図書館に通う―― 当世「公立無料貸本屋」事情

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著者 : 宮田昇
  • みすず書房 (2013年5月18日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784622077626

図書館に通う―― 当世「公立無料貸本屋」事情の感想・レビュー・書評

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  • 長年出版業界でご活躍されていた著者が一線を退いたのち、一般の一利用者として公共図書館を利用しながら感じられたことや考えられたことを綴った1冊です。
    世間では現代の公共図書館を否定的な意味合いで「公立無料貸本屋」という言い方をすることがあります。
    しかし、著者が投げかけるのは「なぜ図書館は無料貸本屋であってはならないのか」という問いなのです。

    著者は、編集や翻訳などに携わられていた現役時代に、国会図書館を調査に利用することはあったようです。
    ですが、娯楽のための読書を目的に公共図書館を利用するようになったのは引退されてからとのこと。
    そのため、現代の図書館事情には疎いようです。
    本書は一利用者(もちろん出版会の事情には通じていらっしゃいますが…)の視点で書かれており、それは私にとっては新鮮な視点でした。

    興味深く読みましたが、「読書のための図書館」という路線に偏っていることが、図書館関係者としてはやや引っかかりました。
    読書のために本を借りるのも1つの利用の形ですが、公共図書館は地域の人々にとって、興味を持ったことや生活に必要な情報を調べることができる身近な施設でもあるのです。
    出版界に通じており、なおかつ情報を入手するスキルを持った著者だからこその「図書館は無料貸本屋でもいいじゃないか」という主張なのかなぁとも思います。

  • 図書館は無料貸本屋として利用しています。
    著者はレファレンスサービスについてほとんど触れないので、私が無料貸本屋と図書館の違いの最たるものと思うものは著者にとって意味のないものなんだなと思います。

  • 月刊「みすず」に不定期連載されていたエッセイが一冊に(目次を見ると、とっても面白そうです)。。。

    みすず書房のPR
    「第一線を退き、図書館に足が向かう。発見があり疑問もわく。個人史をからめ、貴重なエピソードを満載。ネット時代に生き残る方策は? 」

    目次
    はじめに―図書館は「公立無料貸本屋」ではいけないのか/出版社がこしらえた図書館/『広辞苑』と『第二の青春』/『未刊行初期短篇』の公表/貸本屋と漫画喫茶/キングと『夏草』/『われらにとって美は存在するか』/『彼もまた神の愛でし子か』/『ドクトル・ジバゴ』とアメリカ文化センター/『アメリカの出版界』と図書館/『リリアン』と『オリンピア・プレス物語』/『蜩ノ記』とペーパーバック/『裏通りの紳士』と開架/ジャレド・ダイアモンドと運営委託/『暁の死線』と地域の図書館/『点と線』と書評の役割/『町奉行日記』と電子書籍/「異聞浪人記」/まとめ―インフラとしての図書館

  • 大活字本の読書 施設入所老人の不穏を抑えた

  • 利用者目線はこうしたものか。

  • 私はあらためて、想像の世界を膨らますことができる活字の魅力、
    ほかの力を借りずともひとりで楽しめる読書の素晴らしさを確認した。
    (p205 「『町奉行日記』と電子書籍」)
      ◆  ◆  ◆  ◆  ◆

    「図書館がベストセラーばかり貸し出すために、本が売れない」
    2000年代に巻き起こった「無料貸本屋」論。

    翻訳者、編集者として活躍した著者が、
    一市民として町の図書館を利用するようになり、
    驚いたことや感じたことを書きつずったエピソード集です。

    出版不況のなか、
    図書館・書店・出版社がともに成長する道を探る、
    利用者視点の図書館論です。

      ◆  ◆  ◆  ◆  ◆

    長年、出版界で著者が経験したエピソードにひもづけて、
    図書館のありかたに触れるような章立てがされています。

    図書館に対する提言だけでなく、
    著者の来歴や、戦前から戦後にかけての出版界の変遷も
    眺められる一冊でした。


    印象的だったエピソードは、
    私としては無料貸本屋の「貸本屋」というのが、
    どんなものだったのかイマイチ実感が持てていなかったので。

    あとは、
    貧しい移民でアメリカの市民権も持たなかった
    後の新聞王ピューリツァーが、地域の図書館を学校代わりにしたという話。


    著者が本書で述べている中で、
    ・読書において、調査と娯楽、高尚と通俗の差はない
    ・図書館は読書情報の提供を通じて、利用者との交流を持つべき
    …というあたりには、強く同意です。

    一人歩きした「無料貸本屋」論も、
    ベストセラーの「数百人待ち」も、ともに不毛で、
    利用者自身が都合に合わせて「本を買う」という選択肢を、
    図書館はもっと提示してもいいのではないかと思います。

    そのために有力なのは、
    著者のいうとおり「読書情報の提供」で、
    新刊情報や出版情報、あるいは書評に乗った本…といった「まとめ」とともに、
    もっと図書館員の「おすすめ本」も協調して良いと思います。

    本屋大賞にかわる「図書館大賞」を作るぐらいの勢いで!
     それではっ

  • 出版社に勤めていた方でも、図書館に対する知識はその程度なのか、と思った。しかし、近い位置にありながら図書館の知識を伝えられていない、広報が不得手な図書館側の問題も大きいと感じた。普段聞くことができない、利用者目線からの図書館に対する意見を聞くことができた。

    翻訳など、知らなかったことは目から鱗。

    論の進め方は奔放であるのが気になった。過去と現在に至るつながりや、別の論に飛ぶ際のつながりが記されていないため、やや混乱することも。
    もう少し整理されていれば読みやすく、著者の考え方を理解することができるのに、という点が残念でならない。

  • 『戦後「翻訳」風雲録』の宮田昇さんの本です。今度は図書館について。図書館の蔵書があまりにも汚く、「借り手のモラルの低下以上に、汚れた本を棚に置いて恥じない公共図書館と行政に、「タダで読ましてやる」という読者蔑視を感じた」(p117)というくだりには胸がすっとしました。また、アメリカの電子書籍専門図書館について。端末で2週間だけ貸出できるシステム、日本にも導入できないんでしょうか?
     最後に、「敵法な引用」について自分のために引用しておきます。「敵法とは、引用された部分が明瞭にわかり、かつ歪めず正確に、しかも引用される必然性があり、最低限の量であること。そしていちばん重要な要件、どの著作物のどの箇所から引用したかという、出所が明示されていることである」(p212)

  • 60年に渡り出版界の一線で働いてきた著者は、執筆の資料集めのため、専ら国会図書館の利用者であったそうだ。一線を退き「街の図書館」でエンタテインメント作品を借りて読むようになった頃、街の図書館が「公立無料貸本屋」と呼ばれ、書籍の売上が落ち込む原因ではないかと言われ始めた。
    この本はそんな街の図書館が、本当に書店の売上を脅かす存在であるのか検証する。

    と固い雰囲気だが、著者の子供の頃の原風景である大原図書館、学生時代に通った上野図書館(現国際こども図書館)戦後に貸本屋を営み、子供達が手塚治虫の新刊を求めて行列をなした話、出版界の変遷、翻訳と著作権の問題、自死した作家や同業者の話などなど、著者の半生と共に語られる内容は、そのままこの国の出版界の歴史である。大変に面白く、興味深く、飽きずに最後まで読み進んだ。

    作中に登場する作家や作品に、学校では習わない作家、一時代脚光を浴びた作品が語られ、読んでみたいと思うものがあった。著者と同じように図書館のサイトで検索すると、◯◯コレクションといったシリーズに収められていたので、近いうちに借りて読んでみようと思う。

    ちゃんとわが街の図書館もベストセラー本以外でも収蔵しており、読めるのである。
    図書館を「公立無料貸本屋」などと呼んだヤツは誰だ。

  • 図書館というサービスが何を目的にしているのか。その経済事情はどうなっているのか。これからの図書館は何を目指すのか・・・といったことが書いてあるのかと愉しみに読んだのだが、期待外れ。基本的には図書館で読んだ本の話であって、図書館について全然触れていないというわけではないが、素人の所感レベルで目新しいものはない。この人、編集者だったのだから素人じゃないと思うのだが。
    「中の人」の話が読みたい。

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編集者、翻訳権エージェントとして、長く出版界で生きてきた著者が第一線を退き、今度は本好きの一市民として発見した、街の図書館の魅力と変貌。みずからの半生と対話し、むかし営んだ貸本屋のこと、たくさん読んだエンターテインメントのこと、著作権の問題など、本と人を繋ぐエピソード満載。デジタル・ネット時代の図書館の可能性を探る。

図書館に通う―― 当世「公立無料貸本屋」事情はこんな本です

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