小室直樹の世界―社会科学の復興をめざして

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  • ミネルヴァ書房 (2013年10月25日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (544ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784623067039

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小室直樹の世界―社会科学の復興をめざしての感想・レビュー・書評

  • 小室直樹氏の著作を熟読した後にもう一度振り返りたい。

  • 小室直樹という稀代の学者がどのような経緯で出現し、日本の社会学にどういった影響を与えたのかが良く分かる一冊であった。

  •  この本は2011年3月に行われた小室直樹博士の記念シンポジウムの内容をまとめたものである。これまで小室博士の著作をいろいろと読んできたが、小室博士自身のことはあまりよく知らなかったので、本書を読んでみた。
     まず「やはり小室博士は天才である」と改めて認識した。博士の博学ぶりはこれまでの著作から理解していたつもりだったが、その学識の広さは尋常ではない。数学、物理学、経済学、心理学、社会学、統計学、人類学、経済史学、法社会学、政治学等の最先端を学び、社会学全体の統一的な理論構築を目指していたという。残念ながら統一理論は未完のまま終わったが、世界的に評価の高い研究成果を多数残されている。このような方がアカデミズムで活躍する場を与えられなかったのは残念というだけでは済まされない。国家的な損失と言えよう。
     次に「小室博士の奇人・変人ぶりは噂以上である」ことに驚いた。巻末に小室博士の略年譜が掲載されているが、これは博士の素顔を伝える貴重な資料である。若いときに「武勇伝」を残す人は珍しくないが、30~50代でこれだけの「武勇伝」を残すとさすがに奇人・変人と言われても仕方ないとも思うが、社会性と両立しがたいほどの学究心を持たれていたのがと理解したい。
     そして「小室博士は学者であるだけでなく、優れた教育者でもある」ことが理解できた。博士はアカデミズムで職をもたなかったが、小室ゼミナールという私塾をボランティアで開催されていた。博士は多くの研究者の育成に貢献され、本書も博士に薫陶を受けた方々によって執筆されている。小室博士は理想の教育者として吉田松陰を挙げておられるが、博士自身も松陰の教育を実践しようとされていたのだろう。
     本書は記念シンポジウムの内容を収録してはいるが、出席者の発言よりも在りし日の小室博士を伝える本として価値がある。そして橋爪大三郎氏による「小室直樹博士の著作」はこれから博士の著作を読む方にとってよいガイドラインになるだろう。村上篤直氏が編纂する「小室直樹文献目録」はweb上に閲覧できるため、興味のある方はこちらも参照されたい。

    小室直樹文献目録
    http://www.interq.or.jp/sun/atsun/komuro/index.html

  • 【目次】

    まえがき i

    第Ⅰ部 社会科学者・小室直樹博士
    第一章 小室直樹博士の学問と業績 橋爪大三郎 003
    第二章 小室直樹博士の著作 橋爪大三郎 027

    第Ⅱ部 小室直樹博士記念シンポジウム――社会科学の復興をめざして
    第三章 小室博士の学問世界――シンポジウム第Ⅰ部・理論編 093
         司会・宮台真司 
         報告者・橋爪大三郎、盛山和夫志田基与師、今田高俊、山田昌弘、大澤真幸、伊藤真
         追加コメント
        1 小室さんの理論プロジェクトについて 盛山和夫 174
        2 小室直樹と数理社会学 今田高俊 179
        3 時代とシンクロしつつそこから溢れ出る学者 大澤真幸 181                        
    第四章 小室博士と現実政治――シンポジウム第Ⅱ部・実践編 189
         司会・橋爪大三郎
         報告者・宮台真司、副島隆彦、渡部恒三
         討論者・関口慶太、村上篤直

    第Ⅲ部 対論 小室直樹博士を語る
    第五章 小室直樹と吉本隆明 副島隆彦・橋爪大三郎 261
    第六章 小室直樹博士と同時代 宮台真司・橋爪大三郎 295
    第七章 小室直樹博士と社会学 大澤真幸・橋爪大三郎 333
    第八章 対論を終えて 371
        1 小室先生に習ったこと 副島隆彦 371
        2 小室理論の限界は小室的方法でしか越えられない 宮台真司 375
        3 社会科学的な知の複数のレイヤー 大澤真幸 385

    あとがき 389
    小室直樹博士略年譜 59
    小室直樹博士著作目録 07
    人名・事項索引 01

  • ――――――――――――――――――――――――――――――
    ひとつの学問領域にとどまって、わずかな限界生産性を追い求めるよりも、領域分野をまたがって、新天地で大きな限界生産性を追及することのほうが、自分にとっても人びとにとっても有益である、とするのが小室博士の思考法・発想法である。(橋爪)9
    ――――――――――――――――――――――――――――――
    小室博士だったら、この問題を、いまの社会を、どう見るだろうというふうに発想することができる。それは私たちの、大きな財産だろう。(橋爪)99
    ――――――――――――――――――――――――――――――
    意識の面で全然近代化していないのに、制度だけ近代的なふりをしている。このフィクションというのが、日本のアノミーの源泉だっていうふうにまとめていらっしゃったと思うんですよ。(志田)157
    ――――――――――――――――――――――――――――――
    日本人が海外留学する場合は丸腰で渡米するのに対し、中国人や韓国人はすでにアメリカに存在する血縁ネットワークのリソースを頼って渡米してくるから、全く勝負にならないのです。

    こうしたホームベースを持つ者は、動機づけにおいても、使えるリソースにおいても、圧倒的に強いですね。163

    かつては資本主義化に適合的に見えたエートスの優位性を、すでに失っていると診断されたのではないかと思うわけです。164

    空気に縛られる日本的エートスは、時間空間の長い共有という近接性を前提とします。従って、グローバル化によって社会的流動性が上がると、近接性が低下するので、空気による縛りが機能しにくくなります。(宮台)194
    ――――――――――――――――――――――――――――――
    いまの社会のなかで愛国主義者であるためには、近代主義者でなくてはいけないんだなあと改めて思いました。(山田)170
    ――――――――――――――――――――――――――――――
    サムエルソンは言った。"You will have a hard time for ten years, but after that, the world"。ならば、と小室は、自らのプランを実行することを決意する。436
    ――――――――――――――――――――――――――――――

  • 小室直樹氏のすごさを実感する一冊。
    編者の橋爪大三郎氏の苦労に感謝です。

  • 内容は、小室直樹記念シンポジウムのまとめといくつかの寄稿論文となっています。
    機能-構造主義、エートス、比較宗教学、小室直樹の足跡を辿りながら、天才の残した学問土台学たるメソトロジーの射程と地平を振り返る訳ですが、
    機能不全に陥る構造的欠陥を経済学の数理モデルを模範に、機能関数におとすetc...もう凄すぎてさっぱり付いて行けません。
    しかし、徹底的合理的思考の背後には、非合理な情念があると言った言葉や一般向けに出された数多くの著作には、声が出てしまうほどに、目からウロコであり、どれだけ助けていただいたか分かりません。
    本当に学問を愛し、学問に愛された素晴らしい方に出逢えたことは幸運であり、喜びでした。
    ただひとつ残念なことは、小室先生の著作が手に入りにくいということです、復刊を願ってやみません。

  • 2014/02/07:読了
    橋爪大三郎さんと副島隆彦さんの対談が秀逸
    また、読み直してみたい本。
     

  • 多くの人々に惜しまれつつ、2010年9月に亡くなった社会科学者・小室直樹博士。政治学者、社会学者として、学際的な活躍をされた博士の業績を、小室博士の教えを受けた社会学者らが振りかえる。  第Ⅰ部は、学者小室直樹の実像をまとめながら、著作からその業績を振り返る。第Ⅱ部は、2011年3月6日に東京工業大学で行なわれた、小室直樹博士記念シンポジウムを完全採録。第Ⅲ部は、小室博士の仕事をめぐる対談。宮台真司氏、副島隆彦氏、大澤真幸氏を橋爪大三郎氏がインタヴューする。併せて、小室直樹博士略年譜、小室直樹博士著作目録を付録として収める。

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