ツェラーンもしくは狂気のフローラ: 抒情詩のアレゴレーゼ

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  • 未来社
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  • Amazon.co.jp ・本 (217ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784624610364

作品紹介・あらすじ

「アウシュヴィッツ」という歴史の災厄をくぐり抜け、1970年にセーヌ川で自死した、戦後最大のドイツ語ユダヤ詩人、パウル・ツェラーン。その難解な詩作品には、死者からの呼びかけとともに、植物、とりわけ花の名称が頻出する。ベンヤミンの寓意的読解(アレゴレーゼ)に依拠しつつ、植物分類学とも言うべき狂気に満ちたツェラーンの詩学を、独自の自然誌の試みとして読み解く。当代随一の詩の読み手による、類を見ない画期的な論考。

感想・レビュー・書評

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  • お勧め。

  • ツェラーンの詩には植物の名前が頻出し、ツェラーン自身、植物分類学の専門的知識を持っていたという。本書は、ツェラーンの植物分類学に対するアンビバレントな欲求――植物への耽溺と分類への偏執――を冒頭に仮設し、この抒情詩の解釈に植物分類学的思考を導入することで、ツェラーンの詩に「歴史が自然を侵犯する」ことにより刻みつける「鋸歯状の分劃線」(ベンヤミン)を浮かび上がらせるこころみ。

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著者プロフィール

1944年生まれ。東京大学名誉教授。ドイツ文学専攻。著書に『プラハの世紀末―カフカと言葉のアルチザンたち』(岩波書店、1993)、『カフカ―身体のトポス』(講談社、1996)、『獣たちの伝説―東欧のドイツ語文学地図』(みすず書房、2001)、『ツェラーンもしくは狂気のフローラ―抒情詩のアレゴレーゼ』(未來社、2002)、『マゾッホという思想』(青土社、2004)、『ホフマンと乱歩―人形と光学器械のエロス』(みすず書房、2007)、『死のミメーシス―ベンヤミンとゲオルゲ・クライス』(岩波書店、2010)、Toponym als U-topie bei Paul Celan. Auschwitz – Berlin – Ukraine (Königshausen & Neumann, 2011〔本書のドイツ語版〕)、『ボヘミアの〈儀式殺人〉―フロイト・クラウス・カフカ』(平凡社、2012)など。

「2015年 『土地の名前、どこにもない場所としての』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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