日本政治史のなかの陸海軍: 軍政優位体制の形成と崩壊1868~1945 (MINERVA日本史ライブラリー 24)
- ミネルヴァ書房 (2013年2月1日発売)
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- Amazon.co.jp ・本 (258ページ)
- / ISBN・EAN: 9784623064632
作品紹介・あらすじ
「非政治的軍隊」はなぜ政治化したのか。明治国家の指導者たちは「統帥権の独立」が孕むリスクに気付いていなかったのか。本書は、陸海軍が維新変革の渦中で産声を上げ、やがて官僚制度の整備とともにその制度的自立化を強め、ついには統帥権を肥大化させ、「軍部」として国政上に大きな力を振るうようになる、そのメカニズムを「政治史のなかで」解明していく。軍人、政治家、官僚、ブレーン集団…様々な人物像に目配りしながら日本陸海軍の盛衰を立体的に描く、最新の成果。
感想・レビュー・書評
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本書のテーマは副題のとおり「軍政優位体制の形成と崩壊」だ。軍が制度的自立化を強めた結果政治の統制を外れる、という大きな流れは通説どおりだろう。他方、統帥権独立と政治の統制は常に相反するわけでもないのだろうか。小林論文中の児玉源太郎は、自由民権運動を警戒して「非政治的軍隊」を天皇に直結させる一方、参謀本部を改革して統帥権突出を抑え込む、という思想だ。児玉の急逝で改革は頓挫するのだが。
同時に、軍と国民の関係も考えさせられる。大島論文では、明治初期の政治的士族軍と非政治的徴兵制軍隊を対比させる。また黒沢論文では、WWI後、永田鉄山はじめ若手〜中堅将校が総力戦と大正デモクラシーという衝撃を受け、軍民一致や「国民の軍隊」論といった「革新」志向が芽生えたと指摘。ただこの大正期の「革新」は宇垣軍政のもとにあり、政治介入に向かった昭和期の「革新」とは区別している。詳細をみるコメント0件をすべて表示
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