動くものはすべて殺せ――アメリカ兵はベトナムで何をしたか

  • みすず書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (416ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784622079170

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  • アメリカは日本に平和憲法を与えた。そのアメリカが第二次世界大戦後、朝鮮戦争(1950-53年)・ベトナム戦争(1955-75年)を行った。米兵はベトナムで何をしたのか。ご覧いただこう。
    https://sessendo.blogspot.com/2018/10/blog-post_31.html

  • 「4時間で500人以上の村人を虐殺したミライ(ソンミ村)事件は逸脱ではなかった。"動く者はすべて殺せ"という命令の下になされた軍事行動の一部だったのだ」(カバーより)

     ベトナム戦争でアメリカがなにをしたのか、衝撃的な内容を含むルポルタージュ。

     1961年から68年にかけて国防長官の地位にあったロバート・マクマナラは、ベトナム戦争を泥沼化させた主犯のひとりだ。軍にシステム工学的な考え方を導入した彼は、統計を重んじた。なかでも最も重きを置いたのは“転換点”に達すること、敵をどんどん殺していけば、いずれは敵の兵員補給能力が追いつかなくなるという理屈だ。だから、敵の「死体の数」がなにより重要になる。「ボディカウント」(死体数)を増やせというプレッシャーは、国防総省から流れてベトナムの末端の兵士まで届き、そこで「殺人ノルマ」として表面化することになった。「敵兵」でなくとも、女性でも、老人でも、子どもでも、どんな死体でもよくなった。「自由射撃ゾーン」が勝手に引かれ、そこで暮らす人々は全員がベトコンということになった。そこでは爆撃し、ヘリから銃撃し、「動く者はすべて殺」していいことになった。ミライ村事件の何倍もの虐殺が、あらゆるところで行われた。それこそが、アメリカの「政策」だった。

     米軍がベトナムで殺害した民間人は何万人に上るだろうか。銃撃され、手足を失い、レイプされ、家を焼かれ、住まいを毒で汚染されたベトナム人はどれほどの数になるだろうか。だれも正確なところはわからないだろう。
     闇に葬られた戦争犯罪を、公文書をたどってあきらかにし、ベトナムまで足を運んで証拠づけた力作であり、米国に骨太なジャーナリズムがまだ存在する証拠となる作品だ。

  • 忘れてはいけない歴史。
    "20歳になるやならずの若者を召集し、新兵訓練を通じて人種差別的な考えを吹き込み、憎悪と恐怖を植えつけて、戦場へ送り出した"
    『動くものはすべて殺せ アメリカ兵はベトナムで何をしたか』 https://t.co/YRx1wdoKY5

    ベトコンの支持者なのか?と詰問された村の老人。「どちらでもない。支配する側に従う」と答えると,
    "県知事は、「この紛争では、誰も中立でいることはできない。こちら側につかないというのなら、おまえは向こう側の支持者にちがいない」と言った"(p.182)
    残酷すぎる…。

    植えつけられた差別意識,戦場の恐怖,戦友の死に対する怒り,曖昧な指示,交戦規定違反の黙認,そしてボディカウントという評価基準…。
    こういう全部が最悪のシステムとなり,将来ある若者を狂わせて,非武装無抵抗のベトナム人の大量殺害,虐待へと走らせた。その実例をこれでもかと記述。

    ひどすぎる現実で完全な黒歴史だけど,こういうことも知って学んでいかなくちゃいけないし,子供たちにも伝えていかなくちゃいけないんだと思ってる。

  • 読んでいて気持ちが悪くなるような虐殺.まるでゲームのように支配する指揮官.このアメリカのみならぬ上部の腐敗した構造のやり切れなさに打ちのめされる.それにしてもこの膨大な資料を手に入れた,タースの幸運と責任感に圧倒された.日本もいつまたこのようなことになるか,かって中国で同じようなことをしたのであるから.

著者プロフィール

(Nick Turse)
ジャーナリスト、歴史学者。TomDispatch.comの編集長であり、ネイション・インスティテュートの特別研究員でもある。彼の手がけた記事は、ロサンゼルスタイムズ紙、サンフランシスコ・クロニクル紙、ネイション誌など、多くの紙誌に掲載されてきた。ベトナムにおける米軍の戦争犯罪を調査した業績を評価され、ライデナワー優秀報道賞を受賞。また、グッゲンハイム記念財団、ハーヴァード大学ラドクリフ高等研究所の助成金給付研究者にも選ばれた。現在はニューヨーク市近郊に在住。著書に、Tomorrow’s Battlefield: US Proxy Wars and Secret Ops in Africa (Haymarket Books, 2015) ほかがある。
*ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです。

「2023年 『動くものはすべて殺せ 新装版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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