動くものはすべて殺せ――アメリカ兵はベトナムで何をしたか

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制作 : 布施由紀子 
  • みすず書房 (2015年10月2日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (416ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784622079170

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動くものはすべて殺せ――アメリカ兵はベトナムで何をしたかの感想・レビュー・書評

  • 「4時間で500人以上の村人を虐殺したミライ(ソンミ村)事件は逸脱ではなかった。"動く者はすべて殺せ"という命令の下になされた軍事行動の一部だったのだ」(カバーより)

     ベトナム戦争でアメリカがなにをしたのか、衝撃的な内容を含むルポルタージュ。

     1961年から68年にかけて国防長官の地位にあったロバート・マクマナラは、ベトナム戦争を泥沼化させた主犯のひとりだ。軍にシステム工学的な考え方を導入した彼は、統計を重んじた。なかでも最も重きを置いたのは“転換点”に達すること、敵をどんどん殺していけば、いずれは敵の兵員補給能力が追いつかなくなるという理屈だ。だから、敵の「死体の数」がなにより重要になる。「ボディカウント」(死体数)を増やせというプレッシャーは、国防総省から流れてベトナムの末端の兵士まで届き、そこで「殺人ノルマ」として表面化することになった。「敵兵」でなくとも、女性でも、老人でも、子どもでも、どんな死体でもよくなった。「自由射撃ゾーン」が勝手に引かれ、そこで暮らす人々は全員がベトコンということになった。そこでは爆撃し、ヘリから銃撃し、「動く者はすべて殺」していいことになった。ミライ村事件の何倍もの虐殺が、あらゆるところで行われた。それこそが、アメリカの「政策」だった。

     米軍がベトナムで殺害した民間人は何万人に上るだろうか。銃撃され、手足を失い、レイプされ、家を焼かれ、住まいを毒で汚染されたベトナム人はどれほどの数になるだろうか。だれも正確なところはわからないだろう。
     闇に葬られた戦争犯罪を、公文書をたどってあきらかにし、ベトナムまで足を運んで証拠づけた力作であり、米国に骨太なジャーナリズムがまだ存在する証拠となる作品だ。

  • 淡々と、これでもかと続く、戦争犯罪。
    現場へのしわ寄せっぷり、そして、これらの情報の消されっぷり、組織の怖さとはこういうものかと思う。

    アメリカがどう思っているのか、どういう考えているのか、よく分かる。こういうものを相手にしていかなくては世界で生き残っていけない。

    びっくりしたのは、マスコミが「これ以上政権を叩くべきではない」という判断をしているくだり。これ以上政権を叩いて転覆させたら、よろしくないから、ということなのかな。
    日本では、思い切り、みんなが「飽きるまで」叩き続けるけれど…。アメリカと日本のマスコミの矜持が違うのかもしれないなぁ。

    ある程度は知っていたミライ事件が、これら戦争犯罪に光を当てると思いきや、隠すことにもなったという文章が戦争の背後にいる私たちの真の姿なのだろうと思った。

  • 自国の被害は声高に叫ぶが加害には「同じ〇〇人がそんなことをするはずがない」と目を逸らす。

  • 知ったつもりになっていた、ベトナム戦争におけるアメリカ軍の戦争犯罪。この"知ったつもり"から生じる人間の思考回路を利用して、真実から民衆の目を逸らさせることに軍はまんまと成功していた。本書は、そこに毅然と切り込んだ決定版といえるだろう。責められるべきはアメリカ軍の体質なのは間違いないが、我々も反省すべき点は多くある。もっと真実に目を凝らさなければいけない。最後の一文まで読んで、身が引き締まる思いがした。

  • 映画「地獄の黙示録」や「プラトーン」で米軍がベトナムでどんなことをしてきたかだいたい知ってるつもりだったが本書のように文献をあげて実態を突きつけられると怒りを通り越して胸が悪くなる.

  • 読んでいて気持ちが悪くなるような虐殺.まるでゲームのように支配する指揮官.このアメリカのみならぬ上部の腐敗した構造のやり切れなさに打ちのめされる.それにしてもこの膨大な資料を手に入れた,タースの幸運と責任感に圧倒された.日本もいつまたこのようなことになるか,かって中国で同じようなことをしたのであるから.

  • 途中からやや冗長。

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動くものはすべて殺せ――アメリカ兵はベトナムで何をしたかの作品紹介

ベトナム戦争で民間人になされた、アメリカの戦争犯罪の驚くべき実態。アメリカ人はこれまで、ミライ(ソンミ村)虐殺のような残虐な事件は逸脱であり、ごく例外的な出来事だったと教えられてきた。しかし現実には、あの戦争を通じてベトナムの非戦闘員に加えられた暴力はけっして例外的なものではなく、むしろ、“動く者はすべて殺せ”という命令の下に遂行された、広汎かつ組織的な作戦だった。
国立公文書館資料の粘り強い調査や、事件にかかわった帰還兵や内部告発者、さらにベトナムの生き残り当事者へのインタビューによって、アメリカ軍と政府の政策がどれだけ多くのベトナムの無辜の住民を殺し傷つけたかを、初めて明らかにした。ショッキングな戦闘の詳細を通じて、アメリカ軍のほぼすべての部隊が、恐るべき戦争機械として避けがたく作動していたことがわかる。

本書が2013年にアメリカで刊行されるや、「パラダイムシフトを迫る画期的な戦争史」「ベトナム戦争について書かれた最も重要な本」等々と各紙誌で絶賛され、優れた調査報道に贈られるライデナワー賞を受賞した。戦後70年の節目に安保関連法案が可決されようとしている日本においても、戦争によって実際に何が起こるのか、きわめて示唆に富む一冊である。

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