- Amazon.co.jp ・本 (90ページ)
- / ISBN・EAN: 9784634349650
作品紹介・あらすじ
グローバル・ヒストリーには文字情報をおもにあつかう歴史学者だけではなく、多くの自然科学者も参加し、これまでになかった斬新な手法と多様な情報が駆使された成果が続々と生み出されてきている。これらの研究は、今後の歴史学のありかたを大きく変えるものである。本書では、グローバル・ヒストリーの概要を伝えた。
感想・レビュー・書評
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近年盛んなグローバル・ヒストリー研究のダイジェストを約70ページでまとめている。
従来の史実の羅列の世界史ではなく、環境・貿易・宗教・疫病・マクロ経済などの視点から、つながりとして世界史を捉えていくってことなんやろな。
この本は様々な研究の紹介なんで、深く知りたかったら参考文献に手をつけろってこと。で、やっぱりマクニールの世界史から読み返そう。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
グローバル・ヒストリーに関する書籍の紹介を並べている本。環境史、商品史に注目するのは面白いが、特に環境史は年代の区分の仕方が人間の活動の歴史とかけ離れた区分になってしまう可能性がある。全体としてグローバルヒストリーは現代的な問題意識との接続(因果関係の構築)に欠けるようにも思う。また、地域間比較も、世界はあまりに多様なので有効な指標を作ることが難しいようにも思える(消費カロリーによる指標も、食文化や農耕の方法は地域によってかなり差があるのでどの位有効なのかはわからない)。
アジアをとらえる際にヨーロッパ発祥の歴史学の方法と結びつきが強いネイション・ステイトによる区分を採用しているのもどうなのだろうか。中華帝国は国境などあってないようなものだったし、ナショナルヒストリーの方法論をそのままアジアに適用して、グローバル・ヒストリーと呼ぶのは問題があるように思える。西洋的な手法で西洋を相対化しているにすぎない可能性がある。
ただ、グローバル・ヒストリーは誕生したばかりの分野なので、これからの発展には期待できる。 -
リン・ハントが「グローバル・ヒストリー」について言及していたので、興味をもって、とりあえず全体像を知りたくて、読んでみた。
いろいろな議論が簡潔にサマリーされていて、なんとなくの全体像はわかるのだけど、あまりにも短すぎて、ピンとこないところも多い。こういう短い本はバランスをとるのが、難しいとあらためて、思った。
読んでいくと、それほど新しい感じはしなかった。たとえば、ブローデルとか、ウォラーステインの議論は30年以上前から聞き齧っているし、マクニールの議論など、そのほかにも知っている議論もいくつかある。
なるほど、グローバル・ヒストリーって、最新の研究動向というより、もう半世紀以上前から取り組まれているものだったんだなと理解した。 -
難しかった。今従来の史学を研究している人向けの「入門」と言う感じ。それでもグローバルヒストリーの概観は掴めたので役に立った。いろいろな分野の研究を浅く紹介してくれる。グローバルヒストリーは本当に扱う分野が広いので、1冊でわかりやすく解説するのはできないとわかった。
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随分前の史学雑誌でレビューされていた。本書の内容は、グローバル・ヒストリーの代表的研究成果の紹介が主。殆どが経済史。環境、疫病などもある。ウォーラーステインやブローデルだけでなく、書店で人気のマクニールやダイヤモンドなどにも頁が割かれている。
グローバル・ヒストリーとは
①扱う時間が長大(宇宙・人類の誕生~など)
②扱う空間・テーマが広大(⇔各国史)
③ヨーロッパや近代の相対化
④地域間の相互連関の重視
⑤新奇なテーマ(疫病、環境、人口、生活水準)
とのことだ。ハラリのいうマクロ歴史学に近いのかな? -
山川出版社 グローバルヒストリー 入門 グローバルヒストリーの概要と読書ガイド的な本
グローバルヒストリーは、地球史、人類史、世界システム論の視点を持つ歴史学。一国史の歴史観を見直し、世界経済や同時代性の中で歴史を捉えている。未来思考を感じる
この本で取り上げたテーマ
*ヨーロッパ中心主義の見直し(アジアの勃興)
*疾病、人口変動、森林枯渇などの人類史的影響
*人の移動による宗教や文化の伝播、征服、交易など世界システム論
ヨーロッパ中心主義の見直しのテーマが一番わかりやすい。速水融の論考〜日本の経済発展をヨーロッパの産業革命による発展と区別し、労働集約型の家族経営を 勤勉革命と命名〜が面白そう。
グローバルヒストリーの位置づけは 一国史という歴史観が 国民国家概念に直結し、ヨーロッパ中心主義、ヨーロッパと非ヨーロッパの対立 を生んだことを批判する立場
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MT14a
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『銃・病原菌・鉄』に熱狂した身としては、こういう考えが広まってくれるのは嬉しい。でもまあ、「普通に」習う歴史を知っていてこそ感じられる面白さだよなあ、とも思う。
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これからの世界史を考えるのにとても役に立つ指南書だと思います。様々な研究の紹介もあり、折々見返し、参考にしたい本だと思いました。