「軍事研究」の戦後史:科学者はどう向きあってきたか ( )

著者 :
  • ミネルヴァ書房
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感想 : 5
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  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784623078622

作品紹介・あらすじ

「軍事研究に手を染めない」としてきた日本の学術界がいま揺らいでいる。防衛のための軍事研究は必要との主張が出てきたからだ。宇宙開発や、人工知能、バイオテクノロジーなど最先端の科学技術は、軍事にも民生にも役立つ(デュアルユース)、だからこれまでの方針は足かせになるという意見もある。これに対し本書は「軍事研究に手を染めない」方針がどのように確立し機能してきたのか、無理や限界がなかったのかを歴史に問い、新たな情況下で初心を生かす道を探る。

感想・レビュー・書評

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  • 科学研究と軍事研究の境目はとてもあいまい。昨今のデュアルユースの問題も含め、戦後から兵器開発に留まらず、軍事研究がどのように議論されてきたか、それが輿論によって、どう変わってきたかを公平な視線で述べています。
    「防衛」や「国策」というのはある意味、思考停止につながるキーワードであるというリスクや、一方、そもそも軍事研究が本当にいけないのか、ということも含めてオープンな議論を続ける必要がある、という点は同意。

    読みながら、漫画ですけど、「銀河英雄伝説」を思い出した。腐った民主主義と英傑な独裁、どちらが国民にとって倖せなんだろうなって。
    ミサイルぶっぱすイカレタ独裁者が隣国にいる日本にとって、いっそのこと軍事研究(こういう時には、防衛研究か)も大々的にやってもいいのでは?と思ったりもする。
    防衛省にGDP1%という決まりでもなんでもないルールをやめて、2~3%くらいの予算を上げるのはどうでしょう。
    そうすれば、大学の研究者がどうのこうの、という議論は少なくとも減ると思います。

  • その研究が軍事に関係しているか否かの線引きはどこにあるのか? その問いに対する科学者達の考え方の変化を丁寧に追って行っている。
    白黒では済まない世界。でも、議論をオープンにすることが少なくとも必要と訴える。
    おおっぴらに語ること自体がなぜかタブー視されてきた感のある「軍事研究」の問題。避けて済まされる話ではないなと考えさせられた一冊だ。
    読むべし。

  • 請求記号 390/Su 49

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著者プロフィール

1950年生まれ
1981年 東京大学大学院理学系研究科科学史・科学基礎論課程単位取得退学
1993年 博士(学術)(東京工業大学)取得,筑波大学講師,北海道大学助教授を経て,1995年より同大学教授
著訳書 『日本の近代科学史』(朝倉書店,1994年),『物理学者たちの20世紀』(朝日新聞社,2004年)など

「2005年 『北の科学者群像』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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