ミクロストリアと世界史――歴史家の仕事について

制作 : 上村 忠男 
  • みすず書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784622085454

作品紹介・あらすじ

長年にわたり世界の歴史学を牽引してきた著者の現在を伝える日本語版オリジナル編集の7篇。16世紀イタリア、フリウリ地方の一粉挽屋に焦点を絞り、徹底した資料読解と独自の方法論から当時の世界とわれわれの関係を炙り出した『チーズとうじ虫』はじめ、数々のミクロストリアと事例研究をとおして歴史家の課題に挑んできた著者の仕事は、この10年のあいだに発表された本書収録の「緯度、奴隷、聖書――ミクロストリアの一実験」「世界を地方化する――ヨーロッパ人、インド人、ユダヤ人(1704年)」「わたしたちの言葉と彼らの言葉――歴史家の仕事の現在にかんする省察」「ヴァールブルクの鋏」「内なる対話――悪魔の代言人としてのユダヤ人」「ミクロストリアと世界史」「無意志的な啓示――歴史を逆なでしながら読む」の各編でますます磨きがかかっている。さまざまな観点から「歴史とは何か」を考える書でもある。

「ほとんど無名に近い個人でも、はるかに大規模な現象にかんする省察への道を拓くことがありうる。〈ミクロストリアと世界史〉は、互いに両立不可能であるどころか、相手を強化しあうのだ」

感想・レビュー・書評

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  • 著者一流の事例研究への信念に触れられる。どの論文から読んでも、いまと歴史の関わり、そして近代を形づくるものについて考えさせられる。

  • 日本の読者向けの最近の論考集。
    歴史の方法論に関する論考とケーススタディが中心。
    歴史家は、手ごわい問いを提起することで歴史家自身を窮地に立たせるような「内なる声」を発する「悪魔の代言人」との終わることのない対話にかかわるべきである、という。
    そうした対話の中で「歴史」というものの輪郭は流れ出し、形を失ってとけていく。学生の頃の自分は「歴史」ってなに?というような根源的な問いを発する余裕もなかったが、当時この本を読んだらどう思っただろうか。
    ギンズブルグはもちろん歴史家だが、その前に思想家なんだろうなと思う。またその博識ぶりには驚くばかりで、たとえば「ヴァールブルグの鋏」は本職の美術史家としか思えない。よく言及するマルク・ブロックは読んだことがなかったので、さっそくぽちってしまった。

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著者プロフィール

(Carlo Ginzburg)
歴史家。1939年、イタリアのトリーノに生まれる。ピサ高等師範学校専修課程修了。ボローニャ大学・近世史講座教授、カリフォルニア大学ロスアンジェルス校教授を経て、ピサ高等師範学校教授。

「2022年 『恥のきずな 新しい文献学のために』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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