罪と罰の彼岸【新版】――打ち負かされた者の克服の試み

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制作 : 池内 紀 
  • みすず書房 (2016年10月8日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784622085195

罪と罰の彼岸【新版】――打ち負かされた者の克服の試みの感想・レビュー・書評

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  • ユダヤ人であることは私にとって、そもそもの初めから、執行猶予中の死者であった。殺される人間であって、偶然まだしかるべき執行を受けていないだけだった。様々な猶予の形があり、人間であって、偶然まだしかるべき執行を受けていないだけだった。様々な猶予の形があり、程度の違いがあるに過ぎなかった。ニュルンベルグ法をみて初めてはっきりと感じ取った死の威嚇には、ナチスによるユダヤ人への組織的な侮蔑もまた含まれていた。人間的な尊厳の抹殺が死の威嚇を表していたと言い換えてもよい。何円にもわたって毎日のように声や活字が降り落ちてきた。ユダヤ人は怠け者で、悪辣で、醜悪で、平然として冷酷無惨をやってのけ、頭のいいやつは人の上前をはべることばかり考えている。ユダヤ人は国家を作る能力を持たず、経済に携わっても唯我独尊で協調を知らない。ユダヤ人は毛深く、太っちょで、足が彎曲している。ユダヤ人が現れるだけで公衆浴場が汚れる。公園のベンチにしてもそうだ。ユダヤ人の面はどうだ、耳は尖っており、鼻は垂れ下がっている。昨日の良き市民と良き民衆にとって私たちの顔は、おぞましい限りのものだった。私たちは愛に値せず、だからして生きるに値しない。自らさっさとこの世から姿を消すことこそ、私たちの唯一の権利、私たちの唯一の義務だった。

  • ドイツでのヒットラー後の生活が日本と同じであることを認識させられる本

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罪と罰の彼岸【新版】――打ち負かされた者の克服の試みの作品紹介

ジャン・アメリーは1912年ユダヤ人の両親のもとウィーンで生まれた。1940年敵性外国人として逮捕され南仏の収容所へ。脱走、フランス縦断を経てブリュッセルでレジスタンスに参加。1943年再逮捕。拷問と独房、アウシュヴィッツ、ブーヘンヴァルト、ベルゲン=ベルゼン強制収容所を生き延びた人物である。解放後は文筆で身を立てながら長くホロコーストに触れることはなかったが、再び台頭する排外主義への危機感から本書を著した。「社会」が人間の尊厳を奪うとはどのようなことか。人は何によって人間であるのか。自らの体験を遡り、手探りするように綴られた省察の記録。

「なにはともあれ自分は一つの仕事をやりとげたように思うのだが、ともに人間でありたい人すべてのところに届いてくれることを願わないではいられない」(1966年)

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