- Amazon.co.jp ・本 (296ページ)
- / ISBN・EAN: 9784623059515
作品紹介・あらすじ
16人の経済学者の叡智。新古典派総合、制度学派、進化経済学…経済理論と実践を学ぶ。
感想・レビュー・書評
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経済学史の書籍は古典派~ケインズ革命までの場合が多いため、
現代経済学に近い内容の経済学史の内容が学べる貴重な本詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
各章ごとに、大物経済学者についての伝記と学説の軽い(?)説明とほんの少しの数式が乗っている本。学部生向け・一般向けの経済思想史。
現代の人物(Gregory MankiwもPaul Krugmanも存命だ)までフォーカスしているのが特徴のひとつ。オススメ。
【内容紹介】
現代経済学の発展に大きく貢献した16名の経済学者の生涯と思想を幅広く学べる入門書。サムエルソン、ハイエク、ナッシュ、ルーカス、マンキュー、クルーグマン……著名な経済学者たちの、つくられたイメージではなく、彼らの築いた学界での業績、そしてそこから発展した実践の世界での活躍をわかりやすく紹介する。多様な経済思想を学ぶことで、彼らが導き出し展開した経済理論への理解を深める手助けになる必読書。
〈http://www.minervashobo.co.jp/book/b86885.html〉
【目次】
はじめに(2011年1月7日 根井雅弘) [i-ii]
目次 [iii-vii]
第1章 ポール・A・サムエルソン──王者の折衷主義〔中村隆之〕 001
1 経済学者サムエルソンの誕生──ハーバードと三つの革命 002
2 『経済分析の基礎』──比較静学という方法 005
3 新古典派総合──ケインズと新古典派の折衷 009
4 王者の折衷主義──左右の見解を配下に 013
5 サムエルソンが残した常識とその問題点 019
第2章 フリードリヒ・A・ハイエク──「忘れられた経済学者」から自由主義経済思想家へ〔楠 美佐子〕 022
1 自由主義経済思想家への道 023
2 貨幣的景気循環論──初期均衡状態からの説明 024
3 貨幣的景気循環論──初期不均衡状態からの説明 028
4 理論経済学研究から自生的秩序論の社会哲学研究へ──ハイエクの「転換」 031
5 自生的秩序論と後期ハイエクの経済学 034
第3章 ミルトン・フリードマン─ケインジアンとの闘いの末に得たもの〔廣瀬弘毅〕 039
1 自由主義経済学者の生涯 040
2 理論的業績 042
3 方法論争 048
4 自由主義 050
第4章 ジョン・K・ガルブレイス──ことばで現実を変革する偉大な名文家〔神野照敏〕 055
1 「最大」の「異端派経済学者」誕生 056
2 ガルブレイス経済学の特徴 059
3 ガルブレイスが見た新しい現実 065
4 『ゆたかな社会』以後 073
第5章 グンナー・ミュルダール──不平等に向き合う制度派経済学〔藤田菜々子〕 078
1 ケインズ以前のケインズ的政策 079
2 少子化への処方箋 082
3 豊かな国と貧しい国 085
4 福祉世界という理想 089
5 経済学者とは何者か 092
第6章 ミハウ・カレツキ──ポスト・ケインズ派経済学の源泉〔山本英司〕 095
1 「ケインズ革命」の先行者 096
2 カレツキの資本主義経済論と現代 103
3 ポスト・ケインズ派経済学 106
第7章 ジョン・ナッシュ──ゲーム理論の可能性の中心〔寺尾 建〕 110
1 ビューティフル・マインド 111
2 協力ゲーム──ノイマン=モルゲンシュテルン・プログラム 116
3 非協力ゲーム──ナッシュ・プログラム 120
4 ゲーム理論──その可能性の中心 126
第8章 ロバート・E・ルーカス,Jr. ──厳密性の回復に努めた理論家〔横田宏治〕 130
1 合理的な将来予測とは 131
2 経済学における合理的期待 140
3 景気変動の源泉を求めて 145
第9章 ネルソンとウィンター ──時間と知識に関する進化経済学の挑戦〔江頭 進〕 149
1 2人の略歴 151
2 『経済変動の進化理論』の概略 153
3 進化経済学のその後 161
4 進化経済学の今後の可能性 163
第10章 アマルティア・セン──平等とは何か,何の平等が重要であるのか〔荒川章義〕 165
1 社会的選択論の研究へ 166
2 センの一般可能性定理とパレート的リベラルの不可能性定理 169
3 潜在能力アプローチ 173
4 経済開発と飢饉 177
第11章 都留重人──理想を追い求めた科学的ヒューマニスト〔神野照敏〕 183
1 国際人・都留重人の誕生 184
2 新しい政治経済学を求めて 187
3 福祉と環境の政治経済学 194
4 体制変革の展望 201
第12章 森嶋通夫── 一般均衡論を動学化する〔荒川章義〕 207
1 研究への道 208
2 産業連関分析からノイマン・モデルへ 212
3 経済学史の研究へ 220
第13章 J・E・スティグリッツ──「情報パラダイム」の開拓〔中村隆之〕 227
1 失業・貧困・差別を分析できる経済学を目指して 228
2 新しい金融論──信用と情報の経済学 223
3 市場原理主義との闘い──政策実務の経験を経て 240
4 「情報の経済学」は資本主義の本質を問う 245
第14章 N・グレゴリー・マンキュー ──輪廻転生のケインズ経済学〔寺尾 建〕 249
1 ゼネラリストの経済学者 250
2 マクロ経済学のミクロ的基礎付け 254
3 ニュー・ケインジアンのマクロ経済学 259
4 マクロ経済学とは何か─そのゆくえ 266
第15章 ポール・クルーグマン──市場と政府の狭間で〔服部茂幸〕 271
1 収穫逓増と新しい貿易理論 272
2 通貨危機の理論と東アジア通貨危機 277
3 1990年代の日銀批判とサブプライム金融危機 279
4 ブッシュ政権批判 282
5 市場支持のケインズ主義 287
人名索引 [289-290]
事項索引 [291-296] -
現代経済学の人物として、サムエルソンからクルーグマンまでの16人の経済学者の生い立ちや基本的な思想を、少々の数式を使いながら解説している。
16人といっても、2名の日本人、ハイエクやカレツキなども含めて、様々な思想家をとりあげており、編集は経済思想史の根井先生であり、15章の分担執筆の形をとっている。
執筆者が異なることから、生い立ちを詳細に書いてあったり、いきなり思想に入るなどの書き方には違いがあるが、全体としては飛ばしがちである現代経済学者(思想家)の違いがわかってよかった。
紹介の順番は、時系列・思想別ではないが、おもしろく読むことができた。