サハラに死す――上温湯隆の一生 (ヤマケイ文庫)

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著者 : 上温湯隆
  • 山と渓谷社 (2013年1月25日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (308ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784635047500

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サハラに死す――上温湯隆の一生 (ヤマケイ文庫)の感想・レビュー・書評

  • 面積はアフリカ大陸の3分の1を占める。世界最大の砂漠で
    あるサハラ砂漠。

    1974年、このサハラ砂漠単独横断と言う先人未踏の記録に
    挑んだ日本人の青年がいた。

    上温湯隆。高校中退後、日本国内をヒッチハイクで旅をし、
    その後は海外へと飛び出す。そんな海外の旅の途中で
    サハラ砂漠の魅力に憑りつかれた。

    現地でラクダ一頭を手に入れ、ガイドもなくラクダと共に
    広大なサハラ砂漠を踏破する。それが彼の夢だった。

    しかし、スタートから3000km行ったところで唯一の同行者
    であったラクダが死ぬ。中断は苦渋の決断だった。

    いや、これだけでも凄いではないか。だって、砂漠の地図と
    方位磁石だけで砂漠を進んだのだから。

    中断後、アルジェリアの時事通信社でアルバイトをしながら
    日本からの送金を待ち、再出発の準備を整える。

    そうして、再度挑んだ大自然。だが、彼が還って来ることは
    なかった。再出発からわずかに10日前後、現地の住人が
    灌木の下に横たわる遺体を発見する。

    本書は出発地点に選んだイギリスから再出発するまでを、
    彼が残したノートを元に構成されている。

    そこにはサハラへの熱い思い、国連職員となる夢、現代社会
    への批判、思い通りに進まぬ旅への焦燥と苛立ち、楽な方へ
    と引きずられる自身への反省が綴られている。

    今、この時にしか出来ないことをしたい。それは時代が違って
    も若い世代に共通した夢なのだろう。成功すれば冒険と呼ば
    れ、失敗すれば単なる無謀な挑戦となる。

    それを分けるのはいくつかの偶然なのだろう。彼の場合は
    悪い方へと運命が導いたのか。

    無謀と言うひとことで片づけてしまうのは簡単だ。ほとばしる
    情熱を抑えられなかった青年の死は、確かに無謀な挑戦で
    あったのかもしれない。でも、行動することで自分を変えよう
    とした志は死んじゃいないさ。

  • ラクダ1頭をともにサハラ砂漠の単独横断に挑戦した一青年の手記。
    タイトルからも分かるように挑戦半ばにして命を落としてしまうのだが、人に読まれることを前提としていない日記ベースでの作品だけに、飾らない生々しい心の声がダイレクトに伝わってくる。

    読みながらツラツラと思った。

    誰もが身勝手なんだと。
    自分でも身勝手だと知って反省したりのもみんな一緒なんだと。
    そして、誰もが何かから逃げたいんだと。
    何かから逃げるために別のことをするけれど、「別のこと」のスケールが普通の人との違いなんだと。

  • 初版が1975年の、冒険ノンフィクションである。サハラ砂漠をラクダ1頭で単独横断しようとし、志半ばで亡くなった、上温湯隆氏の旅を記録したものだ。冒険に魅せられる若者たちの指南書だという。
    大人が常識的に考えると、ラクダでサハラを横断なんて、無謀としか言いようがないだろう。しかもGPSもない40年以上昔のことだ。しかし、サハラの魅力は22歳の彼を惹きつけ続ける。
    彼の行動力、勇気というものに素直に感動した。若い頃は誰でも、今後の人生や、生まれてきた意義などを悶々と考えるものだ。旅をすることで、彼は自分の方向性が見えてくる。
    様々な現地人や家族の支援のもとに、過酷な旅を何ヶ月も続けることができたのに、残念ながら彼は砂漠の真ん中で亡くなってしまう。死を待つ絶望はどれほどのものか。生きて帰国して欲しかったと思うが、彼はまた旅に出てしまい、死ぬまで旅を続けたのだろうなとも思う。
    彼の情熱にこちらまで高揚した。未読の方にお勧めしたい。

  • 自分が生まれる前に上温湯隆氏はサハラで亡くなっている。
    そんな時代に前人未到のサハラ横断に挑んだその勇気と冒険心には脱帽である。
    読んでいて女の私ですら、熱い何かが込み上げてきた。
    この単行本は今や絶版になっている。
    こんな若者のバイブル的存在の本が本当に消えてしまっていいのだろうか?

  • 凄いと思う反面、無茶とも感じる。そこが若さか。自分が、年とった証拠か。実行力は凄まじい。

  • 衝撃。
    この挑戦を読んだら、自分のやってることなんてハナクソみたいに思えた。

  • 生き様と20歳の青年のリアルな葛藤。

    サハラを目の前にし生死をさまよう彼の頭をよぎるのは将来のこと、大学受験や就職、家族のこと。

    人間はある衝動にとりつかれつつも、理性を失わず現実的な視点を併せ持つ。

    矛盾という特質が人間を人間垂らしめているのかもしれない。

  • 正しく「若者の冒険の物語」。「冒険」という言葉は、もはやちょっと気恥ずかしい。それが連想させるような、歴史的な意味や人類の限界に挑戦するような探検とか発見を伴う試みなんて、すでに一般人の手の届く範囲にはないようにしか思えないから。
    でも、そうではない、冒険は本質的にもっと個人的なもので、理由のつかない本能的な欲望みたいなものだ…ということを思い出させてくれる冒険の記録。

    単独サハラ横断3000キロはその時点での記録としての価値もあったらしい。でも、記録はすぐに塗り替えられるもの。
    その地に生まれ育って砂漠を知り尽くした遊牧の民でなく、若干はたちそこそこ、資金も装備も砂漠の技術もプロではない異国の一若者が過酷な砂漠に挑むのは、やっぱりそれが彼にとって、記録への挑戦というより、冒険だからなんだろうなあ。

    全編を通して描かれる砂漠の民の温かさと文化が、過酷な土地がらを際立たせる。行き倒れそうな旅人には必ず、できるかぎりの親切、水と食べ物を差し出し、不足しがちな薬や嗜好品、日用雑貨と交換する…
    そこには、私たちの目には過酷であっても、ごく普通の日常生活が冒険を取り巻いている。

  • 大学1年生、18歳のときに講談社文庫版を南米アコンカグアのベースキャンプで読んで、衝撃を受け、涙した。

    ずっと、重版されないか待っていたところついにヤマケイ文庫から出版された。

    再び読んでみて、上温湯氏の行動力と情熱、70年代の冒険の考え方など改めて感じた。
    アフリカでの人々との触れ合いがとても良い。
    先日、アルジェリアでテロが発生したばかりだが、当時から日本人が多く活動していたことも改めて知った。

    一方で、学生当時ほどの感動がなかったのは、自分が年をとったしまったせいだろうか。
    長尾三郎の『死す』三部作はこの作品から始まっている。
    『エベレストに死す』『マッキンリーに死す』も改めて読み返してみたい。

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サハラに死す――上温湯隆の一生 (ヤマケイ文庫)の作品紹介

サハラ砂漠は東西7000キロ、横断するルートはなく、途切れ途切れにあるオアシスを点と点で結ぶしかない。この前人未踏の単独横断に、上温湯隆は一頭のラクダとともに挑み、しかし、志半ばで消息を絶ってしまう。サハラ砂漠に青春のすべてを賭けたひとりの青年の、その想いを描いた不朽の名作である。

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