愛についてのデッサン――佐古啓介の旅 (大人の本棚)

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著者 : 野呂邦暢
  • みすず書房 (2006年6月20日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (264ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784622080688

愛についてのデッサン――佐古啓介の旅 (大人の本棚)の感想・レビュー・書評

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  • 「古書ミステリー倶楽部」短編集に収録されていた「若い砂漠」から流れてきました。
    どなたも書かれてらっしゃいますが、本当に、読み進めるのが勿体無くなるような一冊でした。
    著者が急逝する直前に書かれていたモノ、と云う事ですが、
    成程それまでの作品群とは少し空気が異なる様です。
    出版された時にこれを読んでいたら、続きが気になるだとか、次回作が楽しみだとか云うコメントが付いたでしょう。
    これからこういう作風で、と云う意気込みが有って書かれた物なのか、自分の死期のようなものを少しなりとも覚って書いた物なのか、いずれにせよ変化を予想させる一冊でした。
    万年筆のキャップを外して原稿用紙にたった一行でも書けばそれが詩になる、と云う評は云い得て妙。
    小気味良いキレのある文章なのに、尖がっていないしまろやか。
    素晴らしい。

  • 近頃の新刊書店ではあまり出会えないタイプの小説。
    新刊台に積んであるのはどうしても、ストーリーのめくるめく展開と謎でひっぱり続けるエンタメものになるし、壁の棚にひっそりある大御所の御本は固い歯ごたえで息をつめないといけないみたいだし。
    エンタメというのでもなく、かと言って「純文学」でもなく、それでいてその両方でもあり、読後に黒い毒の澱が残らないもの…ってなかなかない。

    古本屋を営む青年が主人公で、自分の父親の謎探しが6編を通しての主題になっているのだけれど、ゼンゼン派手な謎ではない。古本屋だから、本への知識や愛情たっぷり。ちらと出てくるだけの店の客も、充分魅力的で印象的。歯の浮く蘊蓄もなければ啓蒙くささもない。
    堀江敏幸や長嶋有の作品に出て来る主人公を連想したり、女性の描写では片岡義男を連想したりしながら、ふわふわと最後まで漂いつくと、あれ、もうちょっとこの世界にいたかったな、と思う。

    こういう本がこの世にあって、よかった。

  • 若くして父の古書店を継いだ主人公が、旅をしたり女性と出会ったり仕事について悩んだりする青春小説(連作短篇集)。自分の「好き」と「仕事」の狭間で思い悩む青年像が、逆に新鮮です。古書店主というと気むずかしいオッサンばかりなイメージなもので…。ともかく、旅先の情景や心理描写がとても美しく、うっとりするような文章を堪能いたしました。途中に差しはさまれる詩も味わい深い。野呂邦暢は初めて読んだのですが(古書つながりでたどってきたのですが)、文章そのものがかなり気に入ってしまったので、他も読んでいきたいと思います。
    補足:紀田順一郎 編 『書物愛 [日本篇]』に、「本盗人」が収録されており、そこからさかのぼって読んでみたもの。

  • 特にどうということはないけれど、するする読んだ。良い読書時間だった。

  • 読み進めるのが惜しい。
    いつまでも終わって欲しくない。

    ただ、これは初期作品よりはなんとなく突き放したような視点から描かれているように感じた。
    今までより更に一歩引いた視点からの描写。

  • こういう古本という題材、とても好き。愛が凝縮された美しい詩が合間に挟まり、物語をより一層熱っぽく、時には儚くし、文面の中にすっぽり納められ同化していた。個人的なことだが、佐古啓介と同じ26歳の今、読めた事を素直に嬉しく思う。表題作「愛についてのデッサン」と「ある風土記」が好き。作中に多々出てくる詩集、色々と読んでみたくなった。

  • 古本屋を営む若き店主が、本にまつわる謎を解き明かしてゆく連作短編集。 亡くなった恩師の愛人を一冊の本から探し出したり。 美女の依頼を受けて詩人の肉筆原稿の謎を調べたり。 30年近く前に書かれた小説ですが、時代背景の古さはあまり感じられず、違和感なくすんなり読め進められます。 どのお話も、少し曖昧なもやっとした結末なので、謎がきっちり解決されるカタルシスを楽しむというよりも、じんわりと余韻が残りました。 ミステリーとしても成長物語としても少し物足りない感じがしましたが、毎回出てくる詩篇の美しさや、一冊の本がつなぐ人の想いがしみじみと心に沁みます。

  • 短い文章で淡々と展開する物語のテンポが気持ち良い。出て来る女性も皆 魅力的で好感が持てる。小説の中の謎解きみたいなモノは子ども騙し。もうひと捻りほしいです。

  • 野呂邦暢の本ってなんでどれも絶版なんだろうなあ

  • 読み終えて本の裏側に書いてある値段を見た。高っ!本ってこんなにするの?それともこの本が貴重だから? (というのも私はいつも図書館で本を借りるので値段は全く気にしない) 桜庭さんが自身の本の中でこの小説を一押しをしていたけれど、どこでそういう風に思ったのかが気になる。 この本を読んで私が感じたことは、二つ。一つは詩の存在。詩ってこんなに人のこころの中に残るんだなと思った。二つ目は、本の存在のすごさ。大型書店を愛用している私は、古本屋に対してほとんど知識がない。古本屋には絶版になったり、当時発行部数が少なくて、今や財宝か何かのように扱われている本もあるらしい。ブームが過ぎたら忘れ去られるのでなく、いつの時代にも愛される本はとても幸せだと思う。 古本屋に行きたくなった。 あぁ、また本が読みたくなった。

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