中世の神と仏 (日本史リブレット 32)

著者 :
  • 山川出版社
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  • Amazon.co.jp ・本 (94ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784634543201

作品紹介・あらすじ

中世は仏教の時代と考えられてきました。日本の土着の神たちは仏教の仏たちのもとでひっそりと息を潜めて、せいぜい神仏習合という不純で不本意な形態を取らされていたというのです。しかし、神仏習合はそのように否定されるべき形態なのでしょうか。そこには、従来常識とされてきた日本宗教のあり方とはまったく異なる雄大で自由な想像力が羽ばたき、合理主義に束縛された近代人の思いも及ばない世界が展開しているのです。本書では近年急速に研究が進められている中世神道論の動向を描き出しながら忘れられていた日本の宗教の原像を解明していきます。

感想・レビュー・書評

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  • 日本中世の神仏習合、山王神道、伊勢神道など吉田兼倶以前の特に神道側から見た概略。この100ページ程度にまとめてくれている日本史リブレットシリーズは比較的読みやすい。

  • (後で書きます。参考文献リストあり)

  • 日本における神仏習合の様相を、中世神道を中心に解説する本。山王・伊勢・両部神道を例として取り上げる他、北畠親房などの説も紹介して中世神仏論のダイナミックな展開を概観していく。
    本書は日本中世の神仏習合を具体例を挙げて紹介すると共に、それに基づく中世神道の展開を概説している。その意味で、本書は神仏習合や中世神道の初学者にはお勧めの一冊と言える。
    本書にて紹介されている、記紀神話や仏教、その他諸々の宗教思想の相互補完的な習合や、そこから生じた全く新しい宗教・神話体系は非常に興味深い。中でも面白かったのは、中世神話(中世において独自に形成された神話)においてヒンドゥー教の影響が見られる神話があるということである(ただ、この点について著者は「仏教という世界宗教に関連しながらも、そこに収斂しきれないアジアの土着宗教の共通性」を感じ取った中世の神道家が、意識的にヒンドゥー教神話を援用したとしている。個人的にこの説は少し疑問であった)。また、中世神道論の特徴の一つである神国論が、元々は末法小国意識に基づいたものであるという指摘も驚きであった。

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著者プロフィール

国際日本文化研究センター名誉教授、総合研究大学院大学名誉教授、東京大学名誉教授

「2024年 『日本の近代思想を読みなおす3 美/藝術』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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