- Amazon.co.jp ・本 (280ページ)
- / ISBN・EAN: 9784622079200
作品紹介・あらすじ
ワルシャワ北東にあるトレブリンカ絶滅収容所ではわずか一年数ヶ月の間に70万人以上のユダヤ人が殺害された。ここでは到着後15-30分以内にほぼ全員がそのままガス殺され、運営に最低必要なユダヤ人が特別労務班として生かされていた。労務班員として生き続け、叛乱に参加・脱出した著者による本書は、今まで不明だった死の収容所の実態と生活を初めて明かす。
感想・レビュー・書評
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ユダヤ人は聾唖者の振りをしていた。つっかえるようなポーランド語だから、暴漢に襲われたらユダヤ人とわかってしまうから。聾唖者として筆談で会話をするのが一番安全だった。それはかなり難しいことだった。つい言葉に反応してしまって、話せることがばれてしまうことがあり、追放されることもあった 。
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当時のポーランドやドイツの様子が理解できる。
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「騎士団長殺し」からこの本にたどりついた。「騎士団長殺し」で引用されている箇所はみすず書房の訳とは異なっている。村上春樹自身が訳したのだろうか?
みなが「事実上、屍体」で「「生」が少し延ばされているだけ」の世界では、音楽(囚人のヴァイオリン・トリオが奏でる戦前のポピュラー音楽)すら凶器になってしまうことが印象的だった(「過ぎ去りし日々を思い出させ、意気消沈させ、心に深い傷を残した。」)。著者はイスラエル移住後、芸術家(彫刻家)になったようである。この本に登場する人々を題材にした彼の作品もネットで見られる。
次はネトフリの「隣人は悪魔」(アメリカで逮捕されイスラエルで裁判にかけられた、トレブリンカ収容所元看守についてのドキュメンタリーシリーズ)をみようと思う。この「イワン雷帝」はじめ、ウクライナ監視兵がいかに残虐非道だったかについてはたびたび言及がある。また、本にある簡単な収容所内部の地図だけだと囚人の仕事内容や位置関係(「上の収容所」とか「下の収容所」のような記述)がいまいちわかりにくかったのだけれど、映像でみればその辺がもっと理解できるかなと期待。