定本 黒部の山賊 アルプスの怪

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著者 : 伊藤正一
  • 山と渓谷社 (2014年2月22日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784635047685

定本 黒部の山賊 アルプスの怪の感想・レビュー・書評

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  • 面白くて一気読みでした。もちろん黒部には行ったことないのですが、昭和20年代の黒部にタイムスリップしたかのように臨場感が伝わってきました。

    素晴らしい景色や心地よい空気感だけでなく、山の厳しさや、結局人間の業が絡む山の生活には、やはりそこで生きる筆者だからこそ書けるものだと思いました。

    ボクですら感動しましたので、山男や一度でも黒部を訪れたことのある人であれば手放せない一冊となるのだろうと感じました。

  •  終戦間もないころ、北アルプスの三俣山荘を譲り受けた筆者だったが、山荘に近づけずにいた。
     
     黒部の山奥には山賊がいて、崩れかけた三俣山荘をねぐらにしているというのだ。
     実際に、漁師や登山者が山賊に襲われたと話す。

     意を決して行ってみると、小屋にいたのは話の面白い紳士的な男数人だった。
     これが筆者と山賊たちとの出会いだった。

     終戦期から黒部の主として山小屋に居続けた伊藤正一氏の、山賊たちとの日々と、山の物の怪や動物たちとの日々をつづる。

     かつての黒部を見ることはできないが、読んで想像することはできる。
     そこには山賊たちの足跡が残っているはずだ。

  • 愛犬ジャムの話が一番好き。
    雲ノ平周辺の山を歩きたくなる本。そして歩いたあとにもう一度読みたい。

  • 戦後間もない時代の山小屋での生活を描いた作品。
    自分はまだ山小屋があるような大きな山には登った事がないが、テレビや雑誌で見るたびに一度は行ってみたいと思う場所である。

    しかし山小屋は単なる登山客の宿ではなく、悪天候の際の避難場所であったり、山岳事故の際は救助の基地となる重要な場所なのだ。本書にも遭難事故のエピソードが紹介されており、山小屋で働く人々のご苦労が伺える。

    山小屋を占拠する山賊や未知の生物の足跡など、我々が暮らしている下界とは全くの別世界が存在しているようで、とても興味深い作品だった。

  • 2014.5.27読了
    黒部の主・伊藤正一が、後世に語り継ぐ
    旧版は舞台となる北アルプスの山小屋へ行かなければ手に入らなかったらしいが、この度は山と渓谷社さん、ありがとうヽ(*´∀`)ノ

    先人達の苦労があってこそ、現代の快適な山ライフ…感謝━(≧∀≦人)━感謝

  •  北アルプスの三俣蓮華岳にある山小屋の主人として長らく山で過ごしてきた筆者が、おもに戦後の黒部の山とそこでの人々の風景を活写した本である。
     熊など野生の動物、暴風雨など大自然の抗えない力強さ、登山者の遭難話、不思議な経験、さまざまな話が展開されるが、なかでも筆者と山仲間の逸話は素晴らしい。一気にその世界に引き込まれる。今なら大きな問題になるようなことでも、当時はなんでもなかった逸話もたくさん出てくる。
     山好きな人、北アルプスに行ったことのある人なら、この本を読んだらまた行きたくなることは間違いない。楽しかった記憶が思いだされるからだ。

  • 山岳本の傑作。旧版も持っているけど、定本が出たということで新たに購入。

    富山、長野、岐阜の県境に位置する三俣蓮華岳。戦後間もなく、その山頂直下にある三俣山荘の権利を手に入れた著者は、そこに勝手に住み着いていた「山賊」と出会ったという。。。

    著者の伊藤正一氏は北アルプスの最深部に位置する三俣山荘、雲ノ平山荘、水晶小屋を建設し、伊藤新道(現在は廃道)を拓いたという、登山をする人間からみればまさに伝説の人物。そんな人の話が面白くないわけがなく、読み終えてしまうのがこれほど惜しいと思った本は他にない。

    超人的な山岳サバイバル術を持つ山賊たち。佐々成政の財宝伝説とそれに翻弄される人々。遭難した者と救助する者のドラマ。そして様々な山の怪異。どんなにおとぎ話めいたエピソードでも、それが日本最後の秘境として知られる黒部源流域で起きた出来事だというなら不思議に納得できてしまう。

    本書「黒部の山賊」の旧版は、実際に本の舞台となっている山小屋を訪れなければ買うことができなかった、ということになっている。僕は初めてその山域を訪れた時に、迂闊にもこの本の存在を知らなかったので、せっかくの購入のチャンスを逃してしまった。結局その後ネット通販で古書を入手したわけだが、やはりこの本はあの場所から持ち帰ることによって手に入れたかった。

    数年前に、伊藤正一氏の息子さんが小屋主をされている雲ノ平山荘に泊まったが、このことは素晴らしい思い出として心に残っている。北アルプスの名峰に囲まれたそこは、まさに夢の中にあるかのような場所だった。いつかもう一度、この本を持ってあの楽園へ行き、ランタンの明かりで読書を楽しんでみたい。

  • 良書。
    どこまで本当の話なのか疑問だが、かつて北アルプスには凄い人々が居た。今の日本人には失われたスキルを持っていた人達。生活に密着した、必要に迫られた山での生活する技術、知恵、経験。
    現代の登山は、レジャー化、スポーツ化していると思わされる。

  • これは特に登山を趣味とするような人でなくても、充分読んで楽しめる作品だ。

    「高熱隧道」や「黒部の太陽」で描かれているように、厳しい自然環境に囲まれている黒部源流地域における山男たちの暮らしぶりが、素朴な飾らない文章で綴られている。
    時代も昭和20~30年代が中心と、まさに前記2作品と前後して重なる。
    あくまでサラリとした口調で書き記されてはいるが、現代よりも遥かに衣食住の環境が整っていない当時に、これほどタフなサヴァイヴァルをしていた著者や山賊たちの屈強さたるや、それだけでも充分憧憬の対象になり得る。
    物の怪だってそりゃ出ることだろう。

    嗚呼、早く私も北アルプスへ行かなくては。

  • 黒部ダムが出来る以前の、まだ厳しい黒部山中に生きていた山の鉄人=山賊たちとの山の日々を綴った一冊。
    四人の山賊の個性が際立ちすぎて創作じゃないかと思うほどですが、巻末に写真入りプロフィールありです。
    すごく印象的なエピソードとしては、川ぞいを歩きながらスイスイと川魚を釣っていたというもの。生活で鍛え抜かれた名人芸とはどれほど美しいものなんだろうなと思った一節でした。
    山賊たち以外には、飼い犬ジャムについて記した章が印象的。
    伊藤さんがジャムを家族と言う時、ペットを家族という現代人とは全く重みが異なります(良し悪しの問題ではない)。
    物理学者を目指したという伊藤さんが、ところどころで山の怪を素直に描いているのも良かったです。大袈裟でないところがリアル。
    それにしても個性豊かな山男たちと渡り合って山暮らしを続けた伊藤さんもすごい。今年6月にお亡くなりになったそうです。お話を聞いた人、聞き書き集でも出してくれないかな。

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