漁業と震災

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著者 : 濱田武士
  • みすず書房 (2013年3月9日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784622077527

漁業と震災の感想・レビュー・書評

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  • 本書を読みながら、自然の恵みを人間の暮らしの豊かさにつなげていく「第一次産業」を構築することの難しさを感じた。

    特に、生産資源の管理や加工・流通の各プロセスにおいて、自然を相手とする不確実性を担保し、長期的に持続性のある漁獲を維持するためのこれまでの仕組みが、漁業を取り巻く環境変化によって揺れ動いている。

    震災による漁業(漁労だけでなく、加工や流通なども含む)の影響を、様々なスケールの漁港都市や漁村で丹念に探りながらも、基本的には漁業を取り巻く環境変化への対応は、震災の前からも変わらず問われてきたものだということが、本書の一つのメッセージではないかと思う。

    特に、これからの生産・流通の現場をどうやって守っていくのか、漁業協同組合対民間資本といった単純な観点ではなく、それらの特徴や役割を上手に組み合わせながらこれからの漁業を作っていかなければならないということを感じた。

  • 濱田武士『漁業と震災』みすず書房、読了。漁業は高齢化と担い手不足、そして漁業資源の減少により根こぎ。震災は東北に限らない日本の漁業の今をえぐり出すことになった。震災後の復興論で最も振り回されたのは漁業かも知れない。本書は経緯を無視したそのプロセスを浮かび上がらせる。

    例えばこうだ。震災後、宮城県は水産復興特区という企業参画を打ち出した。これは漁業組合の独占に対抗するもの。しかし、漁民が「自治・参加・責任」の精神で漁場を共同管理するのは近世からの知恵でもある。現場を無視した机上論が横行する。

    漁業は地域コミュニティーの文化と伝統と深く関わった産業。その相関的複合構造を無視した「惨事便乗」型の変革が第二の「人災」といってよい。なお本書は国と各県の復興方針とプロセス、関連事業が集約されている。防災・減災計画を考える資料としても貴重な一冊。

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漁業と震災の作品紹介

経済・文化・環境を結びなおし、経済一辺倒の現代社会に「人のなりわい」をとり戻せるか。危機にある漁業を再生し、日本の自然・集落・協同・食文化を守るための、被災地に立つ漁業経済学。

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