- Amazon.co.jp ・本 (254ページ)
- / ISBN・EAN: 9784622080763
感想・レビュー・書評
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著者の宮田昇氏は、近代文学社勤務ののち、早川書房の編集者として活躍し、その後は翻訳エージェントとして長らく出版業界に係わってきた。また、自身もペンネーム「内田庶」として、SFやミステリーを初めとする多くの児童文学の翻訳家として活躍してきている。その著者が、戦後の翻訳界の生き字引として、彼しか知りえなかった秘話、逸話の数々をここに記している。読み始めてすぐに魅了されるのは、登場するビッグ・ネームの数々と、その逸話の破壊的な面白さだ。取り上げられているのは、まず著者に早川書房への職をあっせんしてくれた「加島祥造」。そして、著者の早川書房時代の上司にあたる「田村隆一」。さらには、田村らと詩作集団「荒地」で共に活動していた同人たちの「北村太郎」「中桐正夫」「鮎川信夫」などなど。著者の観察眼は、彼らの詩人としての価値をあえて差し引いていて容赦ない。毀誉褒貶が多い人物たちの、嫉妬と愛憎劇が赤裸々に描きだされている。
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早川書房を中心とした、翻訳者と編集者をめぐるもはや歴史とでも言うべきエッセイ。というか、思い出。
戦後翻訳文学黎明期における早川書房(早川ミステリ)の貢献度は計り知れない。福島正実や田村隆一など、当時の名(物?)編集者や翻訳者をめぐるドラマ。懐かしい名前がたくさんでてくる。
しかし、単なる思い出話や苦労話に終わらないのは、そこにきわめてユニークな人々の、生々しい人間ドラマがあったからに他ならない。 -
先日某所で戸川さんのお話を伺う機会があったので、今更感満載で読んでみた。
非常に興味深かったけど、こういうお話は本人から直接聞く方が面白いんだろうなぁと思った。
やはり口調とか表情とか、文章に現れないところを知りたいと思わせるんだよなぁ。
先人のお話は聞いて損はない。 -
2012/5/4購入