アメリカ労働民衆の歴史: 働く人びとの物語

著者 :
  • ミネルヴァ書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (362ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784623065301

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  • アメリカ社会史研究の第一人者が、多様な人びとの生活や、社会の根幹をなす「労働」の観点からアメリカ史を概観し、新たな歴史の見方を提供。白人、黒人、移民、女性、職人、工業労働者、ホワイトカラー、事務員……働く人びとの生活の実態や労働運動を鮮やかに描く。アメリカ史研究の魅力を再発見できる一冊。

    序 章 労働民衆史の魅力

     第Ⅰ部 19世紀の労働民衆

    第1章 前工業的社会としての出発――植民地時代から共和国初期
     1 「自由な植民地」として出発したアメリカ
     2 都市で働く人々の世界

    第2章 工業化過程の中の労働民衆――1850年代まで
     1 急激な経済成長と労働者階級の形成
     2 労働運動の始まりと展開
     3 工業化過程の中の労働者の生活と文化
     4 移民の流入と民族対立
     5 家庭の外で働きに出た女性労働者と農業労働者

    第3章 黒人奴隷制度と労働民衆
     1 黒人奴隷制度と北部労働民衆
     2 南北戦争とその後の南部黒人の変化

    第4章 金ぴか時代の労働民衆――19世紀後期
     1 世界第一の工業国家への変貌の始まりと労働運動
     2 金ぴか時代の労働運動――労働騎士団とAFL
     3 金ぴか時代の労働民衆の諸相――仕事・思想・生活

    第5章 巨大企業の社会へ――1890年代
     1 ビッグ・ビジネスの時代における巨大ストライキ
     2 労働運動の2つの方向――ビジネス・ユニオニズムと社会主義

    第6章 多様な労働民衆――19世紀後期~20世紀初頭
     1 東欧・南欧系の新しい移民の大流入
     2 女性労働者の進出
     3 その他の多様な労働者


     第Ⅱ部 20・21世紀の労働民衆

    第7章 革新主義時代の労働者――1900〜1910年代
     1 20世紀初頭の社会と労働運動
     2 階級的対立の激化
     3 第一次大戦とその直後の時期

    第8章 繁栄と保守の中で――どよめく1920年代
     1 絶頂に達した産業資本主義の下で
     2 移民制限、黒人労働者階級の形成、女性労働者

    第9章 大不況下の苦しみと闘い――1930年代
     1 大不況の到来と労働民衆の苦しみ
     2 第一期ニューディール期の労働民衆
     3 第二期ニューディールとローズヴェルト連合の形成
     4 盛り上がったCIOと座り込みストライキ
     5 共産党と社会党
     6 多様な労働者――エスニック・黒人・女性
     7 大不況期の日常生活

    第10章 第二次大戦とその直後――1940年代
     1 第二次大戦と労働運動
     2 第二次大戦直後の時期の労働問題と反共の動き

    第11章 「ビッグ・レイバー」の時代――1950年代
     1 AFLとCIOの合同、巨大労組の制度
     2 「豊かな社会」(?)の労働者
     3 動き始めた黒人労働者

    第12章 アメリカが揺れた激動の中での労働者――1960年代
     1 旺盛だった労働組合運動
     2 ベトナム戦争の時代
     3 黒人労働者の運動
     4 「ミドル・アメリカ」(白人下層中産階級)と黒人との関係
     5 フェミニズムの台頭と女性労働者

    第13章 忍び寄る保守化と移民の流入――1970年代
     1 労働運動と1972年の大統領選挙
     2 グレート・U・ターンの始まりと経済的危機の到来
     3 グローバル化の中で生じた新しい移民の大流入

    第14章 レーガン‐ブッシュ期の労働民衆――1980年代
     1 ロナルド・レーガン政権の反労働政策
     2 「コンセッション」の嵐の中で低迷する労働運動
     3 企業とリストラ、生産立地の移動
     4 著しい格差社会へ
     5 ジョージ・ブッシュ政権の時代とリセッション

    第15章 労働運動に起こった革新の動き――1990年代
     1 若き大統領クリントンと労働民衆
     2 スウィーニーAFL‐CIO新会長の登場

    第16章 ほのかな希望の光――21世紀に入って
     1 ジョージ・W・ブッシュの時代と労働運動の大分裂
     2 オバマ大統領の下での労働民衆

    あとがき
    参考文献
    人名・事項索引

    【コラム】
     1 ヨーロッパと比較してのアメリカの労働
     2 アスタープレース劇場の惨劇
     3 雄弁な理想主義者 テレンス・V・パウダリー
     4 レイバー・デーの始まり
     5 伝統的労働様式の残存――樽工場の場合
     6 ベストセラーとなった『進歩と貧困』と『顧みれば』
     7 6人の急進的女性活動家
     8 新しい娯楽としての映画と知識人の世界
     9 3人の大衆扇動家の登場
     10 ニューディールとエスニシティ――リザベス・コーエンの見解
     11 ダスト・ボウルとウディ・ガスリー、フォークの誕生
     12 ニューヨーク市交通ストライキと郵便ストライキ
     13 モノンガヒラ川流域のゴーストタウン化

  • 【選書者コメント】アメリカの労働運動史を100年以上のスケールで描いた大作。労働運動と人種問題の交錯が描かれている。
    [請求記号]3666:188

  • 361.85||No

  • 野村達朗『アメリカ労働民衆の歴史 働く人びとの物語』ミネルヴァ書房、読了。本書はアメリカ労働史研究の第一人者の手による、19世紀から現在にいたるアメリカ労働民衆の歩みを描き出す試み。 http://www.minervashobo.co.jp/book/b107207.html

    労働民衆とは「ワーキング・ピープル」、サラリーマンも労働者も含めた多種多様な人々のことだから、その歩みとはアメリカ社会の歩みそのもの。植民地時代から現在までリアルに描写する本書は、近現代の意義を問い直す。


    (現実のアメリカ社会の排除と分断の問題は指摘するまでもないけど)、野村達朗『アメリカ労働民衆の物語』ミネルヴァ書房を読んで面白かったのは、生粋のアメリカ白人、黒人、移民等々多種きわまりない人々が「労働民衆」として生きてきたということ。この多様性がやはり「強さ」なのだろう。

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著者プロフィール

愛知県立大学名誉教授

「2013年 『アメリカ労働民衆の歴史』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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