- Amazon.co.jp ・本 (90ページ)
- / ISBN・EAN: 9784634342705
作品紹介・あらすじ
「宗教改革」といえば、普通、ルターやカルヴァンの名があげられ、イギリス国教会の成立などと合わせて、十六世紀前半の歴史的事件として取り扱われることが多い。しかし実際は、宗教改革は十七世紀半ばまで続く長期的闘いであった。しかもそこで闘っていたのはプロテスタントとカトリックだけではない。出現しつつあった主権国家同士、また主権国家と教会が、自らの生存をかけて闘いを繰り広げていたのである。宗教改革の世俗的側面に眼を向け、その思想的基盤や文化とのかかわりを明らかにして、宗教改革の全体像に迫る。
感想・レビュー・書評
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・しかしプロテスタンティズムの聖書中心主義は、単なる神学上の問題や聖書研究の方法上の問題にはとどまらなかった。というのもプロテスタントは、自らが敬虔な生活を送っているかどうか、いつも良心にかけて点検しなければならなかったからである。カトリック教会にあっては、ミサや告解などの秘蹟が、罪の赦しを保障していたのにたいし、プロテスタントはそのような万能薬をもっていなかった。そして自らの良心の導きとなるのは、聖書をおいてほかにはなかった。したがって敬虔なプロテスタントにとって、聖書を読むということは、自らの欠くべからざる信仰生活の一部となった。
・これまでなんとなく宗教改革を近代社会に結びつけて理解する傾向があったとすれば、それは過去をすべて進歩勢力と反動勢力のあいだの闘いと見なす歴史的思考に由来している。その前提となっていたのは、「ルネサンス=進歩、中世=反動」であり、同様に「プロテスタント=進歩、カトリック=反動」であるという図式的理解で、それが暗黙の了解となっていたのである。多くの高校の世界史教科書において、「ルネサンスと宗教改革」という項目が立てられているのは、このためにほかならない。そのうえ「新教」「旧教」という表現が、新しいものこそ進歩をあらわし、古いものは反動をあらわすと理解されたので、なおさら誤解を増幅させることになった。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
宗教改革について、世界史で習った断片的な知識 -- ルターの95カ条の論題、贖宥状の乱発、教会の腐敗しか知らず、もう少しちゃんと勉強したいと思い読んでみた。
思想的には日本の浄土宗にも似た救済観があったとか、時代背景的には主権国家の誕生と密接につながった動きだったということが興味深かった。宗教改革を100年に及ぶ歴史の流れとしてとらえることができた。
90ページで簡潔にまとまっていてよかった。 -
これは、とても良かった。
とても分かり易いし、プロテスタントと産業革命(資本主義)の関係とか、イギリス正教会と王族との在り方とか、宗教と国の治め方とか、世界史で習ったことを一歩踏み込んで書いてあるところが、すごく興味深くて読み行ってしまった。 -
カテゴリ:教員著作物
史学科:小泉徹教授の著作物 -
宗教改革の意義がよくわかる本。
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これまで宗教改革に対して教科書的な理解しかなかった自分にとって、
その本質を分かりやすく指摘するこの本は非常に参考になるものでした。 -
大学のゼミの先生が書かれた概説書。
とてもわかりやすく面白いです。
先生にもこの本にも大変お世話になりました・・・。