フランシスコ=ザビエル: 東方布教に身をささげた宣教師 (日本史リブレット人 44)
- 山川出版社 (2011年10月1日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (95ページ)
- / ISBN・EAN: 9784634548442
感想・レビュー・書評
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日本史リブレットシリーズ
分かりやすくて良い資料だと思う
西欧がどういう状況だったのか、日本はどのような状況でどう受け入れられたのか。
ザビエルの人生はこの二つを解説して初めて理解できると思うのだけど、
両方ともきちんと書いている本はなかなかないので貴重詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
日本にキリスト教をもたらしたザビエル・・・というのは、日本の学校教育を受けた人ならばたいがい知っていると思うが、その生涯となると意外と知られていない。僕もよく知らなかった。読んでみると、ザビエルがインドに向かったのは、当初インドに布教予定だったニコラス=ボバディーリャが急病のため代理としてであった、などという点は面白かった。人生というのは、どこでどう転がるかわからないものである(ザビエルからすれば、神の導き、ということになるのだろうが)。
ザビエルは体系的な著作や、日記を残していないそうだ。ゆえに、書簡から彼の思想を類推し、行動を読み解き、そのほか状況証拠を積み重ねて彼の思想や足跡を明らかにしていかねばならないという。この点、意外と史料が少ないのかと思い、印象に残った。 -
学生時代にぼちぼち読んだ「日本史リブレット」もテーマ史から人物評伝へ切り替わり、「日本史リブレット人」のシリーズでの刊行が進んでいる。その中のフランシスコ=ザビエルである。
本書を手に取ったのは年初の島原・長崎旅行、5月の連休に神戸で見た南蛮屏風展を目にするにつけ、イエズス会の布教活動、織豊期のキリシタン受容に興味を寄せたからだった。
そして、神戸市立博物館の物販コーナーで本書を手に取ってみた。
内容は至極シンプルで、ザビエルの生い立ちからゴア赴任、日本への布教開始と早世までをざっと紹介している。
日本での布教当初に神を「大日」と意訳していたが、仏教の一派と勘違いをされたために後に「デウス」と言い換えたという点は面白い。
それに、キリスト教布教以前に帰依していなくとも、十戒の自然法部分さえ守っていれば、現在の信徒だけでなく亡くなった人までも、神の加護を受けられるということを説明しようとする理屈とその矛盾点など、ヨーロッパから遠く離れた異国の地での布教活動ならではである。
史実と伝説が入り交じるザビエルのエピソードの中から、史実を抜き取っていくことの難しさを何となく感じられた。