ドキュメント気象遭難

著者 :
  • 山と溪谷社
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感想 : 21
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  • Amazon.co.jp ・本 (253ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784635140041

感想・レビュー・書評

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  • 『トムラウシ~』の中で著者が自著を引いていた部分があり、気になったので手にしてみた。

    7件の遭難事故が取り上げられており、中には全員無事生還のものもあったが、先に読んだ『トムラウシ~』と同様の条件で同様の顛末をたどったものばかり。『トムラウシ~』でも触れられている通り、同じ場所で同じ7月に同じ気象条件によって、ほぼ同じように人が亡くなったケースもあり、しかもその亡くなった方のご主人が「またこんな悲劇が起きないように」と取材を受けるよう生還者に促してくれていたにもかかわらず、その願いかなわず2009年にまた悲劇が起きたというわけだ。

    著者も言うように、ツアー登山の参加要件、チェック体制をもっとしっかりしないときっとまた同じ事故が起きてしまう。
    そして何より、山に登るなら、自分の力量の見極め、山を知る努力、怠らない準備というのが不可欠なのだろうな。
    取り上げられた遭難事故のうち唯一全員生還した案件は、全員が冬山登山のプロフェッショナルだったことがそれを物語っている。
    しかもそれは、プロフェッショナルな人々でさえ遭難してしまうこともあるという山の怖さでもある。

    • 8minaさん
      bokemaruさん
      私も単独行での山歩きが主体でしたが、過去八ヶ岳の森の中、下山中にトレールを見失ったことがあります。気象の急変など少し...
      bokemaruさん
      私も単独行での山歩きが主体でしたが、過去八ヶ岳の森の中、下山中にトレールを見失ったことがあります。気象の急変など少しの判断で結果が変わる場合がありますね。
      2014/01/19
    • bokemaruさん
      8minaさん、コメントありがとうございます。
      そんな経験がおありだとは!
      山では一瞬の判断がその後の結果を大きく左右すると本書にもあり...
      8minaさん、コメントありがとうございます。
      そんな経験がおありだとは!
      山では一瞬の判断がその後の結果を大きく左右すると本書にもありました。
      自然の中に身を置こうとするなら、生半可な気持ち・準備ではいけないということなのでしょうね。
      2014/01/19
  • 道迷い遭難に続き読了。登山は全くしないけど、遭難の怖さを知るには十分だった。生死を分ける選択は、それとは分からずやってきて、あとからそうだったのかと知らされるようだった。何事も命には変えられない。最悪の状況は常に想定しておくべきと強く感じた。

  • この前に読んだ「山岳気象遭難の真実」の中で紹介されていたので読んだ。ドキュメントなだけに自然の恐ろしさをあらためて痛感させられた。

  • 山での遭難事故七件をインタビューや資料を基に詳細に検証された本です。

    検証される事例を読み通してみて、無事に帰還されている大事に至らない例もある為、ほっとする部分あるも。
    山の気象という、不確定要素が高い要因を見誤ると、最悪の事態に至る怖さ、それでも人々を惹きつけてやまない何かがあると感じ入りました。

    私自身は、山には登らない為、正確な情報や共有方法の重要性、自身の力量の把握、それを基にしての計画立案、そして最終的にそれをあきらめて撤退する意思決定の難しさに深い洞察を与えてくれる書籍として、自身の組織運営に役立てたい。

  • 山での悪天候による遭難のドキュメント7例。自分が正しい判断ができるか。全く自信がない。ただ、気象に関する知識は重要だなと。また、装備、特に衣服は重要。手入れも含め。遭難してしまったらパニクらないこと。ただ極限状態でパニクらないということに関してもあまり自信がない。。。

  • 人の死が描かれている
    これが事実あったことなのだから印象深いのも当然なのかもしれない

  • 山での気象現象による遭難事故7件を、検証。なぜ起こったのか、防げなかったのか。今後、冬山テント縦走を計画して行く上で、役に立った。

  • 家に帰るまでが【登山】です。

  • 山地の遭難のなかでも、特に、
    気象条件の変化やその時の対応の不手際によって引き起こされたであろうケースをピックアップ、
    遭難するに至った経緯の説明や詳しい対処方法を教えてくれる指南書。

    指南書、と書いたが、普通に読み物としても大変興味深い。
    項目は春夏秋冬の季節ごとに分けられ、更に、
    「雪崩」「突風」「落雷」「低体温症」など、
    遭難する直接の原因によって項目が分けられている。
    説明は余計な修飾がなくシンプルで分かりやすい。
    また、当時の山の写真や天気図、救助隊到着時の写真など、
    資料も豊富に掲載されていて理解がし易い&さくさく読み進められる。
    漠然としか思い描いてなかった「山」が、
    一気に現実のものとして眼前に浮かび上がってくる。

    全体を通して7件の遭難について知ることができるが、
    共通して思った一番大きな感想は、
    「あ、人間て、あっけなく死ぬんだな」
    ということ。
    その日の朝まで元気でも、吹きすさぶ風の中稜線にでも立っていようものなら、
    数時間で死に至る。
    雪崩にしたって、巻き込まれてしまえば一瞬だ。
    生きていたとしても大怪我を負う。
    それなのに、そんな死の淵へ突き進む行為をしているという自覚が、
    遭難する側の人間には全くと言っていいほど、無い。
    だから、冷静に考えれば「こんな天気の中出発するなよ…」という状況下でも、
    「まぁ大丈夫だろう」と、根拠もないままに出発してしまうケースがほとんどだ。
    いや、これ、下手なホラー映画よりよっぽど怖いよ。
    というか、やっぱり、人間ほど怖い存在ってないんだろうな。
    山という特殊な環境が持つ怖さは勿論あるけれど、
    障壁を認知するいくつものヒントがありながら、
    しかもそれを手にしていながら、
    それでも突き進んでしまう人間の自爆性というかなんというか。
    古代から山が神の領域とされていたのも充分に頷ける。
    あそこは、力量のない人間が足を踏み入れていい場所ではない。

    それでも、踏み入れて遭難してしまった場合については、
    いかに早く「自分が遭難している」と自覚できるかどうかと、
    その後の対処の仕方、気の持ちようによって大きく差が出てくるようだ。
    体力と精神力。
    このふたつが磨かれていない者に登山はできない。

  • これも面白かった。ただ気象遭難=大事な事が多いんだねぇ。当然の事ながら。難しい山ほど情報を収集し、日程に余裕を持ち且つ装備にも余裕を持ち行動をする。鉄則がこれほどまでに難しい事なんだなぁと再認識させられた。

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著者プロフィール

1961年埼玉県生まれ。ノンフィクションライター。長野県山岳遭難防止アドバイザー。山岳遭難や登山技術の記事を、山岳雑誌「山と溪谷」「岳人」などで発表する一方、自然、沖縄、人物などをテーマに執筆活動を続けている。おもな著書に『ドキュメント 生還』『ドキュメント 道迷い遭難』『野外毒本』『人を襲うクマ』(以上、山と溪谷社)、『山の遭難――あなたの山登りは大丈夫か』(平凡社新書)、『山はおそろしい――必ず生きて帰る! 事故から学ぶ山岳遭難』(幻冬舎新書)などがある。

「2023年 『山のリスクとどう向き合うか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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