殺人ザルはいかにして経済に目覚めたか?―― ヒトの進化からみた経済学

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制作 : 山形 浩生  森本 正史 
  • みすず書房 (2014年1月10日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (504ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784622078005

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殺人ザルはいかにして経済に目覚めたか?―― ヒトの進化からみた経済学の感想・レビュー・書評

  • 原題:The Company of Strangers: A Natural History of Economic Life
    著者:Paul Seabright(1958‐)
    訳者:山形浩生、森本正史

     扱うテーマが多い。例を挙げると:経済制度の(人類進化スパンの)歴史、人間の社会性(ここは進化心理学っぽい)や暴力性、現代の国際金融、グローバル化、貧困、国民国家……。


    【書誌情報】
    四六判 タテ188mm×ヨコ128mm/504頁
    定価 4,104円(本体3,800円)
    ISBN 978-4-622-07800-5 C1033
    2014年1月10日発行
    http://www.msz.co.jp/book/detail/07800.html


    【目次】
    目次 [iii-viii] 
    序文(ダニエル・デネット) [ix-xiii]
    謝辞 [xiv-xviii]

    信頼とパニック――改訂版への序 003
    社会的な信頼と金融危機/大いなる実験/本書の論点/本書は最新の研究成果をどう活用しているか

    第 I 部 視野狭窄021

    第1章 責任者は誰? 022
    世界のシャツ需要/責任者なしの協力/疑問を抱くべき二つの理由/政府の役割

    第 II 部へのプロローグ 043
    第 II 部 殺人ザルから名誉ある友人へ――なぜ人は協力できるのか?047

    第2章 人と自然のリスク 048
    好機の判断/リスク軽減手段としての作業分担/作業分担と専業化/専業化と新たなリスク

    第3章 私たちの暴力的な過去 070
    人間の殺人傾向

    第4章 人類はどうやって暴力本能を手なずけてきたか? 082
    予測と相互依存/文明化の過程を見直す?/微笑み、笑い、そして信用の証の必要性/信頼と感情

    第5章 社会感情はいかに進化したか? 101
    強い返報性の進化に関する三つの解釈/返報性と復讐

    第6章 お金と人間関係 115
    お金と物々交換/金融信用の網/お金はどのようにして定着したか?/お金、匿名性、不安

    第7章 泥棒たちの信義――貯蔵と盗み 135
    貯蔵、融資、パニック/信用を買う

    第8章 銀行家の信義? 金融危機の原因とは? 147
    信用の破綻/うまく機能しているときの銀行システムはいったい何をしているのか?/1930年代の世界恐慌から得た三つのまちがった教訓/一つめの教訓――ライオンから走って逃げるな/二つめの教訓――プロはパニックを起こさない/三つめの教訓――不安になるな/暴落とその影響/なぜこうなってしまうのか?

    第9章 仕事と戦争におけるプロフェッショナリズムと達成感 171
    兵士と哲学者/物語の探求/プロの規範と視野狭窄

    第 I 部と第 II 部のエピローグ 189

    第 III 部へのプロローグ 195
    第 III 部 予想外の結果――家族の結束から工業都市まで201

    第10章 都市――古代アテナイから現代マンハッタンまで 202
    華やかな大都市/悪臭とゴミ/市民活動と都市環境/都市の統治

    第11章 水――商品、それとも社会制度? 223
    水の多様な意味/希少性と財産権

    第12章 何にでも価格? 242
    調整役としての価格/世論調査としての価格/オークション/何でも売り物か?

    第13章 家族と企業 266
    会社の限界/標準化と監視/家族からの脱却/テクノロジーと企業規模/企業とその環境からくる制約

    第14章 知識と象徴体系 295
    最初の象徴的人工物/世代間の信用/物の保護か、アイデアの保護か/アイデアと現代的制度の形成

    第15章 排除――失業、貧困、病気 318
    失業/好況、不況... 続きを読む

  • 見知らぬ隣人を殺して安全を確保していた世界から、見も知らぬ隣人を何も考えず、意識することすらも無く、信じて生活している現代へ。なぜそんな事が可能だったのか。

    各論の詳細は参考文献で、ということかなぁ。消化不良。

  • 経済学という人間経済の因果関係を示す学問を進化生物学的観点から読み解いたエッセー。
    人間は合理的存在である前に、類人猿と同類の進化しつつある生物であり、その抜きん出た社会性は生来の少しの返報性とそこから有効性が増す個人間、家族間、集団間の信頼の醸成を強化する制度、特に財産権、によって近年強化されて来た。

    農業は狩猟採集より貧困を生んだ実証的証拠があるが、それでも同時多発で進化したのは、それが共同作業を生み、個人の幸福度は下げたとしても、社会全体を大きくしその社会の生き残り度合いを高めたと思われる。

    この信用の広がりおよび開放的な制度を進める考えのひとつがリベラリズムであり、この流れは共産主義、全体主義などのセットバックがあっても継続しているが、常に反グローバリズム、ナショナリズム、原理主義とのせめぎ合いは続き、盤石なものとはいえない。

  • 歴史学、生物学、社会学、人類学、心理学など、広範囲の学問知識から見た人類経済史本。

    シャツを作るのにどれくらいの人が協力しあう必要があるのだろう、街を歩いていて他人に襲われないのはなぜなんだろう、といった経済生活にまつわる様々な疑問に信頼と協力がいかにして成り立ってきたかを歴史的推測などから解き明かそうとする内容。
    「日常生活というのは、みんなが想像するよりずっと奇妙なもので、脆い経済基盤の上に成り立っている。これが人類の進化史の教えるゾッとするメッセージだ。」
    と始まる「殺人ザル」の「大いなる実験」による変化が如何に凄いことで、また脆い基板の上に成り立っているかを鮮明に優雅に解説している。

    序文で全体について、各章の前後にはそのまとめがしっかりとなされているのでボリュームの大きさに臆することなく読みこなせていけた。専門用語や業界用語も極力排されている。
    人々はなぜ見知らぬ他人を信用できるのか≒経済活動を行えるのかを人の進化から見た内容で、これ以上に現代社会の成り立ちの根源を説明できるものはないと言っていいくらいに興味深い内容だった。

  • これは良著。
    ヒトは数万〜数十万年は遺伝子レベルではほとんど進化していないにもかかわらず、一万年前頃から急速に発展し、特にここ千年の伸びは驚異的だ。
    この経済-信頼のシステム-が人間のどんな根本的性質に基づいているのか、遺伝子の中にあるわずかな手掛かりだけをもとに試みられたこの"実験"の信頼性はどの程度か、という事を明らかにしていく。
    最初の数章は特に刺激的で興味深い。人類の歴史と現代の社会について、誤解しやすい事柄を整理する内容。
    中盤以降、テーマが細分化される部分はやや抽象的な議論や補足的事項が多く、中だるみ感は否めない。(経済書に中だるみ云々が関係あるのかという話だが、論説としての鋭さに欠ける部分がある。)
    また、かなり広範な学問をまたぐ総括的な議論のため、この形式の本にしては引用される文献の量が異常に多い。それぞれの参考文献の妥当性についてはそれこそ著者を「信頼」する他無いが、一部の文献についてはその評価が注釈に示されており、著者の親切心は感じられる。
    革新的な経済学的発明がある本ではないが、数十年前のイデオロギー的経済分析からここまで客観性を高めたという点で、間違いなくこれまでの経済書よりも一歩進んだ本であると言える。

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