若き科学者へ【新版】

制作 : 結城浩(解説) 
  • みすず書房
4.00
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本棚登録 : 108
感想 : 11
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  • Amazon.co.jp ・本 (200ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784622085300

作品紹介・あらすじ

「若い科学者たちへの本誌からのアドバイスは、ピーター・メダワーの『若き科学者へ』を読んでおけ、だ」(Nature誌、2015)。スティーブン・J・グールドが「これまでに出会ったなかで最も頭のいい人物」と評したノーベル賞生物学者メダワーによる、理系の若者への助言の書。凡百の説法本とは一線を画す切れ味の金言・叡智の宝庫として世界中で40年近く愛読されており、いまや科学者精神と研究倫理の世界標準を示すといえる名著である。
『重要な発見をしたいと思うなら、重要な問題に取り組まねばならない……「問題が興味深い」というだけでは十分でない』『ある仮説を真であると信じる気持ちの強さは、それが真であるか否かには何の関係もない』といった、一見シンプルだが値千金の助言の数々を、研究者として大洋へ漕ぎ出す前に心に留めることができるメリットは計りしれない。
テーマの選び方から成果発表のコツまで、著者のアドバイスはつねに本質に触れ、研究者として生きる人々の流儀とはどのようなものかを浮かび上がらせる。『(科学者は)真理に対しては常に特殊な無条件の絶対的な義務をもつ』と言い切るメダワーの、曇りなき言葉に耳を傾けたい。巻末に「新版への解説」(結城浩)を付録。

感想・レビュー・書評

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  •  「若い科学者たちへの本誌からのアドバイスは、ピーター・メダワーの『若き科学者へ』を読んでおけ、だ」(Nature誌、2015)。本書を著したのは、1960年度にノーベル賞を受賞した生物学者メダワーである。タイトルは『若き研究者へ』となっているが、筆者は本書について「探索的な活動に従事するあらゆる人を相手にしたものである」と述べている。実際本文には、どの分野にも共通する助言が多く記されている。例えば、「失敗をかくそうとして煙幕をはろうとしてならない」。これは当たり前のことであるかもしれないが、本書を読んだ際に私の心に深く刺さった表現だ。
     驚くべきことは、本書が40年以上も前に発表されたものであるにも関わらず、内容の多くが現代でも通用するであろうという点だ。本書を読むと、普遍的な内容は、数十年たっても古びないということに気づかされる。また、本書は数十年間研究に携わった科学者によって著された。進路に悩みや不安を抱えている時だけでなく、「科学者」がどのような生き物なのか知りたい、という単純な好奇心から読んでみるのもおすすめだ。
    (ラーニング・アドバイザー/生物資源 UEHARA)

    ▼筑波大学附属図書館の所蔵情報はこちら
    https://www.tulips.tsukuba.ac.jp/opac/volume/3422777

  • 【図書館の電子書籍はこちらから→】  https://kinoden.kinokuniya.co.jp/tit.library/bookdetail/p/KP00009987

  •  この本は、ノーベル医学生理学賞受賞者によって書かれた、科学者への助言である。
     研究を生業としているわけではないし、若いというわけでもない私がこの本を手に入れたのは、序論に「誰が科学者であるかは、何をするかによってきまる。」というくだりに感銘を受けたためだ。
     この本を読み始めるきっかけになったのは、生物や医学、生化学を専門とする人たちの本を読み漁ったことによる。彼らの本を読むと、事実を記述しているらしいのだが、彼らは何をもって正しいとするのか、彼らの研究の核心は何で、何が解決され分かったのかがハッキリしない。生物を対象とする分野は基盤が明確ではないし、再現性の高い実験は望めず、「演繹的な誠実さ」や「いつでも立ち戻れる公理」なしに科学は成り立つのかと疑念を抱いたのである。
     この本を読んで、科学は人間の生業だと再認識した。著者は、「科学者は真理に義務を負っている」という。私はこの一言で安心した。そして、実験で得られる確証の限界、仮説に対する取り組み方について繰り返し述べられる金言に触れ、医学、生物学などの分野を深く掘り下げたいと思ったのだった。

  • (特集:「卒業論文・レポート対策」)
    論文の書き方や発表を含め、科学者としての心構えや、姿勢について若き科学者へのメッセージが書かれています。大学生は科学者の卵です。「How to 本」ではありませんが、研究のモチベーションを高めるのに良いかもしれません。

    ↓利用状況はこちらから↓
    https://mlib3.nit.ac.jp/webopac/BB00537706

  • 配置場所:摂枚普通図書
    請求記号:407||M
    資料ID:51800508

  • 古い本のはずなのに、今の時代に読んでも参考になるところが多い

  • 著者が言うところの「ガリレオ的実験」、すなわち仮説から演繹される反証可能な予測を検証するプロセスを科学的方法の標準としていた。ここから、セレンディピティが前もって考えていた人間が観察して起こるという帰結も導かれる。

    総合的発見と分析的発見という分類が示されていたが、最近のビッグジャーナルでは、この両方が示されることがおおいのではと思った。

    "「科学的方法」としばしば呼ばれるものは、強化された常識なのである" (p. 152)という言葉は科学という活動が突飛な思考プロセスではないことを強調する。

    科学的メリオニズムやロイヤルソサイエティへの言及は科学に対する希望で満ちていえ、若い科学者に向けたメッセージとして適している。

  • 請求記号 407/Me 14

  • 科学あるいは科学的なものに関係する人向けの、クラシカルで穏やかな、修養のためになるエセー。真理を追求し、世界に貢献するためには、どのようなスタンスであることが望まれているか、について、ややパターナリズム的に書かれていると思うが、本書を読むことは有益であるには違いない。

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著者プロフィール

1915-87。生物学者。リオ・デ・ジャネイロに生まれる。ペニシリン開発の初期の時代に、オックスフォード大学フローリー病理学研究所で研究生活に入る。1947年バーミンガム大学動物学教授、51年ロンドン大学動物学教授、62-71年ロンドン国立医学研究所長を歴任。また1949年より王立学会会員。1960年、移植免疫性の理論ならびに実験についての業績に対し、F・M・バーネットとともにノーベル医学生理学賞を受賞。

「2016年 『若き科学者へ 新版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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