トムラウシ山遭難はなぜ起きたのか (ヤマケイ文庫)

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  • 山と渓谷社 (2012年7月23日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (368ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784635047463

トムラウシ山遭難はなぜ起きたのか (ヤマケイ文庫)の感想・レビュー・書評

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  • 山は怖い。
    巨大な自然の力を前に人間の小ささを感じる。

    ツアー登山の是非について。
    登山ブームを迎えた日本にあって当然なサービスだろうと思う。
    計画を立ててくれて経験者と一緒に山を登れる、それだけでも料金を払って参加する価値があるだろう。

    責任を誰が負うかということは、商売をする方にとって確かに重要なことだろう。
    けれど、自分の命を守るということに関して、
    他の誰かが責任をとる、ということがそもそも可能なのだろうか。

    ツアー登山に参加する、病院で医療行為をしてもらう、海を泳ぐ、車に乗る、様々な場面に命の危険があるけれど、その全てにおいて決断して臨むのは自分ではないのか。

    この遭難事故の場合、確かにガイドのアドバイスがもう少しあったら、ガイドが出発すると判断を誤らなかったら、防げたことはたくさんあるだろうけれど、費用や今回の登頂、その他の何かをフイにすることと生きて帰ることを天秤にかけた時に、諦めようと声をあげるということ含め、個人個人も判断を誤っているとしか思えない。

    初心者のうちにこの本を読めて良かった。
    大事なことがたくさん書いてあるので、細かくは後ほど追記。

  • 山岳ノンフィクションドキュメンタリー

    緻密な取材と調査データ

    低体温症の知識
    休養とカロリー摂取の大切さ。

    ツアー登山の現状

    増える“自立しない登山者”

    自己責任の登山と、観光ツアーとの間。

    山との向き合い方が変わった。

  • 先月奈良で寒くて寒くて歯の根が合わないくらいガタガタ震えてたあれは、低体温症の初期症状だったということが分かりました。
    北海道トムラウシ山での低体温症による大量遭難を、生存者のインタビューや医学的な見地などいろいろな角度から検証していて、興味深い。山、恐い…。

  • 2009年に夏季登山で発生した遭難事故のレポートを題材に、低体温症の発生メカニズムとその怖さ、登山ツアーへの警鐘がまとまっている。
    登山者じゃなくても興味深く読める。

    低体温症は、登山時に限らず、低気温(0度以上でも)・風の強さ・雨(濡れ)の条件が重なると、容易になりうるので気をつけたほうが良い。
    この症状が怖いのは、低体温になることで脳が機能不全になり、通常の判断ができなくなること。

  • 毎日、遭難に関する本を読み、
    ネットでも情報を収集し、

    「とにかく、絶対、いたずらに、山には行かない」の気持ちは
    さらに固くなり、例えるならば、

    『12本爪のアイゼンでも歯が立たぬアイスバーン状態』
    (↑なんか、こんなことも覚えたみたい!)

    この本は、2009年に起きた北海道のトムラウシ山での
    大量遭難事故の真実にせまったルポルタージュ。

    ガイド3人、ツアー客15人のうち、
    ガイドを含む9人が死亡すると言う
    大事故だった為、記憶に残っている人も多いと思う。

    私も当時、新聞などのニュースをみて、
    ガイドの一人が遅れた人も構わず、
    自分だけどんどん先に降りて行ってしまい、
    被害が大きくなった、と言う印象を抱いていたから、
    こちらを読んで、それが誤解だった事を知った。
    (実はこのガイドも低体温症になり前後不覚に陥っていた)

    9人の死因は低体温症、
    でもこれは7月の出来事なのですね。
    (わたしも途中であれ?っと思って日付を確認してしまった)

    トムラウシ山の気象はとても変わりやすく、
    場合によっては
    夏でも3,000メートル級の冬山より厳しい時がある、とのこと。

    また、進んでいくと避難小屋もエスケープルートも無い道が続き、
    荒れている天気の時は非常に危険な場所であるとのこと。

    しかし、ツアー客の中にはその知識もなく、
    ルートも知らず、地図も持たず、
    と言う人も少なからずいたということ。

    私も2泊3日の山小屋を泊まっていくツアー登山だったら、
    ただガイドさんについていけばいいのかな?と思う気持ちが
    わかる気がしてしまうが、

    この本によるとそんなことはもっての外、とのこと!

    もう過ぎてしまったことだけれど、
    危険なルートで、荒天で、メンバーのほとんどが60代以上の女性ばかり、
    と聞くと、もう、嫌な予感しかしません!

    今回の事故の原因は

    登山者それぞれの力量がわからないままの大所帯であったということ
    (一番遅い人にペースを合わせる為体力が消耗される)

    事故のあった日、荒天であったにもかかわらず、
    ラジオや天気図などを確認せず、リーダーが出発を決めたこと

    吹き飛ばされそうな風雨、道が川の様になっていて
    体を濡らさないと渡れない箇所があったのに、
    引き返すことをしなかったこと

    体調不良者が続出したのにも関わらず、
    安全な場所にとどまらなかったこと(またその装備もなかった)

    登山者の装備が不備で体を濡らしてしまったこと

    ガイド同士面識がなくコミュニケーションがとれていなかったこと

    ガイド自体がトムラウシ山に詳しくなかったこと

    低体温症の知識がガイド、ツアー客ともほとんどなかったこと

    などがあげられる。

    ツアー会社も時間通りに帰れないと
    飛行機などを取り直さなくてはならない為、
    ガイドに遅れないようプレッシャーをかけていたこともあり、
    荒天の中での出発となったようである。

    ガイドもツアー客も
    「なんとかなるだろう(大変なことにはならないだろう)」
    と言う意識があったことも確かだそう。
    また、「こんな天気の中出掛けるのか」と思っても
    場の空気を乱すと思い言えなかった人もチラホラおられた様。

    夏でも体が濡れて冷え切ると低体温症になり
    あっという間に死に至る、
    回復する方法としては体を温める以外に無いそうで、

    例えツアー登山でも、自分の身を守れる(ビバークできる)
    最低限の装備は持っていなければならない、とのこと。

    ポイントとしては
    まず体を濡らさないよう、特に雨具と靴に気を遣うこと。

    すぐに取り出せるよう、食料をポケットなどに入れておくこと。
    (お腹が減っていると体力が落ち、体が動かなくなる)

    一人になっても遭難しないように
    ちゃんとした地図、方位磁石、ヘッドランプは必須、
    またビバークできるよう為、シート、ツェルト(布だけのテントのようなもの)
    を持参。
    (他の本に載っていましたがツェルトを広げ、
    その中で折りたたみ傘を広げるだけでも
    快適になると言う事です)

    本の中に
    信頼できるリーダーの元、自分自身でも責任をもって
    山歩きするのが一番望ましいとあった。
    確かにそういうリーダーならそれぞれの力量もわかっているだろうしね。

    また、自分が極限時にどうなるか?と言うのが
    常々気になるんだけれど、
    この時も自分の命を顧みず、歩けない人に寄り添う人、
    「こんなことしていても無駄だ!」と
    倒れている人を置いて先へ行ってしまう人、

    でも先へ行った人も責められないと思う、
    私も知らない人が倒れてて、
    そこにいたら自分も死にそうだったら?
    どうだろう?
    優しくできる自信はまったくありません…。

    そんなこんなで、とても為になる有益な本、
    でございました。

    とにかく、自分の事は自分で責任をもって、
    感覚を研ぎ澄ませて、
    嫌だなあと思ったら、好感度などは気にせず、
    やめる勇気をもとう!

    また、山登りを趣味としたいのなら、
    登山教室とかで雪洞を掘る練習や
    ビバーク山行など、体験した方が良さそうだねー。

  • 2015/8/31購入
    2015/9/10読了

  • 寒さ、強風、濡れ、摂取カロリー不足。このような要因が重なることで、夏場でも低体温症は起き、しかも急速に進むという。そして、急速な低体温症は、自覚症状もないままに脳の機能も低下させ、適切な判断も行えずに死に至る。
    このような恐ろしい低体温症の知識は、その危険性が大きい登山者や登山ガイドにも十分共有されていないという。このため、山岳事故は繰り返し起きる。特に、トムラウシでは、2002年に同様の事故がありながら、2009年に本書記載の事故が起きた。
    本書では、可能な限りの事実の確認の上、気象学、医学、運動生理学の観点から本件事故の原因を探るとともに、ツアー登山という山登りのスタイルについても考察と提言が行われている。何の気なしに読み始めたが、最後まであっという間に読み通していた。自分自身は山登りもせず、本書の内容を実感を持って身近に感じるということはないのだが、それでも、夢中になって読むほどの事実の迫力と分かりやすい分析があり、「面白かった」というと事故の犠牲者に申し訳ないが、大変ためになった。

  • 件の遭難事故について当事者の証言、診断時の身体的所見や気象データなどを各分野の専門家が分析したもの。

    痛ましい事故であるが、何故そうなったか、そしてどうやって自分の身を守るのか。学ぶことは多いと思う。
    最終的に自分の身を守るのは自分、それは間違いないことなのだから。

  • 2009年の大惨事となったトムラウシ山事故の詳細な報告本

    低体温症で恐ろしいのは頭が悪くなってしまうというところであるということがよくわかる

    残念なところは,当然ながら死人からの証言は取れないところで,こういうのは間違ったケースのほうが役に立ちそうだと思った

  • 配架中、山に興味はないし事故のことも知らなかったのになぜか気になってたまらなくなってしまい、そのまま借りて読んだ。
    夏の日本百名山で起きた遭難事故を、生存者の証言と様々な観点からのデータで解析している。究極状態に置かれた生存者の証言は食い違う所もあるが、修正することなくそれをそのまま使っている。それが切迫した遭難事故の様子をよく伝えている。事故レポートやガイドの証言は読みやすく、データによる解説もけっこうわかりやすかった。
    日本人のツアーというものにおける見方が、この事故でははっきり裏目に出てしまっている。登山ツアーにしても旅行ツアーにしても、全て他人任せにするのではなく、非常時にも自分で対応出来る心構えと準備が必要だと痛感した。

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