イエズス会と中国知識人 (世界史リブレット)

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著者 : 岡本さえ
  • 山川出版社 (2008年10月1日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (90ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784634349476

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イエズス会と中国知識人 (世界史リブレット)の感想・レビュー・書評

  • 登場人物がムチャクチャ多いので尻込みしますが、中西の出会いと交流によりモンテスキューやルソー、ゲーテなどに与えた影響について知るだけでも有益です。

  • 中国明・清朝期における、イエズス会士と中国知識人の文化交流について概説した書。東西文化の交流が両者にどのような影響を与えたのか、また双方の知識がお互いにどう受容されたかを説く。
    本書は前半部で明・清朝とイエズス会の交流史を、後半部で双方の学問や思想の受容を述べている。片や知識人の協力を得たイエズス会士によってキリスト教と西洋の先進科学をもたらされた中国、片やイエズス会士を介して中国情報を得たヨーロッパ、双方共にこの文化交流は重大な影響を及ぼしていた。特に中国文明との遭遇はヨーロッパの価値観を大きく揺るがし、啓蒙思想や百科全書派などに中国思想の影響がみられるということは大いに驚きであった。全体として科学技術面での記述が多く思想面の記述が少なかった点が心残りではあるが、本書はイエズス会と知識人を介した東西交流の内実を簡潔かつ詳細に説いたものといえるだろう。

  • マテオ・リッチの来華からアヘン戦争前夜までのヨーロッパと中国の交流を、政治・文化・科学などからまとめたもので、コンパクトだが、細かな所まで眼がゆきとどいている良書であると思う。中国征服論を唱えたアロンゾ・サンチェス(-1593)とか、マテオ・リッチに墓地を下賜する際に、宦官の反対があったこととか、史料をとにかくひろく読んでいないと書けない内容だと思う。基本的には、明がイエズス会士を弾圧したのは地方官レベルで、朝廷は寛大といってよかった。民間では西洋の学問が漢訳され、葉向高(1559-1627)、楊廷筠(1550?-1627)、徐光啓(1560-1633)、李之藻(-1630)などはマテオ・リッチ、アダム・シャール、ジュリオ・アレニなどと交流し、一緒に書物を書いたり、詩文の交換などをしていた。文化交流の花が開いた時期であった。イエズス会士は明朝の辺境守備に火砲の調達などで協力しようとしたが、明朝は滅亡しまう。満州族がつくった清朝は暦の作成や地図の製作、反乱を鎮圧するための火砲の製造などで、イエズス会士を利用した。1664年にはじまる楊光先事件は、イエズス会士に対し、永遠につづく清朝に200年しか暦をつくらなかったとか、皇子の墓地の風水が悪くて順治帝までが早死にしたなど讒言したもので、結局、楊光先らイスラム暦法は観測技術で負け失脚する。この事件は朝廷でイエズス会士を讒言する道を開いてしまう。康煕帝はネルチンスク条約(1689年)でイエズス会士を通訳につかい、92年にイエズス会を公認したが、1715年に教皇クレメンス11世が中国のキリスト教徒に祖先崇拝を禁止してしまい、軋轢が生じ(典礼問題)、1717年には宣教師禁止令を出した。雍正帝は、暦学ではイエズス会士を利用しながら、父の禁教令を厳守し、「もし朕が仏僧かチベットの僧を汝らの国に派遣して宣教したら汝らはなんというだろうか」といったという。1746年、ドミニコ会の地下宣教が発覚し、57年には貿易を広州に制限し、十三行による公行貿易とした。ヨーロッパでも、イエズス会の絶頂は第六代総長(とくに全管区で奴隷貿易を禁止した第五代総長アックアヴィーヴァ)までで、以降、パスカルのプロヴァンシアル書簡などで批判された。パスカル(1623-62)によると、イエズス会士は中国で「栄光のキリスト」のみを教え、「苦しむキリスト」を教えない「欺瞞者」であるということになる。1759年になると、パラグアイでインディオを支持してポルトガル軍に反対したため、ポルトガル王はポルトガル・アジア・ブラジルのイエズス会士の解散を命じた。1764年には北米カリフォルニアで不法に奴隷を得ていた精糖工場が破産した事件をうけ、フランスでもルイ15世がイエズス会に解散を命じた。1767年にはスペインで、1773年には教皇クレメンス14世が解散を命じた。中国では、ラインベックホーヴェンが1787年に死去、中国人イエズス会士が10年後に死去し、1842年までイエズス会は入ってこなかった。科学については、数学、天文学、医学、技術など各方面で西学は中国に影響を与えた。費隠通容ら仏僧の天主教批判や、18世紀のフランス宣教団の活躍なども詳しい。文化の隆盛にはやはり統制は禁物であり、明末は政治的に弱体ではあったが、滅亡までの短い間に文化の爛熟期をつくりだしていたのはないかと思う。

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