コルテスとピサロ: 遍歴と定住のはざまで生きた征服者 (世界史リブレット人 48)

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  • 山川出版社
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  • Amazon.co.jp ・本 (91ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784634350489

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  • コルテスとピサロを、レコンキスタで新たな国土を望めなくなったイダルゴ(下級貴族)とくくるのは粗雑。コルテスは裕福な生まれ、生家の後押し、法学士としての知識、識字能力、雄弁、外交術を駆使して、アステカ征服に向かうが、対して寡黙なピサロ、貧しい出で識字能力もなく、慎重、時に優柔不断。先住民間でも対立があり、アステカもインカ(インカの支配層の分裂、神官層と軍人層の分裂、インカによる征服の記憶)もそこにつけこまれた。またスペイン人の征服者間でもときに利害の不一致で対立が生じたが、それを潜り抜けてきたコルテスとピサロ。◆コルテスは高い統治者資質を示すも、逆にそのためにスペイン本国から統治権を持たせるべきではないと危惧され、遍歴を余儀なくされ、商業貿易、のちには知識人との交友に注力。ピサロは、定住し統治者を目指すも資質を欠き最後は対立勢力による暗殺。身内を大事にしたところは共通点。後世まで末裔は残る。コルテス、ピサロの行動も、征服から植民地統治への転換期特有の流動性のなかで語られ得る、と。インカの敗北も単純な技術差ではない。お互いの内部の論理がからまりあい、どちらに転ぶかわからない局面もありつつも、従来の常識や既得権益にとらわれた判断ミスの連鎖で破れた、と。

  • (後で書きます。文献リスト、年表あり)

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著者プロフィール

青山学院大学教授

「2016年 『コルテスとピサロ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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