋い声、アコースティックギター。心地いい。
    自然に?こういう曲が店内で流れる街。
    死ぬまでに一度は行ってみたいなぁ。

    土地にまつわる映画の話も時々出てきて、映画も観てみたくなる。
    よい本と出会えて嬉しかった。

  • 読んでいると、読むことが心地良いと感じさせてくれる。まるでマンツーマンで栩木伸明先生の講義を受けている様だ。適時に休憩を入れるみたいに詩を訳したり、おはなしを入れたり。アイルランドの骨董品を現地で買い求め、文献に当たって徹底的に調べるところは流石。

  • アラン島の翻訳がとても素敵だった栩木さんの、アイルランド愛が詰まったエッセイ。
    アイルランドは20年以上前にちらっと訪れた。
    ゴールウェイ、ダブリン、リムリック、アラン島だけ足早に訪れたけど、印象深い土地だった。

    この本は、栩木さんがダブリンに住んでいた中で、アラン島や他のあらゆる土地に足を伸ばし、歴史や文化にも謙虚なまま、誠実に当たっていく。
    この上品さとユーモアと、相手を理解したいという優しさと、連想の結ぶ見事な文章。
    読んでいて気持ちがいい本のお手本のようだった。
    ここに出てくる、いろんな映画を見たくなった。

    アイルランドの文化にも映画にも詳しくない私だけど、本文のなかに突然出てくるアーサーネタやジブリなど、私の好きなものがあって嬉しかったです。

    アイルランドの苦難の歴史と不屈のエネルギー、民衆の言葉や音楽を信じる姿勢、自然を愛する心が素晴らしかった。
    いつか私もユリシーズを読める、、かなあ、、?

    今年、マンガ「片喰と黄金」を楽しく読んでいたのだけど、そこからアメリカの1849年ゴールドラッシュ→アイルランドからの移民→その直前にあったアイルランドのジャガイモ飢饉、へ興味が移り、この本でもその話が出てきたので、あーーこれだわ、とわくわく読んだ。

    作者の栩木さんが作中でアイルランドの友人たちから、ノビ、と呼ばれているのにホッコリした。
    当の私は、栩木さんを今までずっとカジキさんだと思っていた。大変失礼しました。
    栩木さんの他の本も読んでみたいです。

  • ☆ダブリンは千年前にバイキングが立てた町。ケルトなら西部ゴールウェイ

  •  アイルランドをこよなく愛する著者の紀行エッセイ。くつろいだ雰囲気で語られる土産話の趣で、実際に手に入れた埋れ木で出来たポプリ入れや真鍮のボタン等を元に、土地土地に関わる人物や歴史を絡めた想像を広げてゆく。
     イギリス好きとしては複雑な歴史的背景はともかくも、アイルランドという土地の魅力を知り抜いている著者の手による文章というだけで、読みたくて堪らなかった一冊。普段利用している図書館には置いてなく、家人の利用している他の図書館から借りてきてもらいようやく読めた。
     深い知識に裏打ちされた文章のあちこちに浮かび上がる、過去と現在のアイルランド。見たはずのない光景が見えたようなそんな一瞬が確かにあり、堪能できた。

  • 偶然見つけた小さなモノを手がかりに、話はまるでアイルランド音楽のごとくうねるようにアイルランドの文化や歴史、人々の暮らしへと広がっていく。著者の愛情あふれる、ただし節度ある姿勢に好感を持った。味わい深い一冊。

  • アイルランドで見つけた出会ったモノたちのルーツや記憶をめぐる話でなんというか非常にツボでした。こんな素敵なアイルランドエッセイがあったなんて、と、図書館で借りたんだけど自分でも欲しいよう。栩木さんの他のエッセイもこのあと一気に読んでしまった。

  • 著者が、アイルランドで手に入れたり、見かけたモノを中心に詩や文章を引用しながら、アイルランドの文化や歴史を語ったエッセイ調の1冊。アイルランドというと、パブで出されるトドメの一杯であるアイリッシュコーヒーや、それを飲むと妖精に会えるというエピソードぐらいしか予備知識がなかったので、違う世界を体感できた1冊でした。

  • 「アイルランドのパブから」(NHK出版)、「声色つかいの詩人たち」(みすず書房)等の興味深い著作がある栩木伸明の新刊。期待大です。。。

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    「シング『アラン島』、カーソン『琥珀捕り』等の名訳で知られる著者がアイルランド各地で見つけた不思議な「モノ」たち――謎の〈コーンヘッド〉や埋もれ木細工のポプリ入れなどから、彼の国の知られざる歴史や文化をひもとく楽しい紀行エッセイ。イェイツをはじめとする文学者や独立運動の志士達も多数登場。図版多数。カラー口絵付。」

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著者プロフィール

栩木 伸明(とちぎ・のぶあき):1958年生まれ。上智大学大学院文学研究科英米文学専攻博士課程単位取得退学。現在、早稲田大学教授。専攻はアイルランド文学・文化。著書に『アイルランド紀行』(中公新書)、『アイルランドモノ語り』(みすず書房、読売文学賞受賞)、訳書にウィリアム・トレヴァー『ラスト・ストーリーズ』『聖母の贈り物』(国書刊行会)、キアラン・カーソン 『シャムロック・ティー』『琥珀捕り』(東京創元社)、コルム・トビーン『ブルックリン』(白水社)、ブルース・チャトウィン『黒ヶ丘の上で』(みすず書房)などがある。

「2021年 『世界文学の名作を「最短」で読む』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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