新編 戦後翻訳風雲録 (大人の本棚)

著者 :
  • みすず書房
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感想 : 5
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  • Amazon.co.jp ・本 (254ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784622080763

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  • 著者の宮田昇氏は、近代文学社勤務ののち、早川書房の編集者として活躍し、その後は翻訳エージェントとして長らく出版業界に係わってきた。また、自身もペンネーム「内田庶」として、SFやミステリーを初めとする多くの児童文学の翻訳家として活躍してきている。その著者が、戦後の翻訳界の生き字引として、彼しか知りえなかった秘話、逸話の数々をここに記している。読み始めてすぐに魅了されるのは、登場するビッグ・ネームの数々と、その逸話の破壊的な面白さだ。取り上げられているのは、まず著者に早川書房への職をあっせんしてくれた「加島祥造」。そして、著者の早川書房時代の上司にあたる「田村隆一」。さらには、田村らと詩作集団「荒地」で共に活動していた同人たちの「北村太郎」「中桐正夫」「鮎川信夫」などなど。著者の観察眼は、彼らの詩人としての価値をあえて差し引いていて容赦ない。毀誉褒貶が多い人物たちの、嫉妬と愛憎劇が赤裸々に描きだされている。

  • 早川書房を中心とした、翻訳者と編集者をめぐるもはや歴史とでも言うべきエッセイ。というか、思い出。

    戦後翻訳文学黎明期における早川書房(早川ミステリ)の貢献度は計り知れない。福島正実や田村隆一など、当時の名(物?)編集者や翻訳者をめぐるドラマ。懐かしい名前がたくさんでてくる。

    しかし、単なる思い出話や苦労話に終わらないのは、そこにきわめてユニークな人々の、生々しい人間ドラマがあったからに他ならない。

  • 先日某所で戸川さんのお話を伺う機会があったので、今更感満載で読んでみた。
    非常に興味深かったけど、こういうお話は本人から直接聞く方が面白いんだろうなぁと思った。
    やはり口調とか表情とか、文章に現れないところを知りたいと思わせるんだよなぁ。
    先人のお話は聞いて損はない。

  • 2012/5/4購入

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著者プロフィール

宮田 昇(みやた のぼる)

一九二八年東京に生まれる。元、早川書房編集者。同社を退職後、チャールズ・E・タトル商会で勤務する傍ら、数多くの児童書の執筆・翻訳を手がける。一九六七年に矢野著作権事務所(のちの日本ユニ・エージェンシー)を創業、一九九一年、日本ユニ著作権センターを設立。戦前戦後のわが国の翻訳権、出版権の変遷の歴史を熟知する数少ない一人であり、翻訳著作権に関する著作も多く、斯界の第一人者として知られている。
一九九九年、『翻訳権の戦後史』で第二一回出版学会賞、二〇〇二年には、第二三回著作権功労賞を受賞。
著書に、『東は東、西は西――戦後翻訳出版の変遷』(早川書房、一九六八)、『翻訳出版の実務』(日本エディタースクール出版部、一九八九)、『翻訳権の戦後史』(みすず書房、一九九九)、、『新編戦後翻訳風雲録』(みすず書房、二〇〇七)、『図書館に通う――当世「公立無料貸本屋」事情』(みすず書房、二〇一三)、『小尾俊人の戦後――みすず書房出発の頃』(みすず書房、二〇一六)、『出版の境界に生きる』(太田出版、二〇一七)ほか多数。

「2017年 『昭和の翻訳出版事件簿』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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