国立競技場の100年: 明治神宮外苑から見る日本の近代スポーツ

著者 :
  • ミネルヴァ書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (402ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784623067398

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  • ☆信州大学附属図書館の所蔵はこちらです☆
    https://www-lib.shinshu-u.ac.jp/opc/recordID/catalog.bib/BB14391927

  • 国立競技場の歴史について述べられた本。国立競技場の歴史のみならず、神宮外苑の競技場全般、代々木、駒沢、その他大阪の競技場の歴史、明治維新後外国から入ってきた、野球、ラグビー、サッカー等の球技、オリンピックに向けての練度向上への取り組み、国内の競技会、大学中心の競技体型など、日本の近代体育の歴史について書かれているとも言える。詳細な調査に基づく、すばらしい分析書だと思う。
    「1928年にアムステルダムで開かれた第9回オリンピックで、日本は初めての金メダルを獲得する。陸上三段跳びで織田幹雄が15m22で優勝したのだ。陸上競技での日本選手の優勝は予想されていなかったのだろう。会場には表彰式用の日章旗が用意されておらず、観客が持っていた旗を借用して表彰が行われ、オリンピック・スタジアムのセンターポールに特大の日章旗が翻り、後に総理大臣となる広田弘毅駐オランダ公使など多くの日本人が君が代を合唱したという」p135
    「「パラリンピック」という言葉が使われたのは、1964年の東京大会が初めてだった。「脊髄損傷患者」(パラプレジア)という言葉と「オリンピック」を合わせたいかにも日本人らしい語呂合わせによる造語だったが、その後、この名称は次第に国際的にも愛称として使用されるようになり、最終的には大会の正式名称となった」p272
    「もともと「アマチュア」というのは上流階級に属しており、生活の心配なく競技に打ち込める階級のスポーツ愛好家たちのことだった。19世紀のイギリスで近代スポーツを始めたのはパブリックスクールや大学でスポーツに親しんだ上流階級や中流階級の人たちだった。しかし、その後、労働者階級にもスポーツが広まっていくと、労働者階級出身の一流選手は練習や試合のために仕事を休むと収入が減ってしまうので、その分をスポーツクラブなどから補填してもらう必要があった。こうして、スポーツ活動自体から収入を得る人たちが「プロフェッショナル」と呼ばれるようになったのだ。当時の各競技の総括団体は、上流階級のアマチュアが支配していた。そして彼らは労働者出身のプロフェッショナルを排除しようと試みたのである」p281
    「東京オリンピック前の日本のスポーツ界は、ほとんどの競技で学生(大学)が中心だった。しかし、東京オリンピックで開催国として恥ずかしくない成績を上げるため、1960年代に入ると日本では国家予算を使って各アマチュア競技の強化が進められた。その結果、大学を卒業した後の20歳代後半の選手の活躍の場が必要となってきた」p291

  • 国立競技場とその前身の明治神宮外苑競技場を中心にした日本の近代スポーツの歴史を辿っている。特に明治期から大正期にかけての日本の近代スポーツ黎明期について詳しく書かれており、興味深かった。

    プロとアマの関係や、スポーツを所管するのが文部省か厚生省かといった事柄について、現在とは異なる視点から議論がされていたという点に特に驚かされた。

  • 資料ID:21402427
    請求記号:780.67||G
    配架場所:普通図書コーナー

  • 2020年の東京オリンピックの開催が決まり、そのメイン・スタジアムとして全面改築が決定した国立競技場。その前身である明治神宮外苑競技場の歩みは、100年前の明治神宮造営に遡る。当時、最新の設計思想に基づいて建設された競技場では様々なスポーツ・イベントが開催されるとともに、戦時中には軍国主義の荒波に翻弄され、この場所では雨中の出陣学徒壮行会も行われた。戦後は占領軍の接収を経て国立競技場として生まれ変わり、1964年の東京オリンピックの舞台となった。激動の日本近現代史の舞台となった競技場。国立競技場はどのように生まれ変わり、その後、どのような歴史を辿っていくのか……。サッカージャーナリストの第一人者が問いかける力作、ついに刊行。

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著者プロフィール

1952年東京都生まれ。慶應義塾大学大学院法学研究科政治学専攻博士課程修了。サッカージャーナリスト。元関西大学客員教授。1964年の東京オリンピックを皮切りに、欧州チャンピオンズリーグからアマチュア大会まで、6000試合以上を現場観戦している。とくにワールドカップは、12大会連続現地取材中。著書に『日本サッカー史』(双葉社)、『国立競技場の100年』『世界スタジアム物語』(ともにミネルヴァ書房)など。

「2019年 『森保ジャパン 世界で勝つための条件』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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