yoh7011さんの感想
2021年8月20日
1938年7月、「死の壁」と呼ばれたアイガー北壁の初登攀に成功したハインリッヒ・ハラーは、自らの詳細な登攀記録とともにアイガーの登攀史をまとめ、北壁の象徴である「白い蜘蛛」を表題とした1冊の本を上梓した。 本書は初登60周年を記念して出版された『白い蜘蛛』の増補改訂版。初登攀から今日までのアイガーの歴史。 この本におけるアイガー北壁の歴史の大半は、遭難と救助の歴史。 アイガー北壁の登攀の歴史が淡々とかつ分かりやすく描かれており、 そこに、初登攀の偉業をなした著者の驕りは全くなく、 山や自然やすべての登山家に対する敬虔な思いが伝わってくる。 一つの定点にいて、その歴史を俯瞰して見ているような感じがした。
1912年オーストリア生まれ。登山家、探検家。1938年に登攀が絶望視されていたアイガー北壁の初登攀に成功し、アルプス登山史上に不朽の名を刻むなど、世界各地の秘境探検の基礎を築いた。 「2022年 『石器時代への旅』 で使われていた紹介文から引用しています。」